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duality  作者: eight
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ep36 ノワルド強襲

兵の馬に乗ったギザが王都に着く。

街では防衛隊が走り回り、警鐘が鳴り響いていた。

住人達は城へと急ぐ。空からの敵軍ということを考慮しローランド王は、地下室の存在する城内へ住人たちを避難させる事とした。

慌ただしく動く兵の一人がギザに気づく。

「ギザ様!氷壁が開かれたのですか?」

「ああ。じゃが、まだ大軍を動かすのは難しい。急を要するようなので、儂だけ先に来た次第じゃ。して状況は?」

「敵は数は多くありません。飛行部隊ですので弓矢、魔法部隊で迎撃を行っていますが、飛行速度が速いため、今のところ戦果は得られておりません。」

「地上部隊はどうしておる?弓でなくとも投擲武器位は用意できるはずじゃろ。」

「それが・・・敵軍に2頭の(スケイルズ)がおり、近接部隊は甚大な被害が出ております。」

(スケイルズ)が2頭じゃと!まずいな。儂が向かおう。」

「お願い致します。」



ギザが向かった先には数名の兵士と対峙する(スケイルズ)がいた。

黄土色の甲殻、2本の角、鋭い爪に大きな翼と長い尾を持つ。それは畏怖の象徴のような姿だった。

一人の兵が切りかかり肩に傷を入れるが、怯むことなく兵の腕に噛みつくと、そのまま振り上げるように顔を上げる。

その勢いで片腕の千切れた兵が宙を舞う。

驚いた兵たちは盾を構えて、及び腰になっていた。


「不用意に近づくな!離れよ!」

ギザが(スケイルズ)に向けて、杖を掲げる。

杖先からは放たれた雷撃が、兵を切り裂こうと振り上げた右腕に直撃する。

痛みを感じた(スケイルズ)が声を上げ、怯んだ。

その隙を狙い、2人の兵が頭を狙うが、その瞬間、(スケイルズ)が大きな咆哮を上げる。

間近で咆哮を聞いた兵たちは思わず硬直した。

離れていたギザでさえ、一瞬怯むほどのものだった。


目の前の二人の兵を薙ぎ払って吹き飛ばした(スケイルズ)はギザに向かい、口を開く。

口内の奥に小さな火が見えた。

ギザは即座にマジックシールドを展開する。

放たれた火球は人ほど大きさになり、ギザへと飛ぶ。


マジックシールドにぶつかるとギザが気合いを入れる。衝撃は凄まじく、周囲に多少の火が飛んだが、防ぎ切る事が出来た。

ギザの魔力を持ってすれは問題ないが、普通の魔導士では1人で防ぐのは難しいかもしれない。


(スケイルズ)を見ると、また別の兵に向け、炎を吐こうとしていた。すかさず杖を構える。

(炎ブレスならば。)

杖先に丸い水の球体が生成される。放たれるブレスに合わせて、兵との間に放った。

ぶつかると「ジュウゥ」という音とともに、白い水蒸気を上げて飛散する。圧倒的な力の差が無い限りは相性の良い属性が打ち勝つものだ。


兵は慌てて逃げるが、(スケイルズ)は追撃はせず、身体を捻るように反対側にいた兵を尻尾で弾き飛ばした。

その兵はギザの方へ飛んでいき、ギザもろとも壁に叩き付けた。

「ぐはぁ!」ギザはその衝撃で杖を落としてしまう。


(スケイルズ)は再び口を開く。

「しまった!」

杖を拾う余裕はない。ギザを両手を前に掲げた。

(杖なしで防ぎきれるか?)







王都に着いたヤルグとエミリア。

門番すら居ないことに事態の大きさが伺えた。

「まだ、どこかに住人がいるだろう。そいつらと一緒に避難所へ向かえ。」

この規模の街ならば避難所は設置されているはずだ。

「私も手伝います。」

「止めておけ。混戦になれば、守ること出来ない。」

ヤルグはエミリアを置き去りに、壁に蹴って家の屋根に登った。

街の上空を飛ぶ魔物が見える。

(20匹程度か・・・)

小規模ではあるが、群れの中に(スケイルズ)がいた以上、それ相応の指揮官がいるはずだった。


ヤルグは近くにいた魔物に闇球を放つ。

予期せぬ方向からの攻撃に、避けられなかった魔物の翼に当たり、墜落した。

闇属性の魔法に気付き、一人の魔物が飛んでくる。

八傑衆グランドムだった。

「き、貴様はヤルグ!ムビアナにいたのではないのか!」

ヤルグはそれを無視して魔法を放つ。

咄嗟に避けたグランドムが「おいっ!」と叫んだ。

「貴様が指揮官か?」

「ふふ、そう俺はガイラック軍八傑・・・」

ヤルグはグランドムの言葉を流し、思案した。

(こいつを殺れば、指揮系統は乱れ、ノワルドが優位になるか・・・しかし、まだ若い(スケイルズ)が命令を失い暴走すれば、被害は増えるかもしれん。)

「聞いてるのかぁ!」グランドムが怒りながら魔法を放つ。

ヤルグは軽々と躱す。


「とは言え、野放しには出来んか。」

言うと同時に屋根から跳び、連撃を繰り出す。

グランドムは三つ又の槍で必死に攻撃を受けた。

数発の連撃の後、ヤルグは再び屋根に着地した。


飛行が出来るという、空中戦における圧倒的優位性を持ちながら、攻撃を防ぐことしか出来なかったグランドムはヤルグの能力の高さに驚愕した。

それと同時に、ここでヤルグを殺す事が出来れば、更なる功績を得れるとも考えた。

(しかし、このままでは・・・やはり(スケイルズ)を宛がうか。)

グランドムはヤルグの攻撃を誘発するように立ち回りながら、少しずつ(スケイルズ)のいる方向へ導いていく。


頃合いをみて、グランドムが目晦ましの為に屋根を破壊した。

「後で相手をしてやる!」そう捨て台詞を吐いて、空高くへ飛んでいった。

「くそっ!逃したか。」苦し紛れに放った魔法も躱されたヤルグは悪態をついた。



すると突然、何か蒸発するような音がした。

下を見ると(スケイルズ)のブレスを老いた魔導士が水魔法で相殺していた。

(中々の魔力を持ってるな。)

(スケイルズ)が尻尾を薙ぎ払うと兵士を飛ばし、魔導士を巻き込む形で壁に激突させた。

そうして(スケイルズ)が大きく口を開く。


ヤルグは舌打ちをし、両手で剣を握ると屋根から飛び降りた。

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