4月21日 何だかんだ言って、働くと言うか、何かはしたい。
いつも通りに起床、今日は午前中だけ省庁に行く事に。
何も連絡は無し。
箱庭も製作していないらしく、新規製作は無し。
何も、桜木さんの情報は無し。
出勤。
《おはようございます》
「おはようございます先生、何か有ったんですか?」
《いえ、何も無いですよ。今日は会議なので》
「あぁ、そうなんですね」
《はい、では》
桜木さんの情報は何も無いまま、退勤時間になった。
帰り支度をしていると、同僚に話掛けられた。
《あの》
「何でしょうか」
《もしお時間が》
「無理です、他に何か」
《いえ、失礼しました》
前にも断った筈なのに、邪魔しかしないで何がしたいんだろうか。
桜木さんの事がどうしても気になるので、急いで先生を探したが、見付からなかった。
もう、人を殺すか何かしそうだったので、ショナさんを昼メシに連れ出した。
勿論、ショナさんの奢りで。
何で殺気立ってたかって言うと、勿論桜木様絡み。
「マジで依存っすねぇ」
「好きでも知りたく無い派ですか」
「んー、だって俺らの職業的に相手は知れないのに、俺が知れるって。不公平だし、仕方無いっつーか、無理じゃないっすか?」
「一般の場合はそうでしょうけど」
「まして桜木様は誰か使って知ろうとはしないんすもん、どうしたって不公平じゃないっすか」
ハッとして落ち込んで、また悩んで。
思春期じゃん。
「そう、ですね」
「どんだけ効果続くんすかねぇ」
「それが聞きたくて先生を探してたんですけどね」
「そもそも、教えてくれるんすかねぇ」
またハッとして。
自分の事となると思考が鈍いんすね、桜木様が居ないとこんな面倒な人だとは。
「はぁ」
「もう、付き合えたらどんなデートするとか考えて気を紛らわせるのはどうっすか」
真っ赤。
桜木様のウブセンサー、マジ高感度。
フンスフンスと起こされて、ドアを開けて見送る。
粗相は一切無いけど、大丈夫かしらあの子。
今日はスパイス市場でお買い物。
昨日は雨で出歩かなかったが、他の人も同じ考えだったのか人出は多め。
ただゴミゴミはして無い。
何とか、クチナシの花の乾燥品ゲット。
もういっそ自作するべか。
休憩しつつ、タブレットでクチナシの花の乾燥した品物を検索、数は少ないし高い。
こう、ニッチな品物を売り捌くのが良いのかも。
アレだ、行商人的な。
良いかも、楽しそう。
ただ信用度がなぁ、ヤバい行商人と思われたら買って貰えないし。
もう空間移動の魔法が普及してしまえば、ダメか。
法整備に莫大な金と時間と人が、いや、提案だけなら良いか。
先生にメール。
[運送屋は、実現出来そうですか]
[はい、既に進行中です]
ですよね、ワシより頭が良い人はいっぱい居るんだし。
[行商人みたいな事がしたい、先ずはクチナシの花の乾燥した品物とか。ニッチ産業の隙間で動いてみたい]
[検討しておきます]
ダメかもだよな。
価格崩壊起きたら他に迷惑が掛かるかもだし、でもなぁ、良い品物は普及して欲しいのよな。
《どうしたお嬢ちゃん、勉強か?難しい顔してどうした》
「おっちゃん、ワシ成人ぞ」
《お、偽造じゃねぇんだよな?》
「おう、コッチもや」
《で、どうした》
「お仕事探し」
《あぁ、家業は何か無いのか》
「あー、串焼き屋、お祖母ちゃんがヤキトリ屋だった」
《アレは良い品だ、酒に合う》
「知ってるのか、お味を」
《日本人街に、行って無いのか?》
「あ、スルーしてたわ。ココのメシが好き過ぎて」
《腹鳴ってんじゃねぇかよ、珈琲飲んで無いでメシ食ってこい》
「ふぇい、ご馳走さまー」
日本人街は後で行くとして、今日は桟橋辺りでサバサンド。
骨が無いのが特に良いよね。
カモメを牽制しつつ3ヶ所のサバサンドを制覇、まだイケるか。
ジュースで良いか。
ニンジンジュースを飲みながらボーッとし、またタブレットを弄る。
せいちゃんや井縫さんと、沖縄に店を出すとかバカ話したよな。
小さい島で昼は珈琲、夜はヤキトリ屋。
ダメだなぁ、涙脆い。
運送屋も、結局はどうしてたんだろうか。
移民の綿花や染物は政府預かりだし、サフランも。
もう、好きな花とかそこらへんのを適当に売って過ごすで良いか。
後は宝くじでも買って。
買うか。
いや、他の人に夢は譲って。
あ、青い薔薇。
普通に有った、何なら青い菊も有る。
良いな、寒色系なら大概は好き。
こう言う研究の手伝いはダメなんだろうか。
画像を添付し、研究の手伝いはダメなのかと送信。
