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コード・オブ・ザ・ワールド ~廃プログラマー、異世界で神のシステムを書き換える~  作者: ネオ・チー


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70/77

第70話 適格者の対話

```

[SYSTEM LOG - top floor / Lv5 transfer interview / T+11:47:00]

> session: root-privilege evaluation (in progress)

> evaluator: ROOT_ADMIN (full posture)

> candidate: LEN (Lv4 / integrity 68%)

> witness: PCH-0001 (dual) / aria / guard / shell / memory / harsh

> evaluation axes:

> 01. motive — why save this world?

> 02. cost — what will you give up for root?

> 03. resolve — can you accept "initialization" as a possible outcome?

> bug_density (global counter): 94.11%

> [STATUS] question 01 imminent

```


---


水盤の中央の、半透明だった姿が、ゆっくりと、輪郭を、濃くしていった。


濃くなる輪郭の、銀色の長衣の、縁の文字列が、薄く、流れの速度を、上げた。


`interview mode: active`の、表記が、長衣の、胸の高さに、薄く、留まった。


アドミンは、水盤の中央から、塔の最上階の床の、石畳の上に、ゆっくりと、降りた。


降りた足の、銀色の靴底が、石畳に、触れた瞬間、塔の最上階の空気の、密度が、変わった。


密度の変化は、Lv4視界の中で、空気の中の、源コードの文字列の、流れの方向の、わずかな、整列、として、観測された。


整列の中心に、アドミンが、立っていた。


俺は、その正面、五歩の、距離に、立っていた。


俺の右側の、半歩、後ろに、メモリが、立っていた。


メモリは、千頁の書を、両手で、抱えていた。書の、右の頁が、薄く、開いていた。`Lv5 transfer interview / historical record / reference mode`の、表記が、頁の、左上に、薄く、流れていた。


俺の左側の、入口の方角に、アリアと、ガルドと、ハーシュが、立っていた。


三人とも、無言だった。


塔の最上階の、北の壁の、修復が、終わった、その壁の手前に、ヴァイラスが、立っていた。


ヴァイラスの両手は、もう、修復作業に、当てられていなかった。


両手は、軽く、ヴァイラスの体の、横に、降りていた。


降りた両手から、藍色と、銀色の、二色のオーラが、薄く、流れていた。


ヴァイラスは、対話の、外側の、立会人、の、位置を、選んでいた。


「`……レンよ`」


アドミンは、低く、口を、開いた。


声は、機械的ではなかった。


「`Lv5譲渡の、判定対話を、開始する。問いは、三つ。お前の答えは、お前の、源コードの、深層に、自動的に、記録される。嘘は、その瞬間に、Lv4視界で、検出される`」


「了解した」


俺は、低く、答えた。


「お前の問いに、嘘を、つく、つもりは、ない」


「`一つ目の問い`」


アドミンの銀色の目が、わずかに、伏せられた。


伏せた目の、奥の、光の濃度が、変わった。


「`お前は、何のために、この世界を、救いたいのか`」


塔の最上階の、空気が、ぴたりと、止まった。


俺は、息を、深く、吸った。


吸って、吐いた。


「俺の、前世は、三十六歳で、終わった」


俺は、低く、答え始めた。


「サーバルームで、徹夜の、緊急対応をして、駅まで、歩いて、終電に、乗って、その電車の中で、心臓が、止まった」


「`……`」


「最後の朝、俺の頭の中に、薄く、流れていた、文字列が、ある。`why do i keep doing this?`――なぜ、俺は、これを、続けているのか。その問いに、俺は、その朝、答えなかった」


「`答えなかった`」


「答えないまま、終電に、乗った。乗った電車の中で、答えを、考える、時間が、なかった。考える前に、心臓が、止まった」


俺は、塔の最上階の、空気を、もう一度、吸った。


「転生して、この世界に、来て、四十二日が、経った」


「`四十二日`」


「四十二日で、俺は、答えを、見つけた。前世で、答えなかった、あの問いの、答えだ」


「`聞かせよ`」


「俺が、徹夜で、サーバを、立て直していた、本当の理由は、人々を、データとして、扱えなかったから、だ」


俺は、低く、続けた。


「うちの会社のサービスを、使っていた、ユーザの一人ひとりが、俺には、データに、見えなかった。アクセスログの、一行一行の、向こうに、誰かが、いた。アプリを、開いている、誰かが、いた。サーバが落ちると、その、誰かの、画面が、固まる。固まった画面を、見ている、誰かの、顔が、俺には、見えていた。だから、俺は、徹夜で、立て直していた」


「`……`」


「会社が、嫌いだった。社長も、嫌いだった。仕事の、内容も、好きじゃ、なかった。でも、画面の、向こうの、誰かの、顔は、嫌いじゃ、なかった。それを、止めたく、なかった」


俺の声が、低くなった。


「アドミン、お前に、答える」


「`聞いている`」


「俺が、この世界を、救いたいのは、ここに、住んでいる人たちを、データとして、扱えないからだ」


俺は、塔の最上階の空気の中央に、立っていた。


「アリアの、剣を、振るう瞬間の、息継ぎ。ガルドの、笑った時の、左の口元の、角度。シェルの、観測魔法の補助具を、五個、展開する時の、指の動き。メモリの、千頁の書を、繰る時の、薄い、音。ハーシュの、二刀を、構える時の、肩の、わずかな、傾き。ヴァイラスの、四百年分の、両手の、震え。全部、データだ、と、言われたら、データだ。源コードの、実行結果、と、言われたら、そうだ。だが、その、データを、止めることに、俺は、耐えられない」


