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duality  作者: eight
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ep final 魔王の紡ぐ未来

「ぐっ!」

呻き声と共にヤルグは腹から血を流す。

「ヤルグさん!」レックスが叫ぶ。


ヒルダがニヤリと笑う。

「捕らえたのは私の方だったわね。」


「ああ、だが勝ったのは俺だ。」

「何?」

ヤルグはヒルダの肩を掴むと、素早く背後に周り羽交い締めにした。

剣が刺さったまま、回り込んだ事でヤルグの腹部が切り裂かれる。

激痛を感じたが、ヤルグは力を緩めることなくヒルダを拘束する。


レックスが剣を構え、走り出す。

ヤルグが巻き添えならないよう注意し、狙いをつけて切り掛かる。

しかし、足元から紫水が噴き出し、吹き飛ばされた。


「私を拘束したところで無駄さ。」

ヤルグに羽交い締めにされたところで、遠隔で魔法を撃てるヒルダには意味がなかった。

「これならどうだ?」

ヤルグが魔力を込める。


今度はライムが駆け出し、ヒルダを殴り付けようとするが、突如現れた何かに弾き返された。

そこにはヤルグとヒルダを包むようにドーム型の黒みを帯びた透明な魔力の壁が出来ていた。


「何だこれ・・・」ライムが呟く。

闇の魔力場(ダークプレイス)・・・しかも凝縮してる。」フィーナが驚きながら呟く。

魔力場は特定の属性を高める力を一定範囲に展開する魔法だが、大抵の場合、同じ属性の者だけで戦う場面は少ないため、個々に補助魔法を使う事の方が多い。

本来ならば、部屋全体に展開するのだが、ヤルグは魔力を凝縮する事で、自身の周囲だけにより高い魔力場を作り出していた。


魔力場の中が、闇属性に満たされたことで、ヒルダの右腕を形成していた紫水が消えていく。

「闇属性で満たすことで、私の紫水を無力化する。面白いことを考えるわね。でも魔力場を展開している以上、貴方は他の魔法は使えないのよ?そんな傷を負った状態なら魔法が使えなくても、私に分があるわ。」