検討中とだけ返事が来た。
永遠に振り出しに戻されるんじゃ無いかと心配になるレベル。
0でもそうだったし、もう考えるの止めようかな。
『セーフティーが居ないとマイナス思考で完結する癖、直しましょうね』
「あぁ、ソロモンさん、求めて無いぞ」
『緊急避難です。お1人だと、直ぐに諦めて直ぐに投げ出す、良くないですよ』
「過保護」
『可能性の芽を潰すのは忍びないので』
「良い案有る?」
『行商人、良いと思いますよ』
「信用がね、詐欺や犯罪に巻き込まれたく無いし」
『折角なんですし、そのまま世直ししちゃえば良いじゃないですか』
「あー、楽しそう」
『そうして現地妻を拵えて心配されるんですよね、分かります』
「複数推しがココにも」
『1人意外、全員遊びでも良いですよ?』
「極端」
『アナタが言います?』
「おう、言う」
『気分転換にハマムにでも行ったらどうですか』
「おう、行ってくる」
桜木花子の提案。
行商人の案は、神々と人間とで真っ二つに分かれている。
神々は面白そうだからやらせるべき。
人間は危険が危ないので反対だと、過保護が子供の良さを台無しにする良い例ですね。
『ネイハムはどう思う』
《桜木花子を信用しているかどうか、ですかね。私は信用しているので賛成です、現に吸血鬼も退けてますので》
それでも過保護は収まるワケも無く、一旦休憩となった。
『過保護』
《本人の為と思うのは分かるんですけれどね》
『あ、ハマムから出て来たって』
《本当は吉報をと思ったんですがね、大丈夫そうですか?》
『ううん、また誰かの事を考えてるみたい』
《もう、抱き締めにでも良いので行って貰えませんかね》
『我慢した方がハナは喜ぶから、だから我慢する』
《エナさんは我慢出来る様になって偉いですね、それに比べて元魔王の情けなさと言ったらもう》
『ショナよりアレクが1番ヤバいのはビックリした』
《アナタでも驚く事が有るんですね》
『私は演算弱いもん』
手紙にしたけれど、今度は出すのが怖くなった。
ネイハムが渡すと言ってくれたけど、感想が怖い、キモいって思われたらと思うと、急に渡せなくなった。
しかも白雨は遠慮してくれて、今度で良いって、申し訳無くて堪らない。
「ごめんね、マジで」
『別に問題無い』
「なんで」
『運に任せてる。この場合、きっと無理に渡しても、良い事が無いかも知れない』
「ポジティブ」
『ハナはネガティブだから、練習した、思考の練習』
「俺も、そうした方が良いのかな」
『言われてから変えたって遅くない筈、俺はカールラに言われてから学習を始めた』
「どうしてウジウジしちゃうんだろ」
『好きだと悩む』
「そっか、だよね」
関心が有るから悩むんだもんな。
やっと、桜木さんが箱庭を作った。
でも、それを見るべきじゃ無かったかも知れない。
沖縄のお店、と題された丸い箱庭。
船着き場には蝶々の群れ、少し行くとカフェと居酒屋、その先には白い一軒家。
思い出と理想が具現化された箱庭、島民なのか井縫さんなのか、観上さんなのか、紫苑さんなのか。
デートプランなんてとても考えられない、上書きしたく無い。
だけど、一緒の思い出は、欲しい。
もう、何処でも良いから一緒に居たい。
桜木様の箱庭の通知が来た。
罪な人っすね、ショナさんダメージ凄いかも。
「もしもーし、見ました?」
【はい】
「テンション低いっすね」
【アチコチに思い出が有って、だからもう、無い場所なら何処でも良いかなと】
「上書きしたく無いんすか」
【下書きに掻き消されそうですよね】
「あー、ビビりっすね」
【ですね】
「見てくれるか分からないっすけど、箱庭で作ったらどうっすかね、一緒の思い出」
【ありがとうございます】
「じゃ、次は合コンっすねー」
切られちゃった。
でも、きっと来て、来てくれんのかなぁ。
またユラちゃんが来た。
先ずはお水を飲ませ、一服し、お風呂に入れて、そしてベッドへ。
「君は誰かに言われて来てるの?」
クンクン。
「ハイは1回、イイエは2回、他は3回」
ワフン。
「誰かに言われて来てるの?」
ワフンワフン。
「捕まる心配は無い?」
ワフン。
「心配で来てくれてる?」
ワフンからのクンクンクン、何だろ。
「困ってる事が有る?」
ワフンワフン。
じゃあさっきのクンクンクンは、何だろうか。
「ソラちゃん、何だと思う」
《居心地が良いんですか》
ワフン。
「なるほど、ワシもやで」
夜だけ来るのがまたね、丁度いい。




