頼りになる者
「残念だけれど、儲けるつもりは無くてもも儲かるよ。学園だけで収まるような品じゃない。……国内だけで収まる品でもないだろうな……」
は?
「でしょうね。留学してくる隣国の者がすぐに自国へ伝えるでしょうし。よほどのぼんくらじゃないかぎり」
リドルフトも殿下の言葉に同意している。
儲かる? 儲けようと思っている品は、海沿いの街ドゥマルク領ならではのものを特産品として王都で売ろうという計画で、まだお披露目もしてないよ? パン屋だってまだオープンしてないのに。
そういえば、お父様がドライイーストのことを聞かれすぎて仕事にならない。フローレン、早く販売を開始してくれと泣いていたような。
「ラミア、子爵家があまり儲けを出すとやっかみや妨害があるだろうが、困ったらいつでも言ってくれ」
殿下がラミアに声をかけた。
あ。そうか。
我が家が儲かれば、ラミアの家も儲かるってことだ。牛肉だけでも今は潤っているところに、ゼリーと黒板に使う膠も加わればさらに儲かることは間違いないってことだよね。
「あ、あの、殿下に相談だなんて……その……」
ラミアがびっくりして息を飲み込んだ。
そりゃそうだ。困ったら王家に相談なんて、ありえない話じゃない?
「黒板に関してはフローレンと共同開発なのだろう? フローレンの問題は俺の問題だからな。遠慮なく相談しろ」
は? なんで殿下の問題? 宰相のお父様が困ると王家にも打撃があるから?
「馬鹿ですか。流石にいくら何でも走りすぎです」
リドルフトが殿下の言葉を遮るようにしてにらみつけた。
「ラミアさん、困ったことがあれば私に相談してください。もちろん殿下にも伝わりますし、問題解決に実際動いてフローレン様のために働くのは殿下ですが、表に出るのは私ということで、よろしいですね?」
まぁそうよね。王家がどこかの貴族に肩入れしてはパワーバランスが崩れたり問題が大きくなるから。
「あ、ああ。そうだな。フローレンのために力になる」
「ラミアの力になってくださるのは感謝いたしますが、私のためではなく、ラミアのためですわよね? さも、公爵令嬢にいいように使われているような印象操作はやめていただけません?」
私が目指すのは修道院エンドだから。王族を操っていた冤罪追加されたら、流石に国家転覆をはかったと処刑の可能性が出てくるわ!
怖い。怖すぎる。
「い、いいように使われてなど……お、俺がフローレンのために何かしたいと思っているだけで……」
殿下が落ち込む。
「結構ですわ。何もしていただかなくて。私には、頼りになる方が他にいますもの」
殿下が青ざめた。
「だ、誰だ! フローレンが頼る男というのは!」
男なんて言ってないのに、鋭いな。
「もちろん、宰相であるお父様。優秀なのはご存じでしょう?」
殿下がほっと息を吐き出している。
「あ、ああ。そうだな。そうか」
「それから、義弟のイーグル。とても優秀なのよ!」
次期宰相の座はリドルフト、あなたには譲らないわ。イーグルたんが宰相になるんだからね。ふんすっ。優秀アピールしとこう。
「パン屋の準備もあっという間にしてくれるのよ。パン屋を開店するための不動産を探す手配から何から。黒板やチョークの原価計算から販売価格設定などの書類もイーグルたんがしてくれたの。あとね、養鶏も規模拡大中で、とにかくすごく優秀ですごくて、頼りになるの」
ふふん。私のかわいいイーグルたんすごい。




