選ばれし五人
目を覚ますと、僕の知っている景色は消えた。
僕の双眸には、古い屋敷の黒ずんだ天井が映った。
どうやら僕はその屋敷のベッドで仰向けで寝ていたらしい。滑らかで柔らかい手触りに、僕は思わずベッドから出るのを拒絶してしまいそうになる。
しかしそうという訳にもいかない。知らない家だ。何をされても可笑しくはない。
気合いでベッドから出ると、その近くにある小さなテーブルに気付いた。僕は黒く長い邪魔な前髪を払った。
そこにあったのは、白い紙と黄色い宝石のような球体に金属の装飾が付いた物体。物体は天井のシャンデリアに反射して、上品でありながら儚く輝いている。
白い紙には文字が書かれていた。誰が書いたのかは分からないが、なかなか達筆である。
そこにはこう書いてあった。
エリック様へ
ようこそ。
この屋敷の中に貴方を含む才能のある五人の人間がいます。しかし、その中の一人は皆殺しし、その死体を悪魔に変えてしまう、貴方たちを閉じ込めた魔女です。
その魔女の死亡が確認されると、生き残った人間は外の世界へと帰ることが可能となります。
テーブルに置いてある宝石を忘れずに持ち歩いて下さい。それでは健闘を祈ります。
あまりにも非現実的過ぎて、一瞬思考が停止した。
皆殺し?魔女?夢の中なのだろうか。
夢だというのなら早く覚めて欲しい。生きて帰れるかも分からない事態だ、目覚めは良い方が絶対良いに決まってる。
宝石を僕の通学用リュックサックに放り入れた。
そしてドアノブを握り、魔女を探しに闇の中へと足を踏み入れた。




