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幻の島に流されたわけだが  作者: たぬー
第一章

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それぞれの別れ



 翌朝、頭痛を治癒魔法で治しながら、ぶっ倒れて寝ている人達の二日酔いを治してやる。


 するとセイラ婆さんが、ガンガンと鍋を叩いて無理矢理起こす。


「寝てるんじゃないよ!!!仕事は山ほどあるんだから早く起きな!!」


 治してはくれないのだな、と苦笑する。仕方なく二日酔いを治してやり、なんとか男達は動き出した。


 今日は、フェンリルクイーン達が北にあるという山に帰るという。もう魔物がくることはないからだろう。この三頭がきてくれて、戦況は一気に楽になった。そう考えると、感謝してもしきれないな。


 みんなで相談し、麻袋をたくさん繋げて巨大な袋を三つつくり、リュックのように背負えるようなものを作った。その中に、最後に飛来したジャイアントホーク肉をたっぷり詰めて、おまけに首にも袋を吊るして、ヒッポグリフやシーアリゲーターの肉を詰めた。咥えて持っていく用に、ジャイアントホーク丸のままを三つ出した。


 飛べるか不安だが、魔法でなんとかなるだろう。せっかくならたくさん持って帰ってもらわないとな。せめてもの礼である。


《フェンリルの女王、今回は助かったよ。あとで遣いをやるから、それを私たちからの礼として思っておくれ》


《…キングによろしくな》


《何、我が仔を育ててくれた礼を返しただけのこと。中々楽しい狩りだったよ。また会おう蛇よ、そして人間たちよ。ウェルナー、次会うまで死ぬんじゃないぞ!》


「フェンリルの女王、フェンリル達…本当に助けに来てくれてありがとう!少ないけど、ジャイアントホーク肉を群れに持って帰ってくれ。それと…ガロウによろしく!元気でな!!」


 フェンリルの女王とフェンリル二頭をモフモフしてやり、別れを告げた。フォレストウルフ達も「アオーン!」と鳴いて、さよならを言っているようだった。


 ふわりと舞い上がりこちらを見下ろすフェンリル達にみんなで手を振って。フェンリル達は北の空へと消えていった。また会おう、フェンリル達。


 そして――アクアドラゴンの最後の1ペアが目を醒ました。


 翌朝には、みんな海岸に集まりアクアドラゴン達をお見送りする。アクアドラゴンの赤ちゃんは水色で、小さいのにもうあちこちを泳げるくらいだった。


《…ふん、人間のくせに頑張ってたわね。大体身体に多少傷がつくのに、今回はつかずに快適だったわ。まあ、一応礼を言うわ》


「俺たち結構やるだろ?なんてな。ドラゴン達が安心して子育て出来れば、それでいいよ。礼なんていいから、元気でまたいつか来てくれたら嬉しい」


《ふん、せいぜい頑張ることね。―――じゃあね、蛇!来年も仲間を頼むわよ!》


 一番位が高いという雌ドラゴンは、くるるー!と鳴いて、仲間たちと深い海へと消えていった。また元気で会える日が来ることを祈ろう。


 ちなみに、サンとフレッド曰くドラゴンの卵の殻と落ちている鱗は非常に貴重だというので、これも売ることになっているので、みんなで必死に回収だ。


 あとはアースドラゴンの長達ペアなのだが、やはり目覚めるまで時間がかかるのだと思う。まだ目醒めないそうだ。もうすぐではあるのだそうだが。


 ーー更に翌日。


 フレッド、姐御と兄貴に頼んで、春だけ参加組を、ペリネシア王国、エーリッヒ共和国、神聖王国近くの海に送ってもらう日だ。


「急だったのに手伝ってくれたこと、本当に感謝する。全員の報酬と目録だ。受け取ってくれ。内容は全員統一だが、もし欲しい物があるならそれぞれで交渉するか、フレッドから正規価格で買ったり売ったりしていいからな」


 来年まで来ない予定の人達に、木箱を渡していく。金貨、親指の爪くらいの最高級魔石、各種魔物の素材、更にドラゴンの鱗をつけた。


 すると傭兵ギルドの爺さん達が「こりゃ一生遊んで暮らせるぞ!」とか「短期間でこんな仕事ない!」と喜んでいて、ピコとエイムはアスラ殿や傭兵ギルドの新人に金貨と魔石の交換を持ちかけている。


「そのかわり、来年もよろしく頼むということと、そのための準備資金を含んでいるからな。あとは口止め料だ。魔法契約を交わしているが、改めてこの島の存在を漏らしたら……」


