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【書籍化】ぶたぶたこぶたの令嬢物語~幽閉生活目指しますので、断罪してください殿下!【長編連載版】  作者: 杜間とまと


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牛さんの尻尾のやつ

「とにかく、なんでも食べすぎはよくないし、好き嫌いもよくないのですわよ? 魚にはDHA……えーっと、記憶力をよくする成分が含まれているという話ですわ。もしかして、魚をたくさん食べると賢くなれるかもしれませんわよ」

 川魚は海の魚に比べて含有量は少ないって話だけどね。食べないよりはましでしょう。

「なるほど、魚が嫌いだからレッドは……」

 かわいそうな子を見る目でリドルフトと殿下がレッドを見た。

 あれ? この場を収めようとして、方向性間違えたかな? 

「はぁーお腹いっぱいですわ」

 ところてんを食べてから食事をしたせいか。おかずの魚とサラダだけでお腹がいっぱいになった。

「お代わり取ってくる!」

 どうやら男性には足りないようで……いや、なんか魚を大量に持ってきてませんか? 必死……。うん、見なかったことにしましょう。

「ラミア、コラーゲン……もとい。ゼリーをお願いするわ」

 ラミアがバスケットからカップを取り出した。

「あら? 今日のはもしかして、ブドウかしら?」

「はい。こちらがブドウ果汁のゼリーで、こちらはブドウの実もいれたものです。それからこちらはワインで作ったものになります」

 なんと、三つのブドウのゼリーを持ってきてくれた。

 ワインのもおいしそうだけれど、やっぱりブドウの実が入っているものがかわいいかなぁ。

 どれにしましょう。よし。君に決めた! 

 ブドウの実入りだぞ。

 紫色のブドウ味のゼリー小さめの皮をむいた白いブドウの実をスプーンですくって口に運ぶ。

 ちゅるん。

 おいしい! いくらでも食べられそう。贅沢にブドウの実がたっぷり。巨峰みたいな大きなブドウもいいけど、小さなブドウも味がぎゅっと濃縮されていておいしいよねぇ。

「ラミア、おいしいわ」

 幸せだなぁ。これで美肌に美髪効果があるなんて。しかも小麦粉を使ったスイーツよりもヘルシーなだなんて。丸ごとフルーツゼリー最高! 

「フローレン、そんなにおいしいのか?」

 ええ、もちろん。

 にこりと微笑むと、ぬぅっと私の手に持っているカップにスプーンが伸びた。

 驚いている間に、そのスプーンはカップの中のゼリーとブドウの実をごっそりとすくい上げる。

 ちょっ! 盗人! 盗人が現れたぞ、であえであえー! 十手を片手に叫ぼうとしたその時、悲鳴が上がった。

「あーーーっ」

 ラミアの悲鳴に、盗人は、スプーンを口に入れる住んでのところで手を止めた。

 殿下め! また、人の食べているものを横取りしようとするとは。成長してないな! 

「なんだ? 大丈夫だぞ? 俺の分が準備されていないなんて責めないからな?」

 ラミアが真っ青な顔をしている。

「いえ、あの……その」

「なんだ? 随分青い顔をしているが、まさかフローレンに毒入りのものを出したわけじゃないだろうな?」

 殿下がラミアをにらみつける。

「いえ、あの……」

 ラミアは殿下ににらまれて言葉が出ないようだ。

「エディオール様、ラミアが毒など入れるわけはありませんは。こちらのゼリーは牛のしっぽや顔など通常食さないようば部位を使って作られていることから、殿下に出すにふさわしくないと思っているだけですわ。というわけで、返していただきますわね」

 殿下のスプーンを持つ手をつかんで少し引き寄せ、ゼリーを食べる。

「うわ、え? 俺の手から、フローレンが食べ……」

 殿下が、凝りもせず私のカップから再びゼリーを救い上げ、私の顔をちらりと見た。

 その手をつかんでスプーンのゼリーを食べる。なぜか殿下が嬉しそうな顔を見せる。どういうことだよっ! 

「もう、いい加減にしてくださいまし。これは私のためにラミアが作ってくださったものですわ! 殿下には差し上げませんっ」

 逃げるように場所を移動してブドウの実まるごとゼリーを死守。

「あ、いや、すまないフローレン、怒ったのなら謝る。その、つい……」

 ついじゃないわ。

「……はぁー」

 大きなため息が漏れる。

「ラミア、一つ殿下に差し上げてもいいかしら? このままではゆっくりゼリーを味わえませんわ」

「で、でも、殿下に尻尾などで作ったものを献上するなど……」

 殿下は、ワインのゼリーを手に取った。


えー。

短編からお声をかけていただき、書籍化します。

こちらの連載は、書籍版と流れは同じですが若干違います。

発売までに完結します。(本当は6月中に完結するはずだったのに、まだ終わらない……あと、2日、うううう)

発売日は8月12日となります。予約が始まっております。アリアンローズ様です。そう、私のデビューしたアリアンローズ様より出していただけることとなりました!そのためペンネームが、昔の名前。ふふ。


それにしても、どうにも最近豚作品が連続してます。

短編集に収録してもらったものは「豚公爵」が出てきて、この作品がぶたぶたこぶた。実はその次は、白豚妃のイラストレータさんに書いていただけるらしいのです。「くおっ!何たる偶然!」(*´ω`*)

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