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6月11日 ルーネとインジと元カレと。

 ただ会う筈が、忘れ物が有ると家へ。

 そのままご両親とお祖母様とご挨拶する事に。


 お金持ちなのに実にフランクな方々で。

 そのまま結婚の承諾まで得てしまった、ハーレム形成者なのにだ。


「ルーネ」

『だって、本当に忘れ物だったんだもの。それと、はい』


 指輪、ピッタリ。


「ピッタリ」

『寸法のプロだからね』


「そんなに赤ちゃんが欲しいか」

『それもだけど、女体を試してみたい』


「ちゃんと防音?」

『そんなに?』


「ルーネだし」

『もー』


 当然だが魔道具の数が豊富では無いのと、悪用防止の為、結婚していないと魔道具は国から貸しては貰えない。


 それから女体化して検査をし、妊娠率があまりに低いと取り上げられ、妊娠率の高い人へと優先される。

 ココで利くのか、道徳スコア。


「よし、結婚するか」

『あ、プロポーズはちゃんとさせてね?』


「派手なのはダメだよ」

『勿論、だからシオンもお願いね』


 そうして今度はご両親と妹さんと大使館へ。

 そこで入籍し、そのまま役所へ。


 魔道具には空きが有るそうなので、魔道具を持って病院へ。

 ご両親はそのままデート、妹ちゃんが付き添ってくれる事に。


『あ』

『インジ、帰る?』

「どっちが元カレだ」


『男の方』

「女体化しないんかい」

『僕でも少し怖いし、妊娠率の問題かもね』


《聞きたいじゃろう》

「あぁ、ね」


 妊娠率は元カレの方が良いらしいが、離婚して職も失ってしまった方が女体化を呑んだらしい。

 しかも結構強引だったそう。

 相手の女性にはまだ好意が有り、精子提供を受けてまで彼の子を欲しがった、女体化した方もそれなりに情が有り、少し不憫じゃと。


『彼、それなりにお金持ちだから』

『ギラギラしてて眩しい感じだったけど、彼女、大丈夫かなぁ』


 介入したいなぁ。


『見せしめには最適かと』

《今こそじゃな、誘惑の魔法を教えてしんぜよう》


 初めてかも知れない、意志を持って誘惑してやろうと思ったのは。

 そう最初から、そう思ってコントロールすべきだったのかも知れない。

 でも、それは結果論、無理だよ、誘惑したら責任取らないとって思う派だもの。


「不安は体に障りますよ。関係者ですが、何か不具合でも?」




 シオンが女体化した方へと声を掛けた。

 関係者だと言うと、彼女は直ぐに泣き出した、そして医療関係者と共に別室へ。


 そしてインジの元カレがコチラに気が付いた、自分のしてきた事に負い目が有るのか、私達へ怒りの表情を持って向かって来た。


『病院での揉め事は良く無いと思うよ、それよりお相手の心配をしたら?』

『うん、負い目が有るからって私達が邪魔をしたと思い込んで因縁を付ける前に、相手を思い遣るべきだと思うけど?』


 そうして引き下がったと思うと、別室へ入る事も拒絶されていた。

 凄く、良い気味。


『良い気味だって思うのは、性格が良くないかな』

『ざまぁって思われる方が悪い、私達は正常』


『だよね』


「ルーネ、インジ、ちょっと来て」


 シオンが顔を真っ赤にした彼を無視し、私達を手招きした。

 そして気持ち良く別室へ。




 ざっと言って温度差、だろうか。

 元カレは子供が欲しい、愛してるから欲しい、自分も欲しいけど。


