三章【希望と絶望】
俺は訳も分からず、先頭を行く二人の男女のあとを歩いていた。
二人とも共通して、でかい。女は俺と同じくらい、男に至ってはスラムダンクの赤木くらいある。だが顔つきは流川並みにいい。女の方もまるでモデルだ。
なんか一緒に歩きたくない。虚しいよ…。
「名は何という」
てか一体ここはどこなんだ。なんかいきなり殺されるとかいろんな事体験させられてマジ勘弁なんだよな。
「……聞こえないのか、お前」
「はい、なんでしょう?」
え、何キレてんのこの人。俺なんもやってないよ(-.-;)
「名は?」
「あ、倉本弘樹っす」
「クラモト…?変な名前だな」
………いやいや。失礼ですよこの人。
「…クライドさん。失礼です。彼は突然こちらに来て混乱しているんですよ。まずはこちらから紹介するのが筋でしょう」
お、こちらの方はわかってらっしゃる様だ。やばいなあ惚れそうだよ。
「…歩きながらですまないが、俺はクライドという者だ。神明旅団の長を務めている」
「しんめいりょだん…?すか」
前を向いたままクライドという男は事務的に言葉を並べた。聞かない単語に俺は首を傾げる。
「私はレイです。弘樹さん。神明旅団とは私達が所属する団体の事です」
こちらは俺の横に来て一礼し、疑問にも答えてくれた。優しく微笑む姿に俺はめまいすら覚えた。
「色々と混乱している様だが、簡単に言うとお前は俺達の希望だ」
クライドが淡々と言う。俺も軽く相槌をうち、事務的に返す……。
―――って、んな訳あるか。
「…は?希望?」
「はい。唯一の光明です」
レイまでもが同じ事を言った。…この俺が希望…?学校の球技大会で絶望を振り撒いた俺が、希望?
あの決死の状況の中、圧倒的な人数を相手に苦もなく俺を助けた強豪が、口を揃えて言った。…なんなんだ?一体。
「信じられないのも無理ないですが、真実なんですよ」
「……??」
ちょっと、頭がショートしそうになってきた。…えぇっ?マジでタイム…。
「詳しい事はアジトについてからだ。落ち着いて話した方が、納得いくだろう」
「……えと、一つだけ聞いていいすか」
「なんですか?」
レイがあの悩殺スマイルで、俺を射ぬく。
俺はしかし、動じず、決定的な問いを発した。
「…元の場所には、返してもらえるんすか?」
二人は暫く答えず、互いの顔を見合わせた。
そして、一言。
「それは、無理」
……絶望という一つの感情が、俺を支配した―――――




