part4
父親の許可がなければ
メイドを雇うことは出来ないので
「さぁ!お父様の所に行きましょう!」
そそくさと縄を解く。
父親の部屋の前まで来て
「ケーラはここで待っていて」
「あ、お嬢様!」
クリストルは新しいメイドを雇いたいと
父親に頼み込むため書斎に来た。
「お父様、この人を専属のメイドとして雇いたいの!良いでしょう?」
父親は困っていた。
素性も出身も分からない人を雇う事に。
しかも目元を隠しているなんて
尚更、疑わしい。
「クリストル、お前が雇いたいのは
分かったが
あなたはどこの出身なんですか?」
悪魔が不敵に笑い
「ふふ…私は魔界から悪魔!
人を不幸にし命を奪う!
もし、私をここで雇う事になったら
お前たちを魔獣の餌にしてやる!」
「うーむ、クリストル…本当にこの人で
良いのか?本人を目の前にして言うのは
なんだが、もっと良い人がいると思うぞ?」
「いいえ!この方が良いわ!ですから
お父様!この方を雇っても良いでしょ?」
「クリストルがそこまで言うのなら
良いだろう」
クリストルは満面の笑みで喜んだ。
2人は父親の書斎を後にして
クリストルは自分の部屋へ戻った。
悪魔はケーラに呼び止められ
廊下の真ん中で話していた。
「私はあなたを信用した訳ではありません」
「だろうな」
ケーラは悪魔の小馬鹿にした態度が
気に食わなかった。
「お嬢様がお決めになり
お父上も了承したという事ですので
それに従うほかありません。
ですが、妙な動きをすれば
私があなたを斬ります」
剣を悪魔に突き出した。
だが、悪魔は恐怖も怯えも無かった。
「剣なんか抜いて怖いメイドだ。
まぁ明日からよろしく頼むよ。ケーラ」
悪魔は暗闇に溶けて行った。