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白物魔家電 楓(しろものまかでん かえで)  作者: 菅康
第弐章 予備備品室の幽霊譚
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根源までの道のり(その壱)

霧先先輩と二人、旧校舎の廊下での会話に、今までの謎だった部分が徐々に明確化されて行く。

不明な部分が、まだまだたくさんあるが、俺はこれからも、それに向き合い続けて行くだろう。


**旧校舎での1幕が今より始まる**

旧校舎に急いだ二人が見たものは、複数に増えている朝の男子高生達だった。

その後、俺こと千丈蔭の大活躍により。

苦闘しながらも、なんとか一人を捕獲した。

捕獲した男子生徒は、霧先先輩の魔女の能力で消し去る。

そして魔女の能力について聞かされたのであった。


**

根源までの道のり(その壱)

014


「先輩の能力を聞いて、納得しました」


驚きと、驚愕のち、納得である。


なるほど、これなら俺と花咲が、ここに来ることが解っていても不思議ではない。


「じつは、それほど千丈くんが思ってるほど便利でもないのよ」


「そうなんですか、未来が見えたら便利じゃないですか」


「未来については、夢の中で見るといった感じかしら、なので未来が(・・)ると、いうわけではないの。狙って未来は見えないし、見えた未来も、ほんの少しの出来事で変わってしまうのよ」


確かに見えた出来事の断片だけで、判断や危機回避をするのは難しい気がする。


「じゃあ、さっきのは、なんだったんですか?」


「さっきのってなあに?」


「ほら、霧先先輩が手を当てて、男子生徒を消したじゃないですか」


「ああ、あれはね、魔女の基本的な能力のひとつで、基礎的な使い方かしら」


「使い方ですか?」


「そう、魔女(・・)だけでなく、そういった力を使う者は自身にある力を外に出すとか、内側で消費することができないと、能力は使えないのよ、わかるかな?」


電池みたいなもんかな? 電球を点けたり、モーターを動かすとか。俺のピンクの脳細胞は今日も、優れているぞ。


「何となくですが、理解しました」


「そ、よかった。もちろん全て無制限というわけではないの、溜めてる力は限られているから、外部から吸い込んで補給する、といったことができないと困るでしょ。当然、使い続ければ尽きてしまうの」


「有限ならそうですね」


「だから、千丈くん手を出してくれる」


「手をですか?」


なんか前に、こんなことがあったような気がする。霧先先輩に左手を差し出すと、白魚のような細い指を曲げて、俺の左手を優しく包んでくださった。柔らかさ、そしてほんのりとした暖かさを感じる。これだけで至福のひとときだ...


小さな幸せを感じていると、俺の左手から、何かよくわからないものが、先輩に向けてゆっくりと流れてゆく。


そうだった! すでに体験済みの出来事なのに、完全に忘れていた。


ただ、今朝ほどの勢いはなかった。ゆっくりと、俺の鼓動に合わせるように流れていく。


先輩が手を離すと、その感覚はピタリと止まった。


「ご馳走さまでした 、ということなのよ。こうして外部から力を取り入れること、これが魔女の基本的な力の(もと)なのよ」


「なるほど、基本的な力なんですね」


納得した、そしてまた吸いとられてしまった。

今回は別に変化はないけど。


「それにしても、千丈くんは凄いわね。これだけ力を吸われても"ピンピン"しているなんて、普通じゃ考えられないわよ」


「どういう事ですか?」


「普通の人なら、これだけ力を吸い出せば、ほぼ動けなくなるのよ。下手すれば廃人確定ね」


なんですと!! そんなことされてたの、俺!?

うーん... 別になんともないんだが。


「特に身体の不調は... 感じませんが」


「だから、千丈くんは特別なのよ。普段は空間に漏れだした分だけで私達(・ ・)は十分なの、力の純度といい、濃密さといい、最高級よ、うふふっ...」


純度とか濃密とか... なんとな~く響きがエロイなぁ。


上級生の女性にそう言われると、興奮してしまう、変な性癖に目覚めないようにしないと。


「だから、そういうことは、あまり考えない方がいいと思う」


「...えっ!?」


そういえば先輩の能力は心を伺うとか、見通すとかも出来ると聞いていたのだった!表情がほんのり赤くなっていて、正直気まずい...


「どうせなんか、エッチなこと考えてたんでしょう。そんな意味じゃないわよ。えっと思春期の男の子は、みんなそうなの?」


「そうですね... いえ、少数派だと思います」


「そう願うわね、こういうのは、見えても良いことはひとつも無いの」


迂闊なことは... 考えない方が良さそうだな。

主にエロ関係は要注意です。


「ところで、俺の力ってなんですか?」


「さあ何かしら、わからないわ? でも、ずっと凄い力のある人が、校内にいることは知ってたから、気にはなってたのよね」


俺の力については、霧先先輩にもわからないのか。一体この力はなんなのだろう?ちゃんと自分の力についても知る必要がある気がした。


楓が来るまで、こんな世界があることを知らずにいた。俺は本当に、平凡以下の高校生だ。これも必然ということなのか、流れには逆らわないで行くポリシーだったが、これからはそうも言ってられなくなりそうだな。


なにしろ命に係わるから。


「先輩のような魔女に知られていたことは光栄です、そう思うようにします」


「そういっていただけてよかったわ、じゃあ、そろそろ行きましょう」


霧先先輩は、そう言って教室のドアに向かった。俺もそのあとに続く。ドアの外は薄暗い廊下で、人の気配はない。時刻は5時過ぎ、日暮れまではあと2時間位だろうか。


夕食時間までに帰れるかな、などど考えながら歩く。

ここ数日で、随分と非日常に馴染んでしまった。


「もう少しね、その先よ」


「あぁっはい!」


声をひそめて話ながら廊下を歩いて、予備備品室の手前まできた。先輩は立ち止まり、目を閉じて斜め上を見ている...


「減ってる?」


「えっ、何がですか」


「気配が1つになったのよ、今は凄く強い気配を室内から感じる」


「それってまた朝の状態に戻ったって事ですか?」


「そうかも知れないわ。室内をさっきから覗いてるけど全く見えないの、まるで霧が立ち込めたようで見透せない」


薄暗い廊下に二人で、立ちつくしている。霧先先輩は腕を組んで、起きている異常事態に対してどうするか悩んでいる。


俺はやることがないので、先輩のうなじを眺め続ける事しか、出来ることがない。


その時だった、背後から大きな物音が聴こえた。


それは、廊下に設置された消火器が倒れた音だった。ずっと静寂に支配されていた、廊下を切り裂くように響き渡る。



そこから物語りは、急展開で進んで行った。

今日も昨日も、本当に沢山お越しくださりまして楓は感激、です。

ご主人に変わりまして御礼を申し上げる、ですよぉ。

今回のお話では、楓の出番はありませんでしたがこれから、ですぅ。実はぁぁこれから...次のお楽しみ、でーす。


最新投稿はTwitterで投稿報告をさせて頂く、です。

ご意見、ご感想は"楓"が責任を持ってご主人に良いことだけお伝えするっす、ですよぅ。

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