まだ見ぬ神様を探して5
「ねぇ、紅ちゃん・・・。」
「ん、何?」
私達は少しの休憩をとった後、再び山道を歩きだした。歩き出したと言ってもさっき休憩してから一時間以上山道を歩き続けていた。さっき休憩した時あと半分くらいって言ってたのに、やっぱり山道だと時間の感覚が狂ってくるのでしょうか?、全然滝が見えてくる気配しない・・・。
「本当にこっちの道であってる・・・?」
少し前を行く紅ちゃんは全然息を切らしてない、多分私の肺と作りが違うのでしょう・・・。いつも訓練してる時間は変わらないのに何が違うのだろう?
「ん、大丈夫。・・・・多分・・・」
ん?今、小声で”多分”って言った?言ったよね?聞き間違いじゃないよね?紅ちゃん息は切らしてないけど、汗かいてるね、もしかして・・・冷や汗だったりしないよね?実は道間違えてたけど、今更言い出せなくて焦ってる訳じゃないよね?
「紅ちゃん・・・もしかして・・・・」
「み、みみ、道は間違ってないよ・・・うん。ま、まちがっててな、ないよ。」
明らかに動揺しているよ!しかもまだ何も聞いてないのに、道間違ってない、ってもう迷子確定じゃないですか!?
「道に・・・迷ったんだね・・・。」
「ま、迷ってないよ?・・・うん。方角は合ってると・・思うし。」
いやいや、紅ちゃん、疑問系で答えられても・・・。あからさまに焦っているのは分かるし、何より声のトーンが違うし・・・。
「紅ちゃん、本当は?」
「ごめんなさい、迷いました。」
はい。素直でよろしい、素直なのが一番です。無理してるの丸分かりだし、困った時は助け合うのが友達だしね。
「まぁ仕方ないよね、周りがこんなに木に囲まれてるんじゃ、方向感覚も狂ってくるよね。」
「でも、ごめん。本当はもっと早く気づいてたんだけど、言い出せなかった。」
何ですと!もっと早く言ってくれれば良かったのに・・・。でもまぁ紅ちゃんはアカデミーの頃から何でも一人で頑張って解決しようとする癖があるから言い出せなかったんだろうなぁ。そこが紅ちゃんの良い所であり、悪い所でもあるんだけどね。
「全然大丈夫だよ、でもこれからは困った事があったら相談してくれると嬉しいかな?これからは一緒に依頼をこなして行く仲間だし。」
そう、これからはアカデミーの頃とは違う、仲良しの親友同士だけではなく、同じ依頼をこなしていく”仲間”なんだ。いつも頼りっぱなしの私だけど、少しでも紅ちゃんに頼られるようになりたい。
「うん。分かった。困った事があったらすぐ相談する。」
「うん!お互いに助け合って行こう!」
うんうん。支えあってこそ仲間!チームワークってやつだね。
「いきなりだけどいい?」
真っ直ぐな瞳で聞いてくる紅ちゃん。こんなに真剣な表情は今まで見たことが無い!・・・かもしれない。紅ちゃんのあまりにも真剣な表情に、私は紅ちゃんの手を取り顔をグッと近づけた。
「うん。何でも言ってよ!」
初めての親友の相談だ。これは何としてでも応えてあげたい、できなくてもアドバイスくらいはしてあげたい!
「あのね、どうすれば、うずっちみたいに胸が大きくなるの?」
「えっ?」
予想もしてなかった質問に、私の頭の中は一瞬フリーズしてしまった。
「うずっちの胸見て思ったんだ。私のは周りの子に比べると小さいのかな?って」
そして私の思考は動きだす!
そ、そうですか。紅さん、うずめさんがいろいろカグラ士協会について説明してくれてた時、静かだったのは、そんな事を考えてたからなんだね・・・。
いやいや、でも親友の初めての相談だ。ここは真剣に答えてあげなければ・・・。でも、実際どうしたら胸が大きくなるかは分からないけど、一番信憑性が高そうなものを教えてあげよう。うん、そうしよう。
「揉めば大きくなる!・・・・らしいよ・・・・?」
そう言うと紅ちゃんは「分かった。」と言って自分の胸を揉み始めようとする。
あまりに唐突な出来事に、私の頭はまたしてもフリーズしてしまう。まさに思考回路はショート寸前だった。
「ちょ、ちょ~~~っと待って、も、紅ちゃん!胸を揉むのは夜一人でやると効果的らしいよ!?」
焦った・・・まさか今ここで試すとは・・・。いやでも、なんと言うか親友が目の前で胸を揉みだすのを見るのは恥ずかしいし・・・。勢いで嘘言っちゃったけど、仕方ないよ・・・ね?
「わかった。夜一人でやってみる。」
そして胸に当てていた手を離した所で一安心する。
「うん、そうだね・・・そのほうがいいよ・・・きっと。」
天界高天原に来てまだ半日も経っていないのに、何だかとっても疲れた気がする・・・。
この調子で本当に大丈夫なんだろうか・・・。(主にツッコミが)
この時私は、高天原に来て初めて、胸に微かな不安を抱くのであった。