 自分は妥協も有ったけど、奥さんを愛していた、彼を忘れられない事も受け入れてくれた女性だからこそ、ちゃんと愛せる様にもなっていた。

 それなのに背中を押してくれたのは彼女、慰謝料は無し、精子提供と定期面談だけ。


 片や彼の方は子供が持てないからと別れを告げられたんだと、そして今回は魔道具の事で復縁になった。

 最初は嬉しかったけれど、どうしても妊娠するのは自分の方だけなのが引っ掛かっているんだと。

 ヤキモチから求められてるんだろうと嬉しかったけれど、仕事が有るから妊娠する気は無いと言い切られたのが引っ掛かってるらしい。


『成程ね、何で私達を呼んだか分かったかも』

『私は元カノ、そして兄が彼のお相手で、妊娠する側』

「ルーネの方が稼ぎも良いし仕事も有るけど、妊娠したいって言ってくれた」


『さっき結婚したんだよねー』

『忘れ物の序でに家族に会わせてプロポーズして結婚したの』

「正式なプロポーズは追々ね、妊娠最優先だそうなので」


『だって、沢山欲しいし、シオンは体弱いから』

「それはすまん」

『適材適所。不安を和らげたい?真実を理解したい?』


 インジの言葉に、彼女は真実を理解したいと答えた。

 良い人かも。




 元カレの妊娠予定の人は、正式なプロポーズを受けて無いらしい。

 沢山して、納得して、そのまま。


 そう思い込まされてただけ。


「あぁ、相手の情熱に呑まれちゃった?」

『だと思う、アナタは優しいし良い人だけど、彼は少し強引でかなり利己的なタイプ。それが良かったんだけど、アナタとの場合はどうだろう。結婚式はどうするの?教育方針は?』

『ウチは折衷案、常時良い事は家訓にして追加していく感じだよ。惜しまない、感情表現は口頭で、とか』


 泣いちゃった。

 妊娠とか離婚とか、久し振りに盛り上がって、とかで。

 全然、話し合って無かったって。


「そりゃ不安だ。一旦外して落ち着いた方が良い、その状態は不安定になると元に戻るのに時間が掛かるから」


 シオンは関係者なだけあって、男なのに女体を良く分かってる。

 うん、兄さんと結婚してくれて本当に良かった。

 例えハーレム形成者でも、これからも大事にしてくれるって期待出来るもの。


 そうして医療関係者によって魔道具が取り外され、返却へ。

 そのまま同じ場所で、兄さんは取り付けて貰う事に。


 病院側もこうした事態を想定してくれていたのか、裏口から私達を車まで送り出してくれた。


 そのまま元カレの相手も一緒に、兄さんの保養地予定先だった場所へ。


 シオンは合間に兄さんにも私にも、そして男に戻ったノアにも気を遣って話してる。


『シオンは気にしい』

「良く言われる、人見知りなの。それに」

『それに?』


「ねむい、向こうは真夜中だもの」

「あ、それなのに、ごめんなさい、ありがとう」

『大丈夫、シオンはお昼寝する子だから』

『兄さん、席順変えよう。後ろで寝てて良いから、ほら』


「すまんね」


 シオン、秒で落ちた。


『眠いと喋るのって不思議』

『フォローしたかったんだろうね、ふふ』

「すみません、ご迷惑をお掛けして」


『上手く行けばママ友なんだから、気にしないで』

『ダメならシオンが何とかしてくれるかも、珍しい血筋のハーレム形成者だから』


『こら、勝手にカムアウトして』

『シオンに惹かれてるなら仕方無いって事、それが彼の特色だから。兄さんもそれは了承してる、私は他を探すけど、惹かれるなら素直に惹かれて見た方が楽な筈。ちゃんと見て、比べて、良く考えて』




