第40話 最川家兄弟紹介
1週間ぶりの投稿になります。お待たせしてすいません、今回の回で第40話を迎えることができました。
40話まで読んでいただきありがとうございます。感想やコメントなど是非是非お願いします。
今後もよろしくお願いします。
「お邪魔します」
優はそう言って、少し緊張しながら狭い玄関に靴を揃えて上がった。
「水瀬くんの家よりは狭いかもだけど……ゆっくりして」
最川さんに促され、二人はリビングへと入った。 使い込まれているが、隅々まで掃除が行き届いた室内。そこには、夏の午後の穏やかな空気が流れていた。
すると、奥から元気な声が飛び出してきた。
「わー! この人があのお兄ちゃん!?」
現れたのは、まだ背丈の小さな男の子。最川さんは愛おしそうにその子の頭を撫でながら、優に向かって紹介した。
「そうだよ。……弟のかなと。今は幼稚園生なんだよね」 「かなとです! お兄ちゃん、よろしくね!」
かなとは、最川さんの弟らしくハキハキとした礼儀正しい挨拶をしてくれた。優は少し面食らいながらも、腰を落として目線を合わせた。
「……うん、よろしく。かなとくん」
優が挨拶を返すと、最川さんがさらに奥の部屋に向かって声を張り上げた。
「こら、あんたも来なさい!」
最川さんに促されて、のっそりと、もう一人の男の子が姿を現した。
「こっちが冬馬。小学5年生」
出てきた冬馬は、かなととは対照的に、少し日焼けした肌にやんちゃそうな雰囲気を纏っていた。だが、今はどこか面白くなさそうな顔をして、優をじろりと睨んでいる。
「……うっす」
ぶっきらぼうに、それだけ言って視線を逸らす冬馬。
「……よろしく、冬馬くん」
優が少し気圧されながら答えると、最川さんが困ったように肩をすくめた。
「ごめんね、水瀬くん。この子、ちょっと早い反抗期なの。恥ずかしいだけなんだけどね」 「う、ううん。全然、大丈夫だよ」
(……小学5年生の反抗期か。これはラノベのスキルより、もっとリアルな忍耐力が試されそうだぞ……)
優は、自分を歓迎してくれるかなとと、明らかに警戒している冬馬の視線の間で、今日一日の波乱を予感した。
「ねえねえお兄ちゃん、何して遊ぶ?」
かなとが優の服の裾をぐいぐいと引っ張りながら、元気いっぱいに見上げてきた。キラキラとした瞳に、優は少し気圧されながらも優しく微笑む。
「そうだな……。かなとくんは何をして遊びたい?」 「じゃあね、最初は積み木で遊ぼう! すっごく高いお城作るの!」 「わかった。お兄ちゃんもお手伝いするよ」
優とかなとはリビングのカーペットに座り込み、積み木を高く積み上げ始めた。
「見て見て、お兄ちゃん! ここは門なんだよ!」 「お、すごいな。じゃあこっちは見張り台にしようか」
かなとの自由な発想に驚かされながら、優は自然と夢中になっていた。時折、かなとのリクエストで絵本を読み聞かせたり、ヒーローごっこに付き合ったり。
その間、最川さんはバタバタと忙しそうに動いていた。 ベランダで洗濯物を干したり、キッチンで洗い物をしたり……。学校での彼女からは想像もつかない、手際よく「家族の日常」を回していく後ろ姿。
(……最川さん、本当に一人で全部やってるんだな)
ふと顔を上げると、食卓の椅子に座っている冬馬が目に入った。 彼は手元の携帯ゲーム機に集中しているふりをしているが、時折、積み木が崩れた大きな音に
「……チッ、うるせーな」
と毒づきながら、チラリとこちらを盗み見ている。
(怒ってるのかな……。いや、もしかして混ざりたいのか……?)
冬馬の不器用な視線に気づかないふりをして、優はかなとが新しく持ってきたパズルを広げた。




