第37話 闇へ続く光
それぞれの神に見送られてキラ達は地下の魔界へ向かう手はずを整えた。
アマテラスは人の多さに緊張しながらも、神の代表としてキラ達にエールを送った。
「私たちはあなた方を信じています。皆様光も闇も受け入れられる心優しい戦士たちですから」
それぞれのシャドウとの邂逅と、神々との対話により各自の道が開けた気がした。
「ありがとうございます。…必ずミズキを救い出します!」
キラは迷いの晴れた澄んだまなざしで決意した。
烈也、颯、大地の表情も決意を確固とした様相である。
アマテラスはその様子に安堵し、転移の魔法陣を召喚した。
陰陽の陣からは七色の光が放たれた。
「皆様…健闘を祈ります!」
「心強い祈りです…必ず!」
キラは自信に満ちた笑顔をアマテラスに向け、やがて光に包まれて消えた。
地下深くへ続く転移の光を抜けると、そこは冷たい瘴気に満ちた魔界だった。
黒く濁った空気。
赤黒い岩肌。
遠くで響く獣の咆哮。
キラたちは息を呑みながら周囲を見渡した。
「……ここが、魔界か」
颯が低く呟く。
「こっちだ」
ハルが前に出て先導していった。
迷いのない足取りで先導する彼の横顔には、かつての怯えはない。
キラたちは頷き合い、その背を追った。
やがて一行の前方に、巨大な黒城が姿を現した。
禍々しい魔力を纏う魔王城――その周囲には、不自然な静寂が広がっていた。
「……静かすぎるな」
大地が警戒を強める。
城門を抜け、薄暗い回廊へ踏み込む。
するとその先には、数名の悪魔兵が倒れていた。
砕けた槍。
壁に刻まれた爪痕。
そして、焼け焦げた床。
まるで内部で激しい戦闘が起きた後のようだった。
「何があったんだ……?」
キラが駆け寄ると、倒れていた悪魔の一人が微かに目を開いた。
「み……ミズキが……」
掠れた声。
「目覚め……た……」
その言葉を最後に、悪魔は再び気を失った。
ハルの目が大きく見開かれる。
「……ミズキが、生きてる……!」
震える声だった。
だがその瞳には、確かな希望が宿っている。
キラは力強く頷いた。
「うん。必ず助け出そう」
その瞬間――
凄まじい殺気が空間を貫いた。
「――そこまでだ」
重低音のような声と共に、巨大な魔力が回廊を震わせる。
闇の中から姿を現したのは、漆黒の鎧を纏う魔将アンドラスだった。
「裏切り者のアスモデウスから始末するつもりだったが……予定変更だ」
アンドラスは獰猛な笑みを浮かべる。
「ここで貴様ら全員、皆殺しにしてやる!」
そこへ烈也だけは一歩前へ出る。
「お前の相手は俺だろ」
静かな声だった。
烈也は背中越しに仲間へ告げる。
「みんな、先へ行け」
「烈也くん……!」
キラが振り返る。
だが烈也は笑った。
「必ず追いつく」
その目には、もう迷いはなかった。
「俺はもう……力の使い方を間違えねぇ」
烈也は拳を握り締める。
「今度は、守るために戦う!」
瞬間、烈也の魔力が爆発的に解放された。
アンドラスが狂気じみた笑みを浮かべる。
「面白い……!」
二つの力が激突し、魔界の回廊を激震が走った。




