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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第八章 王者・無双編

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746 Bブロック一回戦第一試合

挿絵(By みてみん)


「さあこれよりはBブロックの開戦だヨッ! 先に姿を現したのは雷神門より我らがアーカムの精鋭、戦闘怪人、海のケンプファーチィーッム」


 現れたのは三体の異形の戦士たち。

 それぞれが人間をベースに様々な生物の特徴を掛け合わす改造手術を受けた者たちだ。

 ここコランダムの街は常駐するケンプファーはいないため、アーカムに住む人々からしても戦場でもない限りなかなかお目にかかる機会はない。

 その誉れあるケンプファーを間近にするチャンスとあって多くの奇異の目が見つめていた。

 そんな注目を浴びる彼らはアーカムの力の誇示、国民の国威発揚のために今大会には数組エントリーしていた。


「そォして反対側の風神門よりセクシーギャルな三人組! チーム名ボンデージ仮面の入場ダッ」


 こちらもまた変わった歓声が出迎えた。

 おそろいのピンク色のコスチュームに三人とも目元をマスクで隠した女性のみのチームが入場してきたのだ。

 自分たちで花びらを撒きながらの入場で、手ずから華やかさを演出していた。

 そんな彼女らの正体がマユミとミナミ、もうひとりは奴隷市場から買い取る形で救い出したマイである事は読者の方々もすでにご承知であろう。

 先頭を行くマユミは自ら仕上げた花びらロードを自信たっぷりに、続くマイは無表情ながら堂々とマユミに付き従う。

 最後尾を行くミナミだけは、消え入りたいほどに恥辱を感じながらおずおずと入場してきた。

 まだこのコスチュームもマユミの演出にも慣れないのだ。

 元来人見知りの引っ込み思案なゲームオタクの性格をしていたミナミが、姫神になったからと言ってそうそう性格まで変われるものではない。


「バカね。照れるから余計に恥ずかしいんじゃないよ。もっと堂々としたらいいの」

「だってェ」

「大丈夫だって。自信もっていいよ。十分イケてるよ、あんた」

「うう……別にうれしいだなんて思わないですよ」


 こうして戦う六人が中央で顔を合わせた。

 ケンプファーチームは三人ともその姿をあらわにしている。

 ひとりは全身をヌラヌラとヌメらせた首の長い男。

 ひとりは時折肌がバチバチッと小さく爆ぜる男。

 ひとりは顔色が薄く、だぶっとした大きめの服を着て手足の先まで隠した男。


「勝負は一対一の個人戦、三戦して二勝した方の勝ちとしたい」


 肌がヌラヌラした首長男の提案をマユミは了承した。

 双方がいったん距離をあけそれぞれの入場門前まで引き下がる。


「い、いちたいいちですかぁ?」

「そうだよ」


 若干怯えた声を出すミナミにマユミは小さく返答した。


「チームワークで戦う相手の実力を見極めるのは難しいから、個人戦の方が幾分マシでしょ」

「で、でも……」


 相手が見るからに異形なのでミナミの素のメンタルは怖じ気づいているのだ。


「平気でしょ。私たち姫神なんだから。始まっちゃえばスグにも戦闘思考に切り替わるよ」

「誰から行くの?」

「そうねえ」

「あの」


 それまで黙っていたマイが一歩前に出る。


「私にお任せください。奴らの手の内、戦い方を暴いて見せます」


 マユミの返事を待たずにマイは試合場中央へと進み出て行った。


「誰かさんと違ってやる気十分ね」

「うっ……で、でも、いいの?」

「どのみち戦うときは来るんだし、まあいいんじゃないの」


 二人の見守る中、マイとケンプファーチームのひとりめであるヌラヌラした首長男が対峙した。

 にわかに会場中がざわつきだした。

 首長男は武器の類を持たずにいる。

 一方のマイはミナミがこさえたあの背丈を超えるほどの長剣、メルパッターベモーを引っ提げての登場である。

 全体的に金をあしらった美しい剣に仕上がっていて、最大の特徴は百五十センチもある細身の刀身と、長い柄を二分する位置に設けられたもうひとつの鍔である。

 柄とこの鍔を握り突進からの刺突がこの剣の持ち味を最大に活かす戦法であり、どちらかと言えば個人の戦いというより横一列に並んで行う集団戦でこそその威力を発揮する剣なのである。

 しかしマイはそのメルパッターベモーを得物に選んだ。

 そこには何某かのこだわりがあったのかもしれないが、マユミやミナミにとっても意外に思うほど、会場中の雰囲気が一変していた。

 観客のその剣への複雑な感情が色濃く試合場を覆っていくのが感じられる。


「フェフェフェ。ここの観客は戦いの目が肥えているんだ。お前の持つその剣に色々と気を悪くしているようだぞ」

「この剣は私の一族の誇りです。誰に何と思われようと関係ありません」


 首長男の厭らしい煽りにもマイは毅然とした態度を崩さなかった。


「そういう態度をいつまで保持できるものかな」


 マイはメルパッターベモーを両手に持ち、腰を沈めて突撃の構えをとった。


 試合開始の銅鑼の音が鳴り響いた。


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