 目覚めると、ノアさんの手にスリスリしてしまっていた。

 土下座ってココでも通じるんだろうか。


「すまん、癖が出たかも」

「いえ、私は良いんですけど」

『ヤキモチ妬いちゃうかもー』

『嘘を言って誂わない、もう着くよ』


 ドイツ近くのHøjer(ホイヤ)、その川沿いのホテルへ行く途中、お腹が減ったのでカフェへ寄って貰う事になった。


「良い、テラスが良い」

『はいはい、中にケーキが沢山有るよ』

『私達オススメのカフェ』

「そうなんですね、ふふ」


 ケーキとパン、それとチョコレート菓子が沢山。

 全部食べたいけど。


『チョコは全部、お持ち帰りで良いかな?』

「うん、それ以外は」

『限定メニューを選んであげるから、オープンサンド選んでて』

「ふふふ」


「ふふふじゃ無いの、ワシ大食いだから手伝って、どれが食べたい?一口で良いから」

「じゃあ、コレで」


「おう。ルーネー全部ー」

「ふふふ」


 全部は却下され、普通のオヤツの量に。


『ベーカリーも有るから、そこで買ってあげるよ』

『フィーダーに目覚めそう』

「それはイカン癖だろうに」

「はぁ、人と居るのが久し振りの感覚なのは、変ですよね」


「『それはそう』」

『ごめんね、この子達って正直で』

「いえ、彼も率直な方が好きなので。なのに、どうして私なんでしょうね」


「蕾ちゃんに見えるからじゃね」

『シオンは私より率直』

『だね、どう思う?色々』

「今は凄く気が楽で、それに対して罪悪感が湧いてます」


「優し過ぎ」

『うん、自分の感情を最優先にすべき』

『どんな時でも真っ先に自分を大事に出来るのは、自分だからね』

「私、両親と相性が悪くて、直ぐに寮生活だったんです」


 そこで出会った。

 半ば幼馴染、いつか女の子になって結婚するんだと思っていたらしい。

 でも、趣味嗜好は男の子そのもので、女の子も好きになった時もあった。


 だけど彼にも惹かれて、彼も好きだと言うから関係は数年前まで続いた。

 でも子供の事が気になる年齢だからと、彼から話を持ち掛けられ、別れる事に。


 パン職人だそうで、職場で女性を紹介して貰い、全てを話して結婚。

 ワシと同じメンクイさんだそうで、顔が良いから良いと、結婚、豪快。


《誰かに似ておるのう、くふふ》


 そして致せる様になった頃、魔道具の話へ。

 なんとなく奥さんから話を聞いたらしい。


「なんでまた」


 2人の顔は好きだし、兄弟になれるかもだし、話し合いには応じるから良く考えてと。

 そして本当に彼が来てしまった。

 代わりの職人とお金を持って、そして奥さんは条件を呑んでくれるならと。


 それが精子提供と定期面談、イベント時には他の子供も一緒で良いからノアを子供に合わせろと。

 元カレが呑み、ノアも了承した。


 抱かれる側なので、つい、貪り合ってしまったらしい。


『インジ、ちょっとパン屋へ行ってくれない?』

『ノアは聞かれたく無い?』

「いえ、でも元カレさんですよね?」


『吹っ切れた、もうお相手候補が2人も居るし』

『インジは可愛いからねぇ』

「それであの、何を?」

「ルーネ、男は初めてだからそれかも」


『うん、疑問なんだけど……』


 要は、受け攻めの話へ。


『大変だったね』

「女性体って良いなと思ってたけど、妊娠が関わると、体に出ちゃうよね」


『そっちも、大変だったと思う。シオンは分かるでしょ、大変さ』

「まぁ、女性体は経験はしとるが」


『ノア、シオンは良い子だから試したら?』

「なんでそんな事に?」

『さっきインジがカムアウトしちゃった』


『だって惹かれてるみたいだから、ごめんなさい』

「いや、カムアウトは良いけど何でそうなる」


『上手そう』

「どこが」


『丁寧っぽそう』

「急に女の感性で話しやがって」


『言語化し難いの』

『雑では無いのは確かだよ』

「もう、それ以上言うな」


「惹かれたのは、事実です」

「魔法を使っただけ、秘密の魔道具とかをね。引き離す為に掛けただけ、一時的だよ」


「なら、いつ解けますか?」

《せねば解けぬよ、くふふふ》