ヒルダが身体を揺らし、ヤルグの腹部に衝撃を与える。

激痛に顔が歪むが、ヤルグは力を緩めなかった。

「時間の問題よ。」

「勘違いするな。貴様を倒すのは、俺ではない。」

「何?」


「レックス!俺に魔法を撃て!」

「えっ!」

「その腕輪の宝玉を割れば、一時的に魔力が高まる。」



「まさか!」ヤルグの思惑にヒルダが気づいた。

「そのまさかだ。ここで全て終わらせる。」

ヒルダが更に激しく暴れる。

レックスが意図を掴めず、困惑していると隣でエミリアが呟いた。

究極異形魔法(デュアリティ)・・・」

「え?」レックスがエミリアを見る。

「ノワルドで起きた魔法です。」

皆が驚く。

「じゃ、じゃあ僕が魔法を打ち込めば・・・」

「2人は恐らく・・・消滅します。」

レックスはヤルグを見る。


「僕には・・・出来ません!」

「ふざけるな!」

「だってヤルグさんは・・・貴方は確かに魔王だったかもしれない。でも今は皆の為に戦ってくれた。ノワルドだって貴方がいなければ・・・」


「この姿になった以上、もう人間の姿には戻れん。この世界に魔王がいる以上、本当の平和とは言えんはずだ。」


「ルドミナさんの事もあります。皆に話せば、きっと分かってくれるはずです!」


「言ったはずだ。この物語を終わらせるには、俺かお前。どちらかが死ぬしかないと。」


「そんな・・・」

「もう時間が無い。俺が死ねば、魔力場は消える。そうなればお前達に勝ち目はない。」


ヒルダが暴れる度に、流れ出す血が多くなっていく。ヤルグの力と精神力も徐々に無くなってきていた。



「でもっ!」

尚もレックスが食い下がろうとした時に、その肩にエミリアがそっと手を置いた。

「エ、エミリアさん・・・」

「ヤルグ様の・・・彼の紡いだ希望を無駄にしないで下さい。」


「エミリア・・・」ヤルグがエミリアに向けて言った。

「お前は、良い女だった。」

エミリアは思わず顔を逸らし、一粒の涙を落とした。


「レックス!」

フィーナの声にレックスが振り向く。

フィーナは真剣な面持ちでレックスを見つめる。

レックスはライムとオリビアを見た。

2人も静かに頷いた。



レックスが前を向いた。その表情には決意が見られた。

「ヤルグさん・・・」

「平和な世界を作れ。全ての者の為に・・・」

レックスが腕輪を外し、床に叩きつけ、宝玉が割れた。

すると白い魔力のオーラがレックスの周りに広がる。

レックスは手を翳し、魔力を込めながら言った。

「貴方に会えて良かったです。」


エミリアはレックスに聖属性を高める魔法を掛け、フィーナも魔力を高める魔法を掛ける。

レックスに前の光球が、どんどん輝くを増していく。


「やめろぉ!!」叫んだヒルダがヤルグを振り払い、ヤルグの腹部に左手を突き刺した。

ヤルグの口から血が噴き出す。

「撃て!」

ヤルグの叫び声にレックスが光球を放った。



魔力場に光球が触れる。

バチバチとけたたましい音を立てながら、ゆっくりと光球が入っていく。

ノワルドの時とは逆で魔力場の周囲が明るく輝く。

最後の力を振り絞り、ヒルダの首を掴んだヤルグが肩越しにレックス達を見る。


「さらばだ・・・人間達よ。」


次の瞬間、光球が弾ける。

一切の音の無い、魔力場の中で起こる幾つもの爆発で2人の姿が消える。

皆はただ、それを見つめる事しか出来なかった。


エミリアが目を瞑り、祈りを捧げる。


徐々に収縮していった魔力場が黒い小さな光になる。

それは世界に訪れた希望だったのか、それとも世界を支配しようとする悪意だったのだろうか。

光が弾け、一瞬の突風が走る。

皆が風に耐えた後、そこを見ると2人の姿は跡形も無かった。


「ヤルグさん・・・」レックスは小さく呟いた。




そうして魔王は倒れ、世界に平和が訪れた。

神の加護を受けた一振りの聖剣と魔王の死に哀しむ者達を残し・・・



                完

皆様、こんにちわ。作者のeightと申します。

え~長々と稚拙な文章にお付き合い頂き、心より感謝です。

何とか無事、バッドエンドを迎える事が出来ました。

当初はハッピーエンドを予定していて、ヒルダを倒した後にヤルグとレックスが戦うところで龍が介入して、勝負を預かり、数年後のエピローグで龍のチートパワーによって人間になったヤルグがルグリアスと世間話をしてるところへ赤子を抱いたエミリアが来る的な感じだったんですが、結末に龍のチートパワーを使ってしまうのは、余りにご都合主義な気がしたので止めました。


こういった場所で、物語を書き終えたのは初めてだったので、何と言うか、テンポが早すぎたかなぁと思いました。


魔王による侵略戦争と言う題材だったので、あんまり寄り道とか日常回みたいなのがあると、こんな時に何してるの?ってセルフ突っ込みが入ってしまい・・・

後はプロットをある程度、固めてしまっていたので、自分の中で「この場面が終わったから、次はこれ。」みたいな感じで急ぎ足になっていました。

その影響で、書き手としてはアレコレ考えて作ったキャラも読み手側からは、ぽっと出の奴が数話で死んでいくみたいな感じだったのではないかと思います。

文章力の無さは別としての反省点はその辺です。


次の作品はもうちょっと、まったり行きたいと思います。

一応、この作品を書くより前に書き始めた作品です。(投稿はしてないですが)

相変わらず、心配性なのでもうちょい在庫を貯めたいですが、何日かしたら、お試しみたいな感じで1話だけ投稿しようと思いますので、良かったらご覧下さい。


そんな訳で、長々と後書きを書いてしまいましたが、改めまして、この作品に皆様の貴重な時間を割いて頂き、誠にありがとうございました。

次の作品でもお会い出来ることを切に願っております。


それでは、またどこかで。

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