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#40 みんなで話し込むと何故かいつもこうなる



 重くなった次いでと言うのも変ではあるけど、ケージ達との話の流れでオーガの事も聞いてみることにした。

 魔王側の転生については戦いの最中ケージに聞いていたし、今のオーガからはあまり想像が付かなかったからな…。


「なぁオーガ、お前はなんで魔王に転生したんだ?ケージが言うには元の世界で絶望したからってことだったんだけど……」


「……アぁ、そこは間違イないだロう。我は絶望し自ラ命を絶ったのダからな」



「「っ!」」



「……何があったっつーんだよ………」


「…妻と娘が乱射事件ニ巻き込まレテな……。よくあル話だろウ?」



『『『『………』』』』



 まさかオーガ自ら元の世界での人生を終わらせていたとは…フィオを溺愛している今の姿からは思いも付かず、弘史と二人で息を飲んだ。

 そしてその理由を聞いてほぼ全員が沈黙してしまった…確かにオーガの居た国ではそういう事件があったことはニュースとかで知ってはいるけど、よくある事ではないはず。

 偶々そこに家族が居て犠牲者となり、耐え切れず後を追ったってことか……。


「……すまない、軽々しく聞くことじゃなかった………」

「悪ぃ」


「なに、気にするナ。今はこうシてフィオと…ソしてサラとも出会えタノだしな。もうあンな思いハしないよう、ココでやっていくと決メたのだから」


 そう言って大層優しげな目をして隣に座っているサラさんを見つめるオーガ。

 代わりというわけでは無いだろうけど、大切なものをまたその手に掴み、それを守る為に生きていこうと決意しているのか。

 魔王の力とはいえ、理不尽な事柄に対抗し得ることの出来る力があるのは、今のオーガにとって相当な強みなんだろう…。

 後悔しないようにっていう点では俺と同じなんだけど、生死が関わっている分重みが全く違うよな…まぁけど大切なものをってところは俺も同じになってるし、この力があるのは本当にありがたいと思う、もう黒歴史で恥ずかしいとかちょっと置いといて。


「え、と…オーガ様?その……私も、ですか……?」


「当然だロう。サラは我の妻ナのだカラな」


「それは……体裁の為であって、私はただフィオレスフィーナの側にいただけの配下なのですが………」


「出会った時はナ。今は違ウだろう?我はもう妻トしか認識しテイないが。サラは違うノか?」


「い、いえ、あの、ですから私はあくまで配下であって、オーガ様の伴侶などという大それた立場には畏れ多いとしか………」


「……違うのカ?」


「あ…ぅ………。は、はい…相違、ありません………」


「ソレで良いのダ。我の妻、そしてフィオの母として、これカラも隣に居ルのだぞ」


「………///(コクっ」



「「………(サラ……羨ましすぎる………)(チラっ」」



「……なんで僕の方を見るんだ、二人とも」


「い、いえ、別に……」

「な、なんでもぉないよぉ〜……」



 オーガから向けられた慈愛に満ちた視線を受けて、一瞬キョトンとしていたサラさん。

 フィオはともかくそこに自分まで含まれているとは思ってもいなかったんだろうか?

 初めてオーガ邸を訪れた時、対外的に妻という立場にしているんだっていうのは何となく分かっていたけど、オーガ的にはもう完全にサラさんを妻としているようだった。

 まぁそんな目で見つめていたら誰でもそう思うだろうけど、当の本人はそうじゃなかったらしい…が、オーガに問い詰められてそりゃもうテレッテレになって最後は認めてた。

 何ていうかもう、メッチャカワイくないですかね、それ…美女がそんな風にすると破壊力がハンパないことに。

 オーガも目を細めて更に優しさが増した感じで満足そうな顔してるし…。


 そんなサラさんを見て何を思ったのか、セリカとサニが二人してケージをチラ見してる…アレか、二人もサラさんみたいにケージからそう扱ってほしいとか、そういう感じなのか。

 そのケージは二人に視線を向けられて怪訝そうな顔をしてる…これは先が思いやられそうだけど、オーガ達と一緒に居ることになったんだから、そう遠くない未来に二人の眼差しの意味を理解する日が来るんじゃないかな、多分。



「んだよ、幸せそうなツラしやがって…悪ぃなんて思うんじゃなかったわ」


「だかラ言ったダロう、気ニするなと」


「あーそーかよっ。ったく、どいつもこいつもデレデレしやがって……」


「お前もな」


「はぁ?俺がいつデレ「ヒーロにゃーん♪」……え?ちょ、ペルちゃんっ!?」


「……めっちゃデレっとした顔してるじゃねぇか。アタイら見る時いつもそんな感じだってーのっ」


「最近はモリーが来て落ち着いたと思っていたが…やはりそこはそう簡単には変わらないな、ヒロシは」


「ちょっとヒロシっ!アンタアタシがいながらなによその顔はっ!ペルの方が可愛いって言いたいワケっ!?うっきぃぃーっ!!」


「あ、いやっ、違ぇって!まさかペルちゃんからそんな呼ばれ方するとか思わんかったし焦っただけだってのっ!こんなんでデレるわけ無ぇわ!」 

 

