突然の再会
葵さん達に誕生日を祝って貰ってから一月が過ぎ
街路樹も紅く色付いていた。
私は友達との待ち合わせに遅れそうだったので、慌てていた。
「あ~ どうしよう、絶対遅刻しちゃう」
曲がり角を曲がった瞬間、私は誰かとぶつかっていた。
「いたたたた‥‥‥すみません」
「‥‥‥前、向いてないと危ない」
私は声のする方へと向くと、そこに居たのはミヤビさんだった。
「あっ‥‥‥!」
声を掛けようとしたら、彼は既に私の前から姿を消していた。
「それにしても、こんな所で会うなんて」
店に居る時と服装は全く違っているのに、彼だと直ぐに分かった。
「あ!いけない、遅刻だ」
私は慌てて待ち合わせ場所へと向かった。
*****************
待ち合わせ場所には既に友達が来て居た。
「愛理、遅れてごめんなさい」
「美優、遅い。始まっちゃうよ」
私と愛理は、最近売れてきた人気バンドのライブを観に行く予定だった。
「ほら、早く!最前列取れないよ」
「ま、待って」
私と愛理はダッシュでライブハウスに向かう。
店の前ではそれらしい格好をしたファンだと思われる子達でいっぱいだった。
「大丈夫かな?」
「ギリギリ間に合ってるから大丈夫よ」
私達は受付でチケットを見せて中へと入って行く。ホール内では既に沢山の人達で溢れて居たが、隙間を縫うようにして最前列までやってきた。
「私、最前列で観るのは初めて‥‥‥」
「美優はいつも後ろに居るもんね」
愛理と話しをしていたら照明が落とされ、ステージにスポットライトが当たる。
BGMと共にバンドメンバーが次々と登場していく。今日観に来たバンドは私にとって初めて観るバンドだった。
ドラマー、ベース、下手ギターと登場してきて、上手ギターの人を見た瞬間、私は驚いた。
そこには先程ぶつかった相手‥‥‥ミヤビさんがギターを持って登場したからだ 。
「え? ミヤビ‥‥‥さん?」
「美優、彼知ってるの?」
「え?知ってるというか‥‥‥」
私はどう答えていいのか悩んで、結局適当に誤魔化していた。
ボーカルの人の合図で曲が始まった。