20「それぞれの思い」
20「それぞれの思い」
・・・モルスの「終りのある使命」・・・
モルスを一緒に「罰する事」で、「終りの時を得た」
「モルスの天使」への慈悲深き「替わりの罰」
モルスが「使命を終えた時」・・・
「モルスの天使の欠片」が「天に全て帰った時」の事を考えると
ベファーナは、涙が止まらなくなった。
モルスと、似た経験をしていたラ・モールは・・・
自分の時と同様、泣きじゃくるベファーナの傍でベファーナを慰める
『僕の場合は母親で、モルスとは少し状況が違うけど・・・
自分の「大切な者」が「帰りたいと願う場所」に
「帰らせてあげられる事」って・・・
自分が寂しくなるけど、凄く嬉しい事なんですよ』
ラ・モールはベファーナを椅子に座らせて
下から覗きこむ様にベファーナの顔を見て微笑む
『どうか・・・ベファーナは、悲しまないで・・・
モルスが「大切な子を天に帰す事」を褒めてやってください
良く頑張ったと労ってやってください、それで救われますから
でも、ベファーナが泣いていたら、モルスも・・・
悲しみに耐えられなくなってしまうと、僕は思いますよ』
ラ・モールはベファーナの頬に触れて、自分の方に向かせ
ベファーナの涙をハンカチで押え優しく拭った。
トートも・・・
遠い未来、「モルスの天使の魂の欠片」の「全て」が集まり
地上から「天使の欠片」が「消えた時の事」を考え、泣いていた
エンゲルは、トートの隣に座り優しく微笑む
『外見が男っぽいからって、気にして男の振りしてても
やっぱりトートは「女の子」だなぁ』
エンゲルの言葉に苛立ったトートは何か言いたげに
エンゲルに顔を向け睨む
『モルスは、お前に「今の自分を悲しんで欲しくない」と
思ってると、俺は思うぞ・・・
好きな子の為にする事は、全て正当化されるもんなんだ』
エンゲルは、片方の翼を広げ・・・トートを背中から包み込んだ
『特に、こんな寒い日・・・「大切な子を失った日」には
自分の為に誰にも泣いて欲しくないだろうな・・・
だから取敢えず、泣きやめ・・・泣き腫らした顔が元に戻るまで
俺がずっと一緒に居て、お前の事を隠しといてやるから』
トートは小さく頷き、エンゲルの肩を借りて自分を立て直した。
そう、モルスが「大切な天使」の欠片を全て集めて切ってしまえば
もう、2度と・・・モルスは自分が「思いを寄せる天使」に
会えなくなってしまうかもしれない現実の中・・・
モルスもその事に気付き・・・
似た事をして「大好きだった母親」に「2度と会えなくなった」
と、言っていた「ラ・モールの話」を思い出し・・・
自分のしたい事を再確認する。
アンジェリカの言葉を思い出した・・・
『私と目が合いそうになると姿を消してしまうけど
何時も天使を目で追っている人の視界に少しでも入りたいの』
『天使でいないと私を見て貰う事も出来なくなってしまう』
彼女は「天使でいたい・天に帰りたい」と願っていた
思い出して・・・
じんわりと押さえ付けられる様に胸が痛くなった
「彼女の思い人が、自分であれば良いのに」
せめて・・・
自分が天使で、「彼女の傍に居られるなら、良かったのに」と
思い通りにならない「愛しい者の心」に対して溜息を吐いた。
『アンジェリカが好きな相手って、どんな奴なんだろうな?』
モルスは連れ歩いていたケルベロスに声を掛ける
ケルベロスの3つの首は・・・
言われた言葉の意味が解らなかっただろう
それそれ、首をかしげ不思議そうにモルスを見上げていた。
モルスは一人で笑いを洩らし決意を新たにする
今日は、彼女を自分の手で「地に帰した日」
『私は、君の為だけに「君の願い」を絶対に叶えるよ・・・
君が知る事は無いだろうけど、これが私の君への愛だ』
モルスの呟きは「公然の秘密」として・・・
冷たい粉雪の降る、冬の空気に溶けて消えた。
その事を、モルスの周りの者達の関係を
天から、地から「見守っていた神達」が・・・
頬を染め、ニヤニヤしながら見ていた事も
密かに、「公然の秘密」です。
決意を新たにしたモルスは・・・
今日も、アンジェリカの欠片を見付ける度に
彼女が好きだった「スノードロップの花」の「花飾り」を贈る為
彼女の為だけに作った専用の花壇で・・・
彼女を思い「スノードロップ」を彼女の為に育て
彼女の為だけに「彼女に贈る花飾り」を作る
7つに分かれた花壇は、一つ一つ成長段階が異なり・・・
必ず1つの花壇は、スノードロップ花が見頃を迎えていて
ベファーナや、同じギルドのメンバーの目を楽しませていた。
モルスの前では、ベファーナもトートも優しく微笑み
ギルドメンバー全員で・・・
モルスのやる事を、皆が全て応援してくれている
モルスは自分がとても「幸せ者」である事を自覚し
ベファーナの家に帰る度に心に刻んで
本当の「笑顔」をここで毎回「思い出す」
モルスはベファーナの家で英気を養い・・・
今も1人で、アンジェリカの欠片を集め続けている。
誰も手伝う事はできなかった・・・
手伝う事で起きる「弊害」を知り、理解し「大人の対応」で見守る
それしかできない現実に、「憤り」を感じても
誰も何もできない
そう、アンジェリカの処遇を決めるのは天に住む神の領域
天に住む神が更なる慈悲を与えるかどうかは・・・
天に住む神が決める結末
願わくば・・・
主の存在しない天に帰った「天使」に、モルスの為に用意された
「小さな仮初めの妖精」だった時の記憶が残り
彼に興味を持ち、何かちょっとした進展がある事を・・・
・・・もしくは・・・
彼が終焉を迎える時、彼の為に・・・
彼を送る為、彼を安らかに眠らせる為に・・・
彼女が、最期の時だけにでも彼の元に舞い降りる事を切に祈る。
・・・追伸・・・
その他の男達の片思いが成就するのは・・・
きっと、この物語の先にある2人の結末の後の御話
そして、最初の方から出演している
黒猫のヨシュアは、この後・・・
「雄猫の本能」故に旅立ちましたが、姿は子猫のままです。
今後、何かの御話に・・・
「上手」とは言い難い「偽名」を使って登場する事でしょうが
それもまた「別の物語」
その物語に出会った時は、よろしくお願いします。
「モルス」の御話は、ここで御仕舞い
そして、その他のメンバーが各自で繰り広げるであろう物語は・・・
勿論、別の御話です。
それを書くかどうかは・・・
特に、「色々な意味で甘いだけの関係」の方を書くかどうは・・・
私の性格上、微妙です。




