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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第八章 王者・無双編

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731 飛空艇ストーン・サワー号

挿絵(By みてみん)



「さあ乗ってくんなせえ、お客人がた。もう少し嵐が静まったら出航しまっせ」

「嵐?」


 山腹に大きく開放された飛空艇ドックからはロカ王国のある峻厳なタイタン山脈が見晴るかす。

 その黒い岩肌は激しい雨に打たれてギラギラとした光沢に濡れ光っていた。

 雨は横殴りに近い暴風雨で、時折り地に大穴を穿ちそうなほどの雷鳴まで轟かせていた。


「こ、こんな嵐の中を航行するのですか? 雷鳴ってますよぉ」


 アカメが怯えるのを見てテイラー艇長は豪快に笑った。


「なぁに、雷落ちるなら好都合! 飛びながら動力機関に蓄電できますからなあ」

「本気ですか?」

「もちろんだ! うちの機関士たちを信じてくれ」


 そう言ってテイラー艇長はアカメたちを甲板に招き入れ、主だった船員を紹介してくれた。

 全員がドワーフ族であり、中には女性も混じっていた。

 以下がその者たちである。


 飛空艇ストーンサワー号艇長 コリューン・テイラー。

 機関管理担当主任機械工 ジョイ・ジョー。

 副長。航行管理士 シド・ウィルスンソン。

 天文学者。天測航行士 ミック・トムス。

 綱、索具、帆布、その他工具類専門家 ショウ・クラフトハンド。

 雷電集積者 クレイ・ジョーンズ。

 化学者・主任金属工 ジェイ・ルート。

 木工、大工 ポール・グレー。

 気象観測士兼医師 クルス・フェーン。


 このうち女性は工具類専門家のショウと天測航行士のミックだ。

 大工のポールは人見知りが激しいらしくアカメたちの前に並んではいなかった。

 今も船内のどこかで仕事中だそうだ。


「では聖賢者殿、姫君たち、よい船旅を」

「ありがとうございますゼッペリン王」


 ドワーフの王に見送られたアカメたちは艇長に案内されて操舵室へと向かった。

 操舵室は船首にあり、船首には船室を抜けて行った。

 船室は船員たちの食堂と寝室も兼ねているらしく、丸い船窓のそばにはいくつもハンモックが吊られている。

 同じように長い厚板のテーブルも椅子も天井から鎖で吊り下がっている。


「いいでしょう? どんだけ乱気流で揺れてもひっくり返りませんよ」


 ほぼぶらんこな椅子に座ったハクニーは面白がったが貴族なミゾレ嬢はかすかに眉をしかめていた。

 飛空艇の舳先は鳥のくちばしのように長く鋭かった。

 操舵室に入るとたくさんのレバーや計器類が視界を埋めた。

 中でも重要と思われる計器類は目につくところに設置されており、達筆で「高度」「実質風速」「エール残量」とあった。


「エール残量? エーテルの書き損じじゃないのですか?」


 不思議に思ったアカメが問うも艇長はそれで合ってると言った。


「オレたちドワーフ族の血は麦酒(エール)でできてるんだぜ。船に積んだ酒の残量ほどに重要な計器はねえだろお」


 そう言って硬く膨らんだ腹を叩いて笑った。


「艇長! 嵐の勢いが落ちたそうです。出航できます」

「よぉし、出航だ! 総員航空配置」

「総員航空配置ッ」


 副長シドの復唱が伝声管を伝って船内に響き渡る。


「バラスト投下ッ」


 船体に括りつけられた重い石が次々と解き放たれる。


「前翼開けッ」


 船体前部の翼が開く。


「後翼開けッ! 尾翼開けッ」


 次々と船体から山羊革を張った翼が解放されていく。


「天精気体充填! 揚力確認」

「揚力対重量比オールグリーン」

「客人がたぁ、艇が浮きやすんで手すりにしっかり掴まってくだせえ」


 ふうわりと体が軽くなったような錯覚を覚えつつ、アカメたちは手近な手すりに手を伸ばした。


「ようし、エンジン始動! プロペラ回せッ」

「エンジン始動! プロペラ回せェ」


 船体後部から激しい駆動音が轟いた。

 これがどうやら雷を集積して機械類が動き出した合図であるらしい。


「出発進行! 全速力! 進路は南ッ」


 艇長の号令で飛空艇がドックを離れ大空へと飛び立った。

 嵐の雲を突き抜け雲の上へと出るとそこは青一面の世界だった。

 アカメもハクニーもミゾレですらも見たことのない光景に唖然とし、高揚し、感動を覚えた。

 船はゆっくりと針路を南へと向ける。


「帆を張れ! 大気の精霊が今日はご機嫌な様子だ。風の恩恵を賜るとするぞ」


 飛空艇のマストに帆が張られた。

 空気抵抗も関係なく、海面を走る帆船のように飛空艇は風を受けて速度を増した。


「この風なら三日か四日でアーカムだ。あの国の野蛮人ども、腰抜かすぞぉ」


 艇長の大笑いは風に乗って大空に拡散されたが聞き届けられる者は当然いなかった。


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