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第27話 昼休み


「……さて、どうすっかな」


自分の席で一人、お弁当箱を前にして優は小さく独り言を漏らした。 いつもなら空き教室までパンを買いに行くところだが、今のこの足じゃ、売店までの往復だけでも一苦労だ。おまけに今日は、母親がわざわざ作ってくれた弁当がある。

そこへ、クラスメイトの山田がひょいと顔を覗かせた。


「水瀬、メシどうすんだ? どっか移動するなら手伝うけど」


「あ……いや。今日は弁当なんだ。この足だし、ここで大人しく食うよ」


優が答えると、山田はパッと表情を明るくした。


「マジ! じゃあ俺も弁当だし、ここで一緒に食べよう。机くっつけるわ」


山田は手際よく自分の机を運び、優の机にガタリと繋げた。


「ごめん、山田」 「気にするなって。それよりさ、昨日の『しずくたん』の生配信、お前見たか?」


山田は弁当の蓋を開けるなり、待ちきれないといった様子でスマホの画面を見せてきた。 優は苦笑いしながら頷く。


「ああ、アーカイブで少しだけね。相変わらずのマイペースだった」


「だろ!? あの独特の喋り方がクセになるんだよ。しかもさ、来月のイベントで新

衣装が発表されるかもって噂があって、もう俺、夜も眠れねぇよ!」


「そ、そうだね」


山田が熱弁を振るっていると、そこへトレイを持った最川さんがひょっこりと現れた。


「何、何の話ししてるの?」 「最川さん! いや、これは」


山田が慌てて言い

最川さんはジト目で疑わしそうに笑ったが、ふと思い出したように言葉を続けた。


「そういえば、さやちゃんが冬月さんのこと探してたんだけど、二人とも知らない? 教室にいないみたいなんだけど」


「いや、見てないな」


山田が首を振ると、優はふと、いつも自分が使っている空き教室のことが頭をよぎった。

(もしかして……あっちに一人で行ったのか?)

自分ならまだしも、足を痛めている彼女が一人で移動するのは大変なはずだ。


「そっか。……じゃあさ、私もここで一緒に食べていい?」


最川さんの唐突な提案に、山田は少し照れくさそうに優の方をチラリと見た。


「まあ、水瀬がいいって言うなら……」


「……まあ、いいよ」 優は少し視線を逸らしながら、ぶっきらぼうに、でも拒絶しない優しさでそう答えた。

「やった! じゃあ椅子持ってくるね!」


最川さんの嬉しそうな声を聞きながら、優は心のどこかで、まだ見当たらない冬月さんのことが気にかかっていた。

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