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duality  作者: eight
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ep50 光と闇と

バルドスが剣に黒い魔力を纏わせる。

駆け出すとレックスの顔を狙い切り上げる。

レックスは身体を反らすように躱した。

続けざまに連撃を繰り出すが、レックスは全て躱す。

「随分とすばしっこくなりやがったな。」

「貴様が遅くなったんじゃないのか?」

珍しくレックスが煽る。

その言葉を鼻で笑うと、再び連撃を仕掛ける。


ライムとの訓練のお陰で、フルアーマーを着るバルドスの攻撃が遅く感じた。だが反撃に転じるだけの余裕はない。だからこそレックスは回避することに徹した。


「避けるのが上手くなったのは分かったが、攻撃をしなけりゃあ、勝てないことを忘れちまったんじゃないか!」

躱され続けることに苛立ちを感じだしたバルドスが吠え、思い切り剣を振った。

力んだことで動きが大雑把になったその隙をレックスは見逃さなかった。

剣を躱すと同時に腹に一刀を入れる。打ち込む瞬間だけ剣が光った。

「ぐはぁ!」

怯んだところに蹴りを入れるが、剣の腹で受けれらた。

衝撃で後退したバルドスが「てめぇ」と毒づく。

レックスは何も言わず、睨み付ける。



バルドスはレックスの足元を狙い、闇球を放つ。

爆発を避けたところへ、バルドスが切り込む。

レックスは咄嗟に剣で受け止めた。ギリギリと音を立てながら鍔迫り合いが続く。

「多少はやるようになったじゃねぇか。」

「貴様の言った通りさ。貴様を倒せなければ、リベルには勝てない・・・だから!」

レックスは剣の角度を変え、バルドスの押す力を利用して往なすと、薙ぎ払うように光魔法を放つ。

バルドスはすぐに後ろに転がるように跳び、それを躱した。

「貴様を倒す。」


「前に会った時よりも腕を上げたのは分かった。だが、勘違いするなよ。」

バルドスが左手から黒い靄を発生させる。

「成長するのはお前だけじゃない。」

大きくなった靄が次第に人の形を形成していく。そしてそれはもう一人のバルドスを作り上げた。

「ここから本番だ。」





ライムが魔導士の人形を蹴り飛ばす。四肢がバラバラになり転がる。

(駄目だ。早く本体を見つけなきゃ。)

決して強い相手ではない。だが蘇る以上、長期戦になる程こちらが不利になる。

ライムは意識を集中させる。人形に生気は無い。ならば何かしら生命を感じるものを探せば。

ポルガの民は訓練でそう言ったものを掴み取る力を養う。

息遣い、鼓動、魔力・・・

ライムの背後で一体の人形が蘇り、剣を振り下ろす。

目を開いたライムは横に身体をずらして避け、そのまま肘撃ち、振り返り人形の顔にストレートを打ち込み破壊した。

(駄目だ。読み取れない。)

戦っている兵が多くおり、人形にも魔力が纏わっている所為で、様々な情報が溢れており、ポノノアを探し出すのは難しかった。


近くにフィーナがいた。

「フィーナちゃん、大丈夫?」

「はい。魔法は使ってこないので距離を取って戦えば、私でも何とかなります。」

ライムは少し考えるとフィーナに声を掛けた。

「ひとつ、お願いがあるんだけど。」

「お願い・・・ですか?」

「うん。ちょっとの間、私を守ってくれない?」

「え?」






2体となったバルドスにレックスは翻弄されていた。

偽物のバルドスは実体の無い虚像であった。レックスを攻撃する時も、レックスが攻撃を当てる時も煙の様に消え、またすぐに元の姿へ戻る。

しかし、代わる代わる攻撃を繰り出してくる中で、瞬時に虚像を判断するのは難しかった。

レックスの前でバルドスが煙となり、剣が空を切った。

その瞬間、横から蹴りが入り、吹き飛ばされる。

「ぐっ!」


「俺を倒すんじゃなかったのか?」バルドスが軽口を飛ばす。

レックスは自分から仕掛けた。喋った方が本物なのは間違いない、だとすれば虚像を無視し、本物を捉え続ければいい。

互いの剣撃を弾き合い続けていた時、ふいに目の前へ横から剣が振り落とされた。レックスは無意識に反応し身体を反らせてしまう。

その隙を見逃さず、バルドスが近距離から牙突を放つ。

ギリギリで身体をずらすも避け切れず、脇腹に当たった。

レックスは衝撃で壁まで飛ばされた。


「フンっ!素体が脆い分、頑丈な鎧を着てやがる。」バルドスが剣を払いながら言った。

致命傷は逃れたものの鎧には亀裂が入っていた。

レックスはよろよろと立ち上がった。

「そろそろ終わりにするか。まあ、お前がいたお陰で、俺の戦いにも張りが出たさ。それに関しては感謝してやるよ。」

レックスは何も言わず、目を瞑り、呼吸を整えている。

それに気づいたバルドスが鼻で笑う。

「なるほど。目に頼らずに動きを読み取るつもりか。考えとしては悪くないが、誰もがおいそれと出来るもんじゃないぜ?」

「違う。」レックスが目を開く。

「あぁ?」

「貴様を倒す準備をしていただけだ。」

その言葉にもう一度、鼻で笑う。

「しゃらくせぇ!」

バルドスが上に掲げた左手から黒い靄が広がり、部屋の中が数秒、暗闇に包まれた。

暗闇が晴れた時、バルドスは剣を構えていた。もうどちらが本物か分からない。


片方のバルドスが突進する。レックスは意識を集中して剣を振った。

2人の剣が触れる瞬間にレックスの剣が光を纏う。

いや、正確には違った。ただ光るのではなく、本来の剣よりも一回りは大きな光に包まれたと言った方が良いだろう。

剣がぶつかると同時に光が輝きを増し、煙となった虚像のバルドスは光にかき消されていなくなった。


思わず動きを止めたバルドスが呟く。

「何だ今のは!」


「ルークスヴェイン。貴様を倒す為の技だ。」

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