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3日目スタート

「お嬢様、朝でございますよ」


 前世の知識を思い出している間に眠ってしまった…。


「ん…おはよう。ニーナ…」


 ベットからのそりと這い出て準備を始める。前世は便利だったなぁ~、私からすると前世の世界は、科学という名のファンタジーだ。『嘘みたいだろ…鉄の塊が人を乗せて空を飛ぶんだぜ』…みたいな感じ。洗濯機もない今世では、侍女や使用人がいないと生きていける気がしない。


 でも、ごめんね、どうやら前世の私は生粋の文系だったらしく、科学技術の知識はふんわりとしかない。電気の説明すらできる気がしないの。せめて簡単なモーターぐらいちゃんと構造を覚えておけば!!


「ニーナ…いつもありがとね」


 洗濯機作れなくてごめんね。と、心の中で謝っておく。


「……お嬢様…何か悪いものでも食べました?」


 そうだった。ニーナは、屋敷の中で唯一私に甘くない人間だった。

 ニーナは30代半ばくらいの”教育ママ”って感じの雰囲気のできる侍女で、私の家庭教師役でもあった。私はニーナのことが苦手で、学園に一緒に来るのも、なんでニーナなのかとお父様にこっそり抗議したのだった。


「…髪型を変えようと思うの。これからは髪を巻かなくてもいいわ。このバレッタを使ってハーフアップにしてほしいの」


「これは…素敵なデザインですね。お嬢様にお似合いになるかと…。カーリーのデザインでしょうか?しかし、いくらだったのですか」


 ニーナにじとりと見られる。

 はわわ。背中をジトリとした汗が伝う。


「20万ログよ。正しくは30万ログだったけど、カーリーがまけてくれたの…。大丈夫、きちんとお小遣いで買ったもん!」


 つい、子供っぽく言ってしまう。

 ふっ。とニーナが優しく微笑む。彼女のこんな表情を初めて見たので思わず固まってしまう。


「お嬢様は変わられましたね。雰囲気もしっかりされましたし。こんなこと言っては何ですが、ジーク様にフラれてよかったかもしれないですね」


 ぐっ。ひどい。やっぱりニーナは容赦ない。


「ま、まだフラれたわけじゃないわ!……ジーク様のこと、知っていたのね」


「お嬢様の侍女ですから。それに、あんなに「ジーク様…どうして」とか泣いてたら誰でもわかりますよ」


「うっ…。真似までしなくてもいいじゃないのよぅ…」


「さすがに哀れで同情しましたからね。髪型はこちらでよろしかったでしょうか?」


 今までゆるく巻いてもらってたけど、今日からはストレート。ハーフアップもサイドをループにしてくれている。ニーナは抜かりないね。


「ええ。可愛い!ありがとう」


 制服に着替え、学園へと向かう。


 ちなみに、学園は全寮制で4つの棟に分かれている。

 1つ目は王族・公爵家・侯爵家の使用する棟で、2つ目は伯爵家・子爵家・男爵家の男子の使用する棟、3つ目は伯爵家・子爵家・男爵家・平民の女子の使用する棟。4つ目は平民の男子の使用する棟。

 まぁ、超偉い人が住む棟と女子寮1棟、男子寮2棟(貴族用・平民用)て感じ。


 平民の女子と貴族が一緒の棟なのは、平民の女子が学園に入学してくることがまず無いから。一部の事業主などの平民の超富裕層ですら、跡取りの長男ぐらいしか学園に入学させることができない。


 それほどエイン学園の学費は高い。でも、貴族とのコネクションを求めて多少無理させて長男だけでも入学させて来るのだ。平民の女子は、王国統一試験に受かるような子だけ…だけど、科学技術の発達していないこの世界では、平民の女子は家のお手伝いをしなくてはならないから、なかなか勉強に時間を割くことは難しい。炊飯器も、洗濯機もない世界だから。夜勉強するとなると、蝋燭代も馬鹿にならないしね。


 …勉強を頑張って、できたら平民の女の子の立場がもっと良くなるように頑張りたいな。

 よし、これを目標にしよう!



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