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それぞれの祝詞2

「ゆーかー!もみもみー!おふとん敷けたよー!」

お風呂から出て、着替えを済ますと、くーちゃんが、早く早く!と、今日私達が泊まるであろう、客間まで急かされながら案内してくれた。


「夕華、大丈夫?」

客間までの廊下の途中で、紅ちゃんが心配そうに私の顔を覗き込んできた。何だろう?顔色でも悪く見えたのかな?別に、いつも通りなんだけど……。まぁ、確かに今日は歩き疲れて、足が棒のようになっているのは確かなんだけど。


「えっと、うん!ありがとう、心配してくれて!それに、疲れならお風呂に入って取れたし、明日のカグラ勝負なら、準備万全だよ!まだ祝詞は出来てないけど……。」

そう、あとは祝詞だけ!でも、まだ全然思い浮かばないんだよなぁ。本当にどうしよう。


「ん?違う違う。心配したのはコッチ。」

紅ちゃんが私を指差した。一体何の事か分からず、指差した方を追ってみると、私の胸を指差していた。

いやいや、紅ちゃん?確かに私は胸が小さい方だけど、紅ちゃんよりは大きいから、今の所、心配はしてないんだけど……。


「夕華、ジャージで大丈夫?落ち着かないんじゃない?」

心配してたのは、そっちか。いや、まぁ、そんな事だろうと思ってたよ、正直。でも大丈夫なんだよ?紅ちゃん。私はジャージで寝る時の方が多いから。ちなみに、紅ちゃんは、可愛らしいピンクの花柄模様をしたパジャマだった。


「うん!全然、大丈夫。むしろジャージの方が落ち着くかなぁ~、なんて。」

あははは~っと誤魔化し笑いをして見せたけど、実際アマテラス様が薦めてきた、レース付きスケスケネグリジェを着るのに比べれば、遥かにマシなのは、言うまでも無い。


「そっか、よかった。」

紅ちゃんが、ホッとした表情をするのと同時に、客間に辿り着く。中に入ると、布団が三組敷かれており、くーちゃんが布団の上で楽しそうにゴロゴロと転がり回っていた。


「くーちゃんが、一人でおふとん敷いたんだよ!すごい?すごい!?」

ピョコピョコと私の周りを回りながら聞いてくるので、凄い凄い!と頭を撫でてやると、「ヤッターーー!」と大喜びする。か、可愛過ぎる!くーちゃん……マジ天使!


そして、くーちゃんを間に挟むようにして、右側に私、左側に紅ちゃんと、川の字になって布団に入る。

布団の中に入ると、ふかふかした弾力のある羽毛布団と、日中に干したのか、お日様のいい匂いがして、ゆっくりと眠気を誘ってくる。そして、寝付きのいい紅ちゃんは、真っ先にスヤスヤと寝息を立てていた。そんな横でくーちゃんが、くるりと寝返りを打ち、私の方を向いてくる。


「ねぇ、夕華?」

今にも寝てしまいそうな、トロンとしたまぶたを、ゴシゴシと擦りながら聞いてくる。


「ん?どうしたの?」

何か聞きたい事があるってお風呂場で言ってたけど、その事かな?


「夕華は、お外の世界から来たんだよね?」

「うん。そうだよ。」

次元の狭間にある、カグラ士協会って所から来たと、くーちゃんに言っても難しいだろうから、短く肯定の返事だけをした。


「お外の世界って、どんなところなの?」

これまた漠然とした、何て言えばいいか答えにくい質問だ。外の世界といっても、カグラ士協会と、現世では技術的に大きな違いがあるし、それに、規模が全然違う。現世は世界規模に対して、カグラ士協会は、町くらいの規模の大きさだ。ここは的確に、くーちゃんが、何を知りたがっているかを考えないといけない。


「う~~~んっとね、外の世界はね、高天原より、たくさんの人が生活してて……」

「たくさんって、どのくらい?くーちゃんのゆびの数より、おおい?」

「うん。もっとたくさん。数え切れないくらいだよ。」

そう答えると、くーちゃんは、すっご~~~い!と目を見開き驚きの表情をした。


それから、しばらくの間、現世には、高天原より大きな海があるとか、自動車や、空を飛ぶ大きな乗り物が、たくさんあったり、私達の知らない珍しい食べ物があったりなど、カグラ士協会には、くーちゃんと同じ式神が大勢いる事や、私たちカグラ士がどんな仕事をしてるかを話した。私には他愛無い話だったけど、それをくーちゃんは興味津々で聞いていた。


「……で、これが私の知ってる外の世界。どう?大体分かった?」

私が話し終えると、くーちゃんは、コクコクと首を縦に振った。さっきまでの眠たそうな表情は消えてなくなり、今は、へぇ~、そうなんだ!と、私が教える外の世界の情報に、ワクワクした表情で相槌をしてくる。


「いいなぁ、おそとの世界、くーちゃんも行ってみたいなぁ。」

そう言いながら、くーちゃんは天井を見上げながら、ハァっとため息をついた。


「アマテラス様に言ってみれば?お外に行きたいって?」

くーちゃんにめちゃくちゃ甘いアマテラス様の事だから、すんなりOKしてくれるでしょう。くーちゃんの上目使いでお願いされたら、断れる人は、まずいないと思う。


「う~~~ん、それは、くーちゃんも一回だけ、あーちゃんにおねがいした事あるんだー。でもダメだっだった。」

すこし寂しそうというか、残念そうなトーンで答えるくーちゃん。ダメだった、って事はあのくーちゃんマジLOVEなアマテラス様が、首を縦に振らなかったという事だよね。なんか意外。


「くーちゃんがね、あーちゃんにお外行きたいー、って言ったら、すごくかなしそうなお顔してね、ダメじゃ、って言われたの。」

すごく悲しそうな顔をしてって所が気になったけど、まぁ、神様はもう現世の人の信仰が薄れてきてるから、現世に行っても実体が保てないから、くーちゃん一人で行かなくちゃならないから分かるんだけど、カグラ士協会に行くくらいなら、連れて行ってあげられるはずなんだけど、それもダメって言うのには何か理由でもあるのかな?


そんな事を考えながらくーちゃんの話しを聞いていく。



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