 イラッとして後先を考えなかった代償だ。

 そうだよな、ドリアードはそう言う精霊だし。

 でも他に。


「そのうち」

『シオンの優しさにだけ惹かれたなら、きっと気の迷いだけど。私も、一目惚れみたいな感じだったし、ハーレム形成を呑んだから、反対はしないからね』

『1度して冷めるのも居るし、そしたら忘れれば良い、生産性が無いから』

《じゃよ、熱いうちに打てば冷めるモノじゃ。教えた対価とでも思うんじゃな、くふふ》


「でも、ルーネに嫌われたく無いんだけど?」

『私が悪い恋に落ちて、他の誰かにこの手段を取られたら、シオンは怒る?』


「いや、だけどなにも今日」

『車に行ってる』

『私はお会計してくるね』


「ノア、時間が経てば」

「時間が経てば、私は彼に戻ってしまうかも知れない。もし良い選択肢が有るなら、見過ごしたく無いんです。もし、良ければですけど、その、出来るなら、で」


 華奢で繊細で細くて綺麗。

 全然、出来るけどもだ。


『終わったよ、悩んでても夜は来ちゃうし、取り敢えず宿に行こう?』

「はい」

「おう」




 彼は出来無いと少しイライラしながらも、優しくはしてくれた、大丈夫だよとは言ってくれた。

 でもシオンさんは違った、もう、全然違った。


「あの、いつ覚めるんでしょう?」


「もう、覚めてる筈なんだけど」




 シオンを車で迎えに行くと、ノアに深く頭を下げられた。

 私のシオンはモテモテ。


「ごめん、お腹減った」


 そして大食い。


『イタリアンで良い?』

「うん」


 そして良く食べるから元気、まるで何も無かったみたいに元気。

 だからハーレム形成者なのかも。


『本当にしたの?』

「残念ながら、新婚早々なのにすまん」


『ううん、あの彼よりノアを幸せに出来そうなのはシオンだもの』

「心が広いと嫌われるかもよ」


『じゃあヤキモチ妬く、シオンの女性体を見せて』


「誠に言い難いんだが、顔がハナになっちゃうんだよ」

『双子なら仕方無いよ』


 前に会ったハナよりお肉が付いてる。

 柔らかくて可愛い。


「どうだろうか」

『声、ハスキーでセクシーだね。体も、ハナより安心かも、ふにふにで可愛いね』


 小さくて柔らかくて可愛いくて。


 ハナに似てるけど、シオンに見える。

 優しいシオン、可愛いシオン。




 帰ったら、どう説明しよう。


《ぐっすりじゃな》

「今、向こうは何時よ」

『明け方の6時だ』


「はぁ、一服するか」

《これ、シオンで出ぬか》


 紫苑になり、一服。

 真っ黒、静かで長閑。


「どうしたもんかなぁ」

『奥方とは既に和解が成立し、顔を見せに行くと言っているな』

《じゃがなぁ、アレの方はお主に無自覚に惚れてグチャグチャじゃよ》


「あの感じからしてざまぁなんだが」

《じゃな》

『流石にワシも、同意する』


「そんなにか」

《濃い味じゃし、お主は無理じゃろうとな》

『だろうな』


「うん、何か、死ねば良いのにと思っちゃった位だし」

『相性が悪いそうだ、性格の、な』


「先生?」

『あぁ、経歴は渡して有る、知ってみたら良いさ』

《じゃの》


 元カレはルーネと同い年なのは知ってたが、成り上がったタイプらしい。

 経営手腕の有るオラオラ系、ノア以外にも相手が居たらしく、女相手は遊びだったんだとか。


 結婚を考える様になり、インジに目を付けたが、魔道具が発表されてからノアの行方を調べて、接触。


 うん、やり方も何もかも苦手。


【致して解除しますか】

「ネムちゃんに頼まれても金を積まれても無理だが、本当に致せば解除されるの?」


【そう言った魔法だそうですし、致さなくても正しく忘れる努力をすれば解除されるそうです。問題は灯台の方ですよ、文字通り、目に焼き付いて離れない】

《外商は可哀想じゃのぅ》

『今日の様に腹を括れば良いモノを』

「じゃあ紫苑で誘惑するか」


『しまった、そうくるか、すまない』

【挟み撃ちは可哀想ですよ、ちゃんと経歴も用意しますので精査下さい】

《じゃの》

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