 どうなるかわかってるよな?と住民みんなで微笑む。まぁ大体任せな!みたいな感じだが、傭兵ギルドの新人達はびびっている。来年までに多少強くなっていたら嬉しいな。


 傭兵ギルドの爺さんと新人達は全部金貨にしていて、アスラ殿は魔石以外を部下の騎士達にやっている。太っ腹だな。ピコはほとんどを魔石に変えていて、魔物の素材もドラゴンの素材以外は売っていた。エイムはほとんど魔物素材に変えていた。リリィは変えてないので、金貨はリリィということなのだろう。


 そんな感じで、それぞれが納得いく報酬となったところで、春だけ参加組を見送った。アスラ殿一行をペリネシアへ、傭兵ギルド員達やピコをエーリッヒへ。そしてエイム達を神聖王国に近い近隣の国へお願いしている。


「来年まで元気でやれよ」



 ――二日後、ようやくアースドラゴンの長達ペアが目を覚ました。


《はあ…やっと私の役目が終わった……》


《爺さん、もう仔を作るのは身体に悪いぞ……》


 大蛇達はようやく気を抜けたようで、二匹してため息をついている。キングなんかはもう来るなと言うオーラまで出ている。


 アースドラゴンの長の雌のお婆さんももうさすがに〜なんて言っている。何かのフラグでないことを祈る。


《いやぁ、毎度ながらありがとうだで…特にウェルナーだったか?おめさん、身体張りすぎだど。見えてはねえけんど、おめさんが身を挺して護ってくれたのはわかっとるだ。本当にありがとうだよ》


「気にしないでくれ。ドラゴン達が安心して子育てできればいいんだ。こうやって元気な姿を見れたから、それでいいよ」


 この会話はもう何度もしている気がするな。気にするな、とお爺さんドラゴンをポンポンと撫でてやる。


「あ。そうだった!いなくなる時に、フォレストドラゴンを神聖王国まで届けてやってくれないか?方向音痴だからさ……」


《そうだっただな〜。わかっただよ、ちゃんとあっちの長に届けるだ》


 フォレストドラゴンはまだ巣立っておらず、アースドラゴンに連れて行って貰わないと神聖王国に帰れないのだ。だいたい北西に真っ直ぐだが、絶対迷うので、とにかくちゃんと帰ってほしい。心配すぎる。


 長達ペアが起きたのを知ったフォレストドラゴン家族は、ぺこぺこ頭を下げて連れて行ってもらえるよう話している。連れて行ってもらえるとわかるとホッとした様子だった。


 そして翌日には無事に長達ペアの子供が産まれてきた。すぐに飛べるようになった赤ちゃんを見ると、嬉しいが寂しくもある。行ってしまうんだな。


《世話になった〜…来年も頼むど〜》


 といいながら、フォレストドラゴン達も連れて西の方へと飛んで行った。ようやく全部、終わったんだな。


 みんなで急いでドラゴン素材を拾って、更にこの島を一時的に離れるための準備も、急ピッチで進んでいった。


 神聖王国辺りから戻ってきた姐御に、家畜やら水虎やらを詰め込んでいく。途中鬼人族の島に寄ってジャイアントホークの卵を渡すので、それの準備もして。


 全員乗り込んだところで、大蛇達のところに行った。二匹は仲良く寄り添っていて、よく見るとクイーンの腹が膨れている気がする。早めに退散した方がいいな。


《ウェルナー。私たちに気を遣わなくてよかったのに…》


「なんのことだ?俺たちはペリネシア王国の建国祭に行きたいだけだ。お土産買ってくるからな。…キングは、これでお別れだな。元気でな!また来年会おう!」


《…まあ、クイーンが悲しまないように早く帰ってこい》


「おう!あ、畑の水やりだけチビ達にやらせといてくれよ!じゃあな!」


 それぞれの顔を撫でてやり、すぐに巣を出る。アル、ビノ、ミディそれに、金色の人懐っこい奴がついてきた。お前も来るのか?と言うと、頷いた。ちなみにこいつはミディより話せる。なんか名前つけようか。


 身体強化して、西の入江に走る。姐御の顔が入江の出口にはまっている。一応振り向いて、忘れ物はないかな?と考えて。あってもたいしたものじゃないな、とさっさと姐御に乗り込んだ。


 姐御には商船も一緒に運んでもらう。この中にたくさんの住民が入っているのである。


「よーし、頼んだぞ姐御!」


 そうして俺たちは、隣国ペリネシア王国の建国祭へと向かうのだった。






これにて第一章完結です。次回更新は少し空いて、7月1日予定です。

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