小さな神様と幼い式神1
14:15 龍神の滝近くの小屋
「あ~~~、やっと着いた~~~・・・。」
「全然、あとちょっと、じゃなかった・・・。」
小さな小屋の前で、膝に手を付き、ぜぇぜぇ、と肩で息をしながら呼吸を整える、二人の少女と、
「あーちゃん!ただいまー!」
元気良く、小屋の戸を開けながら帰宅を知らせる、一人の幼女の姿があった。
な、なんで?・・・くーちゃん・・・あんな平気そうなんだろう?もしかして、これが若さというやつなの!?
まだ、歳を感じる年齢でもないのに、同じ山道を登ってきて、元気いっぱいな少女と、ぜぇぜぇ、息切れをする私達を見比べれば、そう感じられずにはいられなかった。
そんな事を思っていると、くーちゃんが、戸を開けて小屋の中へ入って行く、その後ろを、慌てて、私と紅ちゃんが付いていく。小屋の中は、いかにも日本家屋な作りをしていて、玄関を入ると、高い土間があり、その土間を上がると、小屋の中心に大きな囲炉裏があった。
そして、その囲炉裏の傍で、さっき山道で出会った、”あーちゃん”こと、アマテラス様がお茶をすすりながら待っていた。
「おー!待っておったぞ!」
アマテラス様は手に持っていた湯のみを床に置き、トタトタと足音を鳴らしながら、上機嫌な様子で近づいてくる。
「いやー、山道は長かったじゃろ?まぁ、座れ、座れ!遠慮はいらんぞ、そうじゃ!とっておきのお茶と茶菓子があったの!今持ってきてやるから、ちと、待っておれ。」
「いえいえ、そんな!アマテラス様にお茶を持って来させるなんて出来ませんよ!ここは、わたしが・・・。」
「いやいや、気にするでない。それに、久々の客人じゃ、急な山道で疲れてもおろう。ここは任せて、ゆっくり座って休んでおれ。」
そう言って、アマテラス様に言われるまま、半ば強引に座らされた。そして、私の隣に紅ちゃんが座り、囲炉裏を挟むようにして、反対側にくーちゃんが座った。
それにしても、神様って以外と庶民的な所に住んでるんだな~。木とか岩の近くに住んでるっていうから、もっと、隠れ家みたいな所に住んでるかと思ってた。
そんな事を思いながら部屋を観察していると、お茶の準備が出来たようで、部屋の奥から、丸いおぼんの上に、湯のみが4つと、鮮やかな色の、練り切りと呼ばれる、あんこを、さらに違う色のあんこで包んだ、お茶請けの定番とも呼ばれる、茶菓子が出てきた。その鮮やかな、色と見た目に、思わず見惚れてしまうほどである。
「ほれ、お茶の用意ができたぞ。疲れた体には、甘いものが一番じゃ!」
「あ、ありがとうございます。」
「どうも・・・。」
アマテラス様は、その小さな手には似合わない、大きな湯のみをがっしり掴み、お茶をこぼさないようにゆっくりと私達の前に運んでくれる。その、慎重にお茶を運ぶ姿が、慣れない事を初めてする子供のような、手つきに見えて、思わずカワイイと思ってしまった。
「む、むぅ~、わらわが、大人バージョンの時は、お茶を運ぶ位、大した事で事では無かったのじゃが、こんな幼児体系じゃと、何をするにしても不便で適わん!」
そんな独り言を呟きながらも、一生懸命、持て成そうと湯のみを配る。見ているコッチがヒヤヒヤしてしまう。
「よし、これで準備オッケーじゃな!」
湯のみと茶菓子を配り終えると、アマテラス様はふぅ、っと、一息いれると、私達の反対側くーちゃんの隣に座った。こうしてくーちゃんと、アマテラス様が二人して、横に並んで見てみると、何処からどう見ても、アカデミー小等部にも満たない、小さな子供にしか見えない。
「それじゃあ、改めて自己紹介するとしようかの。さっきは、あまりゆっくり出来んかったからの。」
そう言って、アマテラス様がお茶を一口啜ると、
「改めまして、わらわが、誰もが尊敬し、崇拝する、全知全能、神様の中の神様!天照大神こと、アマテラスじゃ!あーちゃんとか、アマっちとか好きに呼んでくれてよいぞ!かっかっか!」
腰に手をあて、口を大きく開き豪快に笑う。そんな姿を見て、
「いやいやそんな、神様を、あーちゃん、とか軽々しく呼ぶなんて、恐れ多いですよ!」
「分かった。アマっち。」
両手を前に出し、ブンブンと手を振り、出来ません、と遠慮する私の横で、紅ちゃんが、コクリと頷き、さらりと言ってのけた。この子・・・出来る!
「かっかっか!それで良い。その方が気を使わんで済むからの。では、次は、お空自己紹介じゃ!助けてもらった、おねーちゃん達に、お礼と改めてご挨拶じゃ!」
アマテラス様が、くーちゃんの頭を、軽く撫でてやると、くーちゃんは嬉しそうな表情をして、うん!と、大きな返事をした。そして、トタトタと、囲炉裏の反対側にいる、私達の所まで来ると、大きくお辞儀をして、
「ゆーか!もみもみ!助けてくれて、ありがとう!えっと・・・改めまして、ヨロシク!クーちゃんですっ!」
満面の笑みで言った。




