誕生日。
(7月17日 水曜日:108日目)
皆さまごきげんよう!
今日は私の誕生日です!14歳になりました!
なんと、ジーク様からお花とプレゼントとメッセージが届いた!!
もう一度言おう、お花とプレゼントとメッセージが届いた!!!
去年はメッセージが無かった上、プレゼントもやっつけ仕事感満載のハンカチとお花というものだった。今年は箱からしてちゃんとしてるし、メッセージもカードではなく手紙だ!
お母様がしたり顔で私に手渡してくれる。
お兄様からもう取り戻したの?と聞かれたけれど、まだ、取り戻していない。
でも、これはいい兆候だ!
ふふふ。
自室に戻り、ドキドキしながらプレゼントを開く。
か、髪飾りだと嬉しいんだけど!髪飾り!かみかざり!
ぱかり、と開くと…ブローチでした。
違ったけどうれしい!!可愛い!!
クラスターリングみたいに真ん中に楕円のカボションルビーがあって、その周りを小さなダイヤモンドとルビーが交互に配置されている。3~4センチくらいのサイズ感がゴテゴテしすぎず可愛らしい。ぷっくりとしたカボションルビーの色味も真っ赤ではなく、深く濃く透明感のある瑞々しいピンクだ。
「なんて綺麗な発色のルビーなの…。」
全体として大人っぽくゴージャスでありながらゴテゴテしすぎず可憐な可愛さが垣間見える。
すごくセンスがいい。そして、今までになく豪華だ。一体いくらするの??嬉しくて泣きそうになる。期待…してもいいのかな?期待すると期待しただけ、ダメだったときに失望と絶望が増えるからできるだけ期待しないようにしていたけど。
「ジーク様…。」
しばらくしてからお母さまが呼びに来てくれた。
「リア、何を頂いたの?」
「お母様…それが。」箱を開けて見せる。
「まあっ!なんて可愛いの!!素敵!!よく見せて!」
お母様がごくり、と喉を鳴らす。
「リア…これ、おそらく180万ログから230万ログくらいするわ。」
「ひ、ひゃくはちじゅうまんログ!!!」
えええええええっ!!14歳に?!
「こんな高価なもの、頂いちゃっていいのかしら?」
「大丈夫よ。マグノリア家の領地はエレトリア王国の武器庫と呼ばれているくらい武器の製造が盛んなの。領地から取れる鉄の品質も高くて、国から一定量の発注が常にあるから安定した収入源があって…コレもってるから。」
そう言ってお母様がいたずらっ子みたいな顔して親指と人差し指で円を作る。
「ナルホド。」
「でも、リアこれは期待していいんじゃないかしら?」
「お母様もそう思います?」
「ええ!今までのプレゼントから比べると、本気度が違うもの!」
私達は結局お兄様が呼びに来るまで盛り上がってしまった。
その後誕生日をみんなから祝っていただき、プレゼントを受け取る。お祖父様からはエスパルマで買ってきていただいた東の国風の鏡、お父様とお母様からはドレス、お兄様からは素敵なペンだった。
「皆様ありがとうございます!」
「リア、他に何か欲しいものはないか?四月からお前は勉強にサロンに論文とよく頑張っている。ご褒美…というわけじゃないが、私たちはお前に何かしてやりたい。」
「お父様…でしたら、お願いがあります。一月程1人で旅行に行きたいのです。」
「旅行?どこに?」
「国外に」
「何をしに?」
「優秀な人材を私たちの領地に勧誘しに。」
「・・・まさか。」
「はい。まさかです。」
「本気か?!エスパルマの経済特区に行くつもりなのか?!」
「本気です。独立戦争なんかしたくない人もいるでしょう。私たちの領地がそういう人達の受け皿になればいいのです。」
「国際問題になりかねん!」
「私達の領地は大陸内における交易の要所。たまたま商人達が交易のため訪れた際に、たまたま気に入り、住み着いただけですわ。領地は行き交う商人や旅人達の落とす金で潤っていますが、我が領地を主体で活躍する商人がもっと増えれば更なる発展をするはずです。」
「理論上はな!だが、危険すぎる!」
「お父様やお兄様、お祖父様が行けば問題となるでしょうが、14歳になったばかりの小娘が1人で行ったところで国家から注意されるとは思いません。」
「何かあったらどうする!!・・私は、アメリアに何かあったら生きていけない…。」
お父様が悲痛そうな顔をする。
大切に思ってくれていることに、じーんとして目頭が熱くなる。
「お父様…お気持ちは本当にありがたいです。でも、チャンスがあるならチャレンジしてみたいのです。私も領地に何か貢献したいのです!それに…14歳の異国の貴族令嬢が呼びかけても誰も反応しない可能性の方が高いですわ。でも、それでも、やってみたいのです。自分を試してみたい。どうかお許しいただけないでしょうか?」
「だめだ。」
「お父様…。」
重たい沈黙が場に降りる。なんて伝えればいいの?
「リア、どうしてそんなに無茶をしようと思うんだ?」
お兄様が真剣な顔で聞く。
「エスパルマ王はアストン教を深く信仰していますね?自国の経済を支える異教徒を許せないほど。…深く信仰しているならば、一国の王としてあり得ないとは思いますが、彼には経済特区の住民が王室の貴重な財源ではなく、単なる不埒な異教徒と見えている可能性があります。
もし、仮に経済特区の人間が独立戦争をしたとします。彼らは善戦虚しく負けるでしょう。負けた彼らはどうなるのでしょうか?大人しく改宗しますか?その程度で変わるのなら既に改宗しているでしょう。
エスパルマ王は全員を殺そうとするのでしょうか?彼らは命懸けで経済特区から次の地域に移動するでしょうね、その際に商人としてのツテを使い他国から支援を受けようとするでしょう。周辺国の利害を巻き込んだ争いになるかもしれません。逃げ道を教えてあげたいのです。戦うだけではなく、逃げることもできるのだと。」
呆然とお父様がこちらを見る。
「何が何でも無事に戻ってまいります。お願いします、行かせてください!!」
「…許してやれ、サムソン。可愛い子には旅をさせろというだろう?
リア、しっかりしたな。子供の成長とは早いものだ。儂のような老いぼれはもう成長しているのか停滞しているのか衰退してるのか分からないが。…眩しいものだ。恐らくリアだけなら大丈夫だろう。護衛をしっかりつければいい。」
「お祖父様…。」
「あなた、私もリアにチャンスをあげたいわ。」
「僕も、リアの願いを叶えさせてあげたい。だけど、リア、決して無理はしないと約束してくれ。」
「お兄様・・約束しますわ。」
お父様が目を閉じ深いため息をついた後、優しい顔でこちらを向いた。
「・・・分かった。では、もしリアに賛同してくれる人がいた場合の、受け入れの際の条件とかを決めよう。」
「お父様!!」
「お前に何かあったら、私は生きていけない。それだけはきちんと覚えていてくれ。」
「はい・・・はい。心に刻みます。」
【エスパルマ編】はご都合主義が爆発してしまいました。タイトルに【エスパルマ編】と記載しますので、苦手な人は飛ばしてください。




