↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
亜人世界をつくろう! ~三匹のカエルと姫神になった七人のオンナ~  作者: みちゃき
第二章 魔都・動乱編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

116/788

116 二明の刻


 闇夜に月が浮かんでいた。

 街はすでに眠りに落ち、日付が変わるまであと数分しかない。

 先ほどから風が強くなり、雲の流れも速度を増してきた。

 そのような時間であるが、トカゲ族どもは全員、荷物を搬入した倉庫に集まっていた。

 昼間とは違い甲冑を着込み、各々武器を携行している。

 昼から飲んでいたトルクアータと部下たちだが、これから始まるであろう事に高揚して酔いもすっかり醒めていた。


「いくぶん酒臭いがな」

「お前も飲めばよかったのだ、マラカイトよ」

「そうもいくまい。さあ、とにかく開けるぞ」


 全員が倉庫の中心に置かれた木箱を見る。

 船で海を渡ってきた大荷物だが、まさに彼らの任務はこの箱の運搬と開放であった。


「よいな。この箱を開けて、中の娘が目を覚ませば、すぐさまあの魔女がそれを感知できるという。我らは速やかに目的の場所に娘を連れて移動し、待機せねばならない」

「ああ、承知している。何度も確認したからな」


 旅の途中幾度となく確認した事柄であった。


「言われるがまま、こうしてこの地へとやってきたが、本当にこれでいいのか甚だ疑問は残るな」

「確かにな。だがあとは箱を開けるだけ。魔女への悪態をつくのはその後でもよかろう」

「そうだな。よし、お前たち、箱を開けろ」


 部下たちが木箱のフタを打ち付けている太い釘を抜き始める。

 全ての釘を抜きフタを外すと、中には土がびっしりと詰められていた。

 黒く湿った腐った土だ。

 その土を掻き出すと、やがて土の中から一振りの黒く禍々しい剣と、同じく黒い棺が現れた。

 その黒い剣はとても重たいようで、力自慢の部下が三匹がかりでようやく持ち上げることができた。

 そして棺のフタにマラカイトが手をかける。


「よいな、開けるぞ」

「う、うむ」


 トルクアータもマラカイトも心なしか緊張していた。

 どんな戦場でも怖気づくことのない二人だが、黒い剣と棺が現れてから途端にうすら寒さを感じるようになっていた。

 ゆっくりと、マラカイトが棺のフタを持ち上げる。

 倉庫内に灯された明かりが静かに棺の中を照らし出す。

 棺の中に、黒いスーツを着て、全身を革の拘束具で縛められた、肌の白い、黒髪の華奢なニンゲンの女がいた。

 棺の中の時は止まっていたのだろうか。

 女は傷ひとつ、汚れひとつない姿で、キレイに保存されていたかのようだ。


 全員が固唾を飲んで女を見つめた。


 数分、いやもしかしたら数秒もたっていなかったかもしれない。

 やがて微かな光を敏感に察知したのか、女のまつげが小さく揺れて、そしてゆっくりと両の目蓋が開いていった。

 女は目を開くと、身動きできないことと自分を見つめるトカゲ族たちの姿を確認し、落胆した。


「目覚めたようだ」

「そうだな」

「よし。いいか、娘。今からお前の拘束を解く。だが余計なことはするな。黙って我らの後についてくるのだ」

「理解しているだろうが、魔女はすぐにやってくるからな」


 女……黒姫こと深谷レイは、何も発することなく、ただその目を悲しげに伏せただけだった。


「では移動するぞ。作戦開始予定である二明の刻(午前二時)までに配置につかねばならない」

「遠いのか?」

「それよりもその場所が問題なのだ」

「というと?」

「その場所はスラム街なのだが……」


 マラカイトは一旦言葉を区切ってから声を低めて後を続けた。


「そこはこの街を実質仕切る、盗賊ギルドが間近にあるのだ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。