「……ヒロシー、鏡貸そうかー?」

「めちゃくちゃ嬉しそうですよ?ヒロシさん」


「ハッ、ペルもそういうことすんのな。ウケるわっ、はははっ!」

「……良い趣味とは言えん」


「ペルー、ふざけるのは別にいいっちゅけど、時と場所はちゃんと考えるっちゅよっ」

「そうよペル、いくらなんでも陛下の目の前でそんなことするなんて……」


「にゃはっ♪(ペロっ」


「弘にぃも弘にぃでそんなだらしない顔見せないのーっ」


「だからっ!んな顔してねぇっつーのっ!」



 また余計な事を言ってしまった…オーガがデレてるのを見てツッコんだ弘史に間髪入れず。

 お前だって知美ちゃんやフラム、それにモリーと一緒に居る時たまにデレっとした顔してるの自覚してないんだろう…ナニを思い出しているのか知らないが。


 悪ノリしてペルまで絡んできたし…猫だからか弘史に対しても割と懐っこい感じなんだよな、多分揶揄って遊ぶのが好きなだけなんだろうけど。

 ペルに呼ばれた瞬間、メッチャニヤけ面になった弘史に皆してツッコんでるし。

 モリーなんてキレ気味に突っ掛かってる…私というものがありながらーって、モリーも相当弘史の事気に入ってるんだなぁ。


 と、またいつもの感じのノリになってしまったけど、一応は陛下の前なんですよね…少しは気にしようよ皆。

 あ、俺もか。

 


「フハハハッ!あー、俺のことなら気にすんなよ?しっかしアレだな、ナオトはガキが好きでヒロシは獣人好きときたか…。やっぱ漂流者ってのは変わり者が多いのか?」


「そうですね…先代勇者であったコウキとケンゴも一風変わった感じでしたし、陛下の仰っていることも間違いではないかと。ねぇ?リーオル」

「……(コクっ。………二人、とも……変、だった…よ………」


「攻にぃが変なのは分かるけど、おにぃも変だったぁ?」

「兄さんは分かりますけど、堅兄さんは割と普通な気が……」


「えっと、そうね…ちょっと言葉足らずだったかしら。セラフィの前に限り変だったのよ、ケンゴは」

「………凄、く…………挙動…不審、に……なって、た…………」



「「あぁー……」」



「なんとなくわかったー…おにぃってば恋愛経験まるでなかったからねぇ……」

「対して兄さんは女の娘の前だと変に格好つけたがりだったし……」



 俺達のやり取りを見て盛大に吹き散らかしてる陛下と、その隣で何故か笑いを堪えているエルムさん。

 そんなに可笑しいやり取りではなかったと思うんだけど、なにかがツボにハマったらしい。

 というか、別に堪える必要もないんじゃないかと…。


 で、その陛下が俺を含め変人扱いしてきた…いや、確かに子供は好きだけど、弘史の獣人好きと同列にはしてほしくないです、コイツの好きはそういう意味も含まれているだろうけど、俺の好きは間違ってもソコは含まれていないので。

 そこを反論しようとしたら、シルファが攻瑠美と護璃の兄達先代勇者まで引き合いに出してきて変だったとか言う始末…リオまで同意する程だったのかと。


 けど聞いていると堅護はセラフィ限定、つまり恋人の前だけだったっぽいから、そこまで変ではないんじゃないかな…どうもその手の経験が全く無かったらしく、そのせいでガッチガチに緊張していただけな気が。

 逆に攻輝は女の娘の前では良い格好見せたがりとか…当然会ったことはないから分からないんだけど、護璃の兄だから容姿もそれなりなんじゃないかと想像すると、残念系のイケメンってことなのか?黙っていればモテるのにっていう。

 弘史は弘史でこんなんだし、やっぱりそこに俺も含められるのはちょっといただけない。



「あのぉ…陛下?俺の子供好きを変に含めないでもらえます?いたって健全な好意なんで……」


「別に変って言ってもイイ意味で変なんだからいーんじゃないー?」


「ちょっと待てリズ、なんだそのいい意味で変ってのはっ」


「んー?年齢問わず女の娘吸引機ってところだけど?」


「せやな、別にナオがどっかの誰かさんみたいに下心丸出しで声かけまくってたわけでもあらへんし、なぁ?」


「ぐっ…いや、だってシータちゃん達マジ可愛くてクリーンヒットだったんだよっ。そんなん我慢なんてできねぇって!」


「そぉゆうぅ〜ところがぁ〜ダメなんだとぉ思うよぉ〜?」


「ちったぁナオトのこと見習えや。ずっとそんなんだと変な獣人しか寄ってこねぇぞ?モリーみたいなヤツしかな」


「アァ〜ネェ〜っ!アタシのどこが変だって言うのよっ!!」


「わたしに付きまとってるところに決まってるじゃない。何言ってるの?モリー」


「それはっ!ラナがアタシのライバルなんだから当たり前でしょうがっ!」


「と、とりあえずみんな落ち着こうっ、陛下達の前なんだしっ、なっ?」



 皆揃って話し込むとすぐ脱線していくのは何故なんだろうか…それがたとえこの国の頂点に立っている人の目の前であろうがお構い無しに。

 その頂点の御仁はというと、こんな俺達のやり取りを大層面白そうに、ニヤニヤしながら眺めてるんだけど…俺達にとってはコレが普通なんだよなぁ。

 けどやっぱりね、少しはTPOってものを弁えた方がいいんじゃないですかね…いくら本人が気にしなくてもいいって言ったとしても、限度ってものがあるでしょう。

 いや、その顔見てると全く問題無いって気もしてるけど、こっちは気にするべきなんじゃないんですかね?この国で一番偉いお方の前なんだしさぁ。


 まぁそうは思ってもこれが俺達のスタイルなんだし、今更変えるつもりも無い…だって多分この俺が一番この雰囲気を楽しく嬉しいと感じているだろうから。





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[一言] お帰りなさい。 これからも頑張ってください!応援してます!
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