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復讐に行ったら、超能力探偵に出会ってしまった話  作者: 小説書こう


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最強死刑囚編?その三

モパンガ・ロクムはコンゴ周辺の言語です。直訳で「誇りの剣」らしいですよ。(少し、自信無し

――「さぁて、始めようぜ!」

夕日に染まる監視所で、三人の殺し合いが始まった。一方は独りよがりの暴力とエゴ。もう一方は、“早く帰って『超次元タヌキロボ』を見たい”というあまりにも酷い理由。動機の格差があまりにも酷かった。


「湾曲せし己が自慢の剣(モパンガ・ロクム)!!」


グバヤが吠え、その瞬間、指一本一本から肉切り包丁のような刀身が生えた。


「うおっ!?」


そのまま猛獣じみた勢いでメロルスへ飛びかかる。

メロルスはOGT(オーグメンテッド)義手で受け止める。だが重い、圧倒的な体格差に押し込まれていく。


「ぐっ……!」


「どうしたァ!!その義手、飾りじゃねえかァ!!」


包丁の刃が火花を散らしながら義手を削っていく

そこへ


「邪魔だ!!」


投げ飛ばされていたヒューゴが戻ってきた。強烈な横蹴りがグバヤの脇腹へ突き刺さる。


「グハッ!!」


巨体が揺れ、グバヤは笑った。


「重てぇ蹴りじゃねえか……!」


血を吐きながら笑う。


「でもやめねぇ!!なぜかわかるかァ!?」


ギラついた目が二人を見る。


「オメェらを殺したくて、殺したくて、堪らねえからだァ!!!


と言い再び能力(デッドリー)を発動する。


「湾曲せし己が自慢の剣(モパンガ・ロクム)!!!」


今度は掌からナイフを生成。

次の瞬間には、もう距離を詰めていた。振る。弾く。刺す。あまりにも近距離、呼吸する隙すらない。まともに一撃でも入れば終わり、二人とも、それを理解していた。

攻防の末、ヒューゴが隙を見て足払いを放ち、グバヤの巨体が倒れる。

そして、倒れたグバヤへ踵蹴りを入れようとする。


「もらっ――」


だが、倒れたグバヤは笑っていた。


「甘ェ!!」


掌から、刃が伸びる。ウルミ――鞭のような剣のしなる刃が広範囲を薙ぎ払う。


「ッ!!」


二人は同時に飛び退き、監視卓が真っ二つになる。


「危なっ!!」


「床まで切れてんぞ!?」


ここまでで既に、ヒューゴはグバヤに何発も蹴りを叩き込んでいた。それでも体力的にはグバヤが上。

しかも今のヒューゴには決定打がなかった。刑務所から出た時に返されるリボルバーもスマホも、没収されたままだ。スマホが無ければ監視転移(パノプティ・ジャンプ)は使えない。


「クソ……火力足んねぇ……!」


その時だった。メロルスが隙を突き、死んだ職員の懐を漁る。


「――あった!」


スマホを発見し、即座に投げ渡す。


「ヒューゴ!!」


ヒューゴがキャッチし、そしてニヤリと笑った。


「形勢逆転だ」


「たかがスマホが何だってんだァ!!」


ウルミを振り回しながら突撃。だが次の瞬間、ヒューゴの姿が消え、


「――は?」


直後、グバヤの後頭部へ、強烈な蹴りが叩き込まれる。


「ガッ!?」


「今まで“手加減されてた”って気づいたか?」


「ウルセェェェ!!」


調子に乗ったヒューゴの発言にグバヤが激昂する。掌から、今度は巨大な刺突剣が生成された。


「湾曲せし己が自慢の剣(モパンガ・ロクム)・致命的な刺突(ヤークト・コマンド)!!!」


必殺の刺突だったが当たらなければ意味がない。なぜなら、ヒューゴは既に別の監視カメラで転移していた。


空振り、直後の横から蹴り、さらに背後から蹴り。

加えて頭上から蹴る。


グバヤの視界が追いつかない。


「クソッ!!どこだァ!!自由を掴むまで終われねぇんだ!!」


「ここだよ」


蹴る


「後ろ後ろ」


蹴る


「残念ハズレ」


また蹴る


「早く倒れてくれよ」


ヒューゴが笑い放つのは、


「多重の監視矢(パノプティ・アローズ)!!」


監視カメラを利用した高速連続転移。あらゆる角度から蹴撃が叩き込まれ、グバヤの巨体が揺れる。


一発。


二発。


十発。


二十発。


「ガ……ッ……!」


ついに耐えきれず、グバヤは崩れ落ち、そのまま意識を失う。


「……勝ったか?」


「勝った勝った」


 ヒューゴは肩で息をしながら笑う。


「よしメロルス。さっさと出口開けて帰るぞ。『超次元タヌキロボ』始まってるかもしれん」


「まだそれ言ってんのかよ……」


二人はグバヤが操作していたタッチパネルを弄り、出入口を解錠した。


 『ロック……解除。シャッター……開放。』


そして二人は外へ脱出する。途中、生き残っていた職員からリボルバーとスマホを返却され、そのままバスへ飛び乗った。

だが脱走した囚人たちが、開いた出口から大量脱獄していることには二人は最後まで気づいていなかった。



数時間後の探偵事務所。ドアを開けると、カテリナが出迎えてくれた。


「あっ……お、おかえりなさあい」


「ああ、ただいま」


メロルスが少し頰を赤らめながら返す横で、ヒューゴはお構いなしに事務所のテレビに飛びついた。


「頼む……!間に合ってくれ……!」


しかし画面にはエンディングが流れていた。


「……………………」


ヒューゴ、硬直。


「お、終わった……」


その場に膝から崩れ落ちる。


「俺の……」


「お前さっきまで殺し合いしてた奴とは思えねぇな」


そう話すメロルスは同時にカテリナの前で少し緊張していた。


「……い、今帰りました」


「はぃ……お帰りなさあい」


お互い目を合わせる。少し沈黙。妙に空気が甘い。

すると


「おい二人とも!!」


ヒューゴが急に叫んだ。


「これ見ろ!!」


テレビ画面には緊急ニュース。映し出されていたのは刑務所(パノプティコン)から大量脱獄する囚人たちだった。


『本日夕方、大規模刑務所パノプティコンにて大規模暴動が発生――』

『多数の受刑者が現在も逃走中――』


 画面の端には開きっぱなしの巨大ゲートが映っている。メロルスとヒューゴは、同時に固まった。


「……」


「……」


「……あれ、俺らのせいじゃね?」


「……俺らだな」






間に合わなかったね〜

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