part6
カーテンの隙間から朝日が差し込んでいる。
眠っていたが
無意識のうちに掛け布を頭まで被った。
体を誰かに揺すられた。
ケーラが来たと思い、軽くあしらった。
「ケーラ…?まだ眠いから
もう少しだけ寝させて」
すると
ベットに誰かが入ってきた。
後ろから抱き抱えられるように
手を回された。
「ケーラ?今日は随分、甘えん坊さんなのね」
耳元で囁くように
「クリストル、おはよう。朝だぞ?」
ケーラじゃない事に気付いたクリストルは
起き上がろうとしたが
体を抑えられて顔の方を向かされた。
「あなたは…!…ッ!」
「しー、声を上げると邪魔が入るから
静かにしてくれ。いいか?」
口を手で塞がれていたが、頷いて返事をした。
「ふふっ、良い子だ」
悪魔は頭を撫でた。
クリストルは頭を撫でられた途端、焦りが
無くなり落ち着いた。
悪魔はそっと口から手を離すと
「やはり、お前は可愛い顔をしているな」
顔に手が触れた。
触れた瞬間、クリストルは少しビクッとしたが
それ以上は驚かなかった。
「あなたの手は冷たいのですね。
とても冷たいです」
「昨日とは反応が全然違うな。
怖くなくなったか?」
クリストルは堂々と答える。
「何故だか
あなたから恐怖を感じません。
ですから怖くありません」
悪魔は顔から手を離し
「命を取ると言われた相手が目の前にいるのに怖くないとは、不思議な女だ」
2人の間に沈黙が流れる。
そんな時、扉を叩く音がした。
「お嬢様、ケーラです。
もう起きておられますか?」
クリストルは返事をすべきか
それとも寝たふりをすべきか迷っていたが
それよりも目の前にいる悪魔を
この部屋から
出す方法が見つからないことに焦っていた。
このままケーラが来れば
また揉める事は明白だった。
だが、手立てが無い。
そして悪魔は不敵な笑みを浮かべて
この状況を楽しんでいるようだった。