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異世界転移したけどチートがなんか気持ち悪い  作者: Mei2
7章 息継ぎと希望
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7-8 ゼフィーの研究所

一日フライングして投稿したのは明日も投稿するからです。それではどうぞ。




「ここはね、ゼフィーの研究室。ゼフィーの第二の故郷にある、秘密の部屋。ここに来たのも、ここに来ることができたのも、ゼフィーとお兄ちゃんだけだよ」


通路を抜け、戸を開くと、そこには大型の機械が何台も稼働している。その一つ一つが何をするものなのかはわからなかったが、休まず稼働し続けるそれは、不気味に映った。


「ゼフィーは研究者。不可解なことはすべて解決しなければ気が済まない厄介な存在・・・・の、つもりはないけど、自分の目標があって、研究をしているつもり」

「これは何の機械・・・というか、機械ってことは稔さんは知ってるのか?」

「ううん。部品の調達はこっそり頼んだりしたけど、気づいてはいないよ。あのくらいのものなら、自分で作れるから」


ほら、と見せる紙束には、びっしりと細かい構造が書き込まれていた。一つ一つがあの機械の図面らしい。


「魔石って、見たことある?」


魔石・・・魔力を含んだアクセサリーとしての魔石や、砕くと音が出る理力の爆鳴石などならみたことはある。結構高価なものだったはずだ。


「魔石って、特殊な環境にあった石ころに長い年月をかけて魔力が蓄積したものなんだ。それを自作して、自分の望む効果を引き出せたら、って研究をしてるんだ」


お土産に、と言って渡されたのは、三日月の形のペンダントを渡される。


「鑑定していいか?」

「いいよ」


久しぶりに〈鬼神の魔眼〉で鑑定。すぐにウィンドウが現れた。


〇月鏡石のペンダント

魔法を反射する魔石で作られたペンダント。たまに魔法を跳ね返すぞ。


「ちゃんと魔法を反射する効果はついてる?」

「うん。ちゃんと書いてある。すごいな」

「えへへ、まだまだだよ。これからも良かったら鑑定を手伝ってくれないかな? ゼフィーだけじゃ実際に使ってみないとどんな効果なのかわからないんだ」

「いいよ。稔さんたちには言わないの?」


ゼフィーは困ったように目を伏せてしまった。黙っていることを負い目には感じているのだろう。


理由はわからないが、本人がそれがいいならそうするべきだと思った。


「まあいいや。じゃあ鑑定してほしいときはいつでも言ってね」

「うん! ありがと、お兄ちゃん」


微笑むゼフィーは純粋で、まっすぐな暖かい光を感じさせた。そういう無垢な部分を普段は不気味に感じていたが、今は信用しようと思った。


「ところで、向こうの扉は?」


ユートは部屋の奥にある扉を指さした。来た方向の扉とは違って、とても頑丈なつくりだ。


「それは・・・・・お兄ちゃんがもう一度、ここに来ることが出来たら、案内してあげる。それでいい?」

「うん。無理に今すぐとは言わないよ」

「ありがと。じゃ、そろそろ帰ろう?」


ゼフィーはユートの手を引いて、最初に来た部屋に戻った。最初に来る時にはなかった光の扉があった。


「誰にも言わないでね――――約束だよ」


ゼフィーはユートの手を引いたまままま、光の中に呑まれていった。




__________________________________



「・・・・と! ちょっと!」


ゆさゆさと体を揺すられる感覚。声の主は夏芽さんのようだ。


ゆっくりと瞼を開けると、風景はゼフィーの部屋に戻っていた。ベッドに背を預けるようにして寝ていたらしい。隣にはゼフィーもいた。


「・・・・あれー? 寝ちゃってたかな・・・」


眠い目をこすりながらゼフィーも起きる。夏芽さんはゼフィーに用があったようだ。


「とってあったクッキー、食べちゃったでしょ! あれ、お菓子作りに使うつもりだったのよ!」

「ああ・・・・えへへ」

「えへへじゃないでしょもう!」


目覚ましとばかりに頭グリグリ。ゼフィーはじたばたと足掻いて逃げ出してしまった。夏芽さんもそれを追って部屋から出ていく。寝起きには少しやかましすぎるくらいに楽しそうに見えた。


「・・・・さて」


後を追うつもりはないが、部屋から出ようと立ち上がる。布のかかったカンバスが目に入った。特に何の気もなく、それをめくる。


そこには、笑い合う男女と、のどかな自然風景が絶妙な具合で描かれたデッサンがあった。


息をのむほど美しい。その上、見てきたかのように細かく書きこまれている。普段書いているらしい漫画とはかける情熱が違うのだろうと思った。


そして、右下には『あのころ』というタイトル書き。ユートはそれが何なのかを推察できるほど何かを知っているわけではないが、それがゼフィーにとって重要なものであることは分かった。


この絵の事は研究所のことと同じく誰にも言うまいと決意し、ユートはかかっていた布をきれいに戻してから部屋を出た。


居間にはゼフィーを叱る夏芽さんと、困惑するシューミル、訓練から戻ってきたらしい稔さんが居て、それらはここの日常に見えた。


この光景はきっと望ましいものなのだろう。それを維持すべく、皆が個人で努力しているのだ。


自分も頑張ろう、と改めて思った。





次回多少の(あくまで多少)エロ回となります。苦手な方は飛ばして結構です。

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