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序章【誤差と必中】
「…来ましたね」
草木生い茂る樹海の中で、二人の男女が茂みの中から身体を起こした。
「…予見より、かなり早いな。歪みも相当ずれている」
女の言に、男が若干の戸惑いを含め応じた。
「…位置的に短時間では困難です。最悪捕獲される恐れも…」
「大丈夫だろう。予見された奴であれば殺されることはない。私が保証するし、姉の<詠み>が外れる事はないだろう」
男は先程の戸惑いを打ち消し、弱気になる女の肩を優しく叩いた。女は安心したように微笑み、そして直ぐに顔を引き締める。
「では、行くか」
「はい」
その言葉を置き去りにし、二人の男女は音も無く消え去った。
そこに二人の存在は、皆無。何百年もそのままであったかの様に、二人が存在した事象はその場から見事に消失していた。




