サンドイッチ愛
「イーグル……か。弟とはいえフローレンとは血がつながらないんだろ?」
殿下が苦虫をかみつぶしたような顔をする。
「血がつながらなくたって、イーグルは家族よ。大切な弟なんだからっ!」
私の言葉に殿下がふっと笑った。
「なるほど、あくまでもフローレンにとっては弟」
「そう。かわいい弟よ。とても優秀だけどね、甘えんぼなところもあって。お義姉様とずっと一緒にいたいですって。ふふふかわいいでしょ?」
ん? 殿下の顔がゆがんだ。
何で、そんな顔するかな? かわいいよね? え? いい年してみっともない? でも、天使だよ?
レッドとリドルフトを見ると視線をそらされた。
ラミアとアンナを見る。
「うらやましいですわ。血がつながらない義弟と仲がよくて……。半分血がつながっているというのに、私は……」
そうだった。アンナは腹違いの義妹とうまくいってなかったんだ。彼女の前で義弟自慢なんて、私ってばひどい女。
「私には妹がいます。血がつながった実の妹ですが、よく食べ物を取り合って喧嘩しますっ」
ラミアが慌てて口を開いたけれど、喧嘩するほど仲がいいという言葉があるくらいだから、何のフォローにもなってないよ。
そうか。ラミアには妹がいるのね。何にも私知らないわ。
「黒板の話をもう少し聞かせてもらっていいでしょうか、フローレン様」
ナイス話題の切り替え! リドルフト褒めて使わす。ということで、黒板の話に。製法はラミアのとことうちのとことで内緒にしておくということになった。
まぁ、バレるときはバレるだろうけれど。たとえばれても、煤以外は牛が必要だし、海沿いじゃなきゃ入手困難な貝殻と海藻使うしで、ゼロから材料集めて作る場合、うちで販売するものに価格で勝てないでしょう。となるとマネするとしても、王都から離れた場所や別の国になるんじゃないかな。あ、でもそうすると消耗品ではない黒板のほうは売り上げが頭打ちになる。ラミアの儲けが減っちゃう。
でも、そのころにはゼリーの販売が軌道にのっていれば問題ないかな?
膠の他の使い道を考え出すのも一つの手だろうし。
パン屋の準備が順調そうに見えて、ちょっと難航している。
「お義姉様、サンドイッチの種類はこれで問題ないですか?」
「うーん、二〇種類は定番としていつ行っても食べられるようにしたいんだけど……。なんか、違うのよね……」
主に、私のサンドイッチ愛が深すぎるのが原因だ。
そうこうしている間に、昨日の休日に学園への黒板設置が行われた。
殿下たちも仕事早いな。イーグルたんも仕事早いし。
「まぁいいわ。とりあえずマヨネーズのための酢の確保よろしく」
マヨネーズ単体での販売も考慮してイーグルたんにお願いしてから学園へ。
サンドイッチと言えば、ゆで卵の卵サンドも、焼いた卵の卵サンドも両方好きです。
甲乙つけがたい。
ただ、厚焼きにした卵を挟まなくてもいいかなぁ……って感じです。サンドイッチが食べたいのであって、バランスとしては、パンより太い卵焼きとかはちょっと違うなぁ……って。
あと、焼いた卵サンドはケチャップとマヨネーズ両方がいい。
 




