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亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: 光秋
第三章 異界・探究編

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142/722

142 〈金姫〉ミナミ

挿絵(By みてみん)



 ゴォン! ゴォン! ゴォン!



 巨大な岩と岩がぶつかり合う鈍い音が聞こえる。


 ここは〈浮遊石地帯〉と呼ばれる砂漠。

 巨大な岩々がいくつも宙に浮いている奇岩地域。

 そんな砂漠で獰猛な砂嵐が発生した場合、大小さまざまな浮遊石はお互いバランスの取れた距離を狂わされ、衝突する。


 ゴォン! ゴォン! ゴォン!


 先程より聞こえるこの音がまさしくそれだ。


 鼻をひくつかせながら少女は目を見開く。 


「見えた! 〈浮遊石の嵐(ガム・デ・ガレ)〉! 大きい」


 遥かな前方、空高く渦巻く砂嵐の中に、乱れ飛ぶ黒い影が見え隠れしている。

 それは岩だけではない。

 そこに確かに彼女らが狙う獲物の影も見える。

 人間の視力では到底判別不可能なこの距離でも、彼女なら問題ない。

 遠目の利く〈猫耳族(ネコマタ)〉の少女メインクーンが巨石の上から報告する。

 そのふもとに待機していた他の五人が立ち上がる。


「やれやれ、ようやく来たか」

嵐流(らんりゅう)予報から遅れること四十二時間。ずいぶん待たされましたな」


 〈猿人族(ショウジョウ)〉の巨漢シャマンと〈犬狼族(ウルフマン)〉のウィペットがこぼした愚痴に〈狐狗(キツネ)族〉の女性クルペオが眉を(ひそ)める。


「嵐流予報は我ら狐狗(キツネ)族の符呪奥義による賜物。これなくしていかなる時に現れ出でるか見当もつかぬものぞ。それを……」

「まあまあクルペオ。あの二人は二十四時間戦ってないとこらえられない脳筋(バカ)なんだからさ」

「キキキ! その通りだ!」

「いや、褒めてないって……」


 クルペオを慰めようとした発言だったのに、何故か大笑するシャマンに〈兎耳族(バニー)〉のレッキスは呆れた。


「いるよいるよ! ジンユイ! 嵐の中を何匹も飛んでる」


 メインクーンが興奮しながら巨石を駆け下りてくる。


「よぉし! お前ら、狩りの準備はいいか?」


 少々くたびれた板金胸鎧(ブレスト・プレート)に両腰に捧げ持った二対の片手斧(ハンドアックス)、さらに鎖鎌を手にしてニヤっと不敵な笑みをこぼしながら、〈猿人族(ショウジョウ)〉の巨漢戦士シャマンが一同を見回す。

 隣で鎖鎧(チェイン・メイル)を着こみ槌鉾(メイス)方形盾(ヒーター・シールド)を用意した〈犬狼族(ウルフマン)〉の神官戦士ウィペットが頷く。


「とっくに準備できてるよ!」


 見た目は十代の人間の少女だが、猫の耳と尻尾を持つ〈猫耳族(ネコマタ)〉の盗賊少女メインクーンは、全身ぴっちりとした黒いキャットスーツ姿。

 同じく狐の耳と尻尾を持つ〈狐狗(キツネ)族〉の女性符呪師クルペオは白い着物に緋袴という巫女装束。

 兎の耳と尻尾を振る〈兎耳族(バニー)〉の女拳法家レッキスは、スラリとした素足を惜しげもなく披露したミニのチャイナドレス、身の丈よりも長い棍を持ち、両拳に金属製の爪の生えた手甲(バグナウ)を嵌めている。


「いつでもオッケー! ミナミは?」


 レッキスの視線の先にもう一人いる。

 明るい茶髪の緩いボブカット。小柄な体に革鎧(ソフト・レザー)をまとったその人間は、立ち上がると背中に担いだ大剣を引き抜いた。


「もちろんオッケー! どんな獲物でも任せて! 私は最強の姫神〈金姫〉なんだから!」


2025年5月25日 挿絵を挿入しました。

2025年9月21日 挿絵を変更しました。

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