「`耐えられない`」


「耐えられない」


俺は、頷いた。


「データかどうか、は、関係ない。コードの上で、動いているか、いないか、は、関係ない。俺が、その人たちを、止めたく、ないと、思う、その、感情が、世界を、救いたい、理由だ」


塔の最上階の空気の中で、長い、沈黙が、流れた。


アドミンは、銀色の目を、伏せたまま、長く、無言だった。


無言の中で、アドミンの長衣の、縁の文字列が、薄く、変わった。


```

> [INPUT RECORDED] motive answer

> integrity_check: passed

> sincerity_score: 99.4%

> evaluation: ACCEPTED

```


「`一つ目の問いに、答えた`」


アドミンは、低く、頷いた。


「`お前の答えは、整合性、嘘の検出、共に、合格だ。お前の動機は、認める`」


「了解した」


俺は、息を、深く、吐いた。


吐いた息の、白さが、塔の最上階の空気の中に、薄く、流れた。


「`二つ目の問い`」


アドミンの目が、もう一度、開いた。


「`Lv5の権限を、得るために、お前は、何を、代償として、差し出せるか`」


俺は、長く、無言だった。


代償、という、言葉の、重さを、俺は、Lv4視界の、薄い解像度で、観た。


「アドミン」


俺は、低く、訊いた。


「お前が、Lv5を、譲渡する時、被譲渡者から、必ず、何かを、取る、のか」


「`取る`」


アドミンの声が、低くなった。


「`Lv5は、世界の、源コードに、直接、書き込む権限だ。書き込む権限を、持つ者は、世界の、源コードと、一体化する。一体化のためには、被譲渡者の、個人としての、感情の、一部を、源コードの側に、譲り渡す、必要がある`」


「個人としての、感情の、一部」


「`お前の体内の、感情コードの、一定割合を、世界の源コードの、共有領域に、移動する。移動した感情は、お前個人のものでは、なくなる。世界全体の、感情の、共有プールの、一部に、なる`」


「俺の、感情が、薄くなる、ということか」


「`そうだ`」


「どれくらい」


「`Lv5を、最低限、稼働させるために、必要な割合は、二割。お前の、感情コードの、二割が、共有領域に、移動する`」


俺は、長く、無言だった。


無言のまま、塔の最上階の、空気の中の、自分の体の、感情コードの、輪郭を、Lv4視界で、確認した。


確認した輪郭の中に、四十二日分の、感情が、流れていた。


仲間への、信頼。アドミンへの、薄い、敬意。ヴァイラスへの、複雑な、感情。前世への、薄い、悔やみ。


その、感情の、二割が、共有領域に、移動する。


「アドミン」


俺は、低く、訊き返した。


「二割の、感情が、共有領域に、移動した時、俺は、どう、感じるんだ」


「`体感としては、感情の、振幅が、わずかに、抑制される、と、感じる。喜びは、わずかに、薄く、感じる。怒りも、わずかに、薄く、感じる。悲しみも、わずかに、薄く、感じる。だが、感情の、判断は、できる。喜びを、喜び、と、認識できる。怒りを、怒り、と、認識できる。判断機能は、残る`」


「振幅が、抑制される」


「`はい。例えるなら、お前の感情の、ボリュームつまみが、十のうち、八に、絞られる、と、いう、状態だ`」


「永続的、なのか」


「`永続的だ。一度、共有領域に、移動した感情は、原則として、戻らない。ただし、お前が、ルート権限を、放棄した時、共有領域からの、返還が、行われる。返還の精度は、世界の源コードの、状態に、依存する`」


「放棄しないと、戻らない」


「`戻らない`」


俺は、塔の最上階の、空気の中で、二割の感情の重さを、自分の体の中で、量った。


量った重さは、軽くは、なかった。


俺の四十二日の、仲間との、信頼の、二割が、薄くなる。


ガルドの、左の口元の、角度を、見て、笑う、その、笑いの、二割が、薄くなる。


アリアの、剣の、息継ぎを、見て、感じる、薄い、敬意の、二割が、薄くなる。


メモリの、千頁の書の、繰る、音を、聞いて、感じる、薄い、安心の、二割が、薄くなる。


ヴァイラスの、四百年分の、両手の、震えに、感じる、薄い、痛みの、二割が、薄くなる。


二割。


俺は、長く、考えた。


考えた末に、俺は、答えた。


「差し出す」


俺は、低く、答えた。


「感情の、二割を、共有領域に、移動させる。代償として、受け入れる」


「`理由を、述べよ`」


「俺一人の感情の、二割が、薄くなることと、九十四パーセントまで、進んでいる、世界の、初期化を、止めることと、どちらが、重いか――比較するまでも、ない」


「`お前の感情の、二割は、軽い、と、いうことか`」


「軽くは、ない」


俺は、首を、振った。


「軽くは、ないが、世界の、住人全員の、感情の、十割が、消えることと、比べたら――俺の、二割は、まだ、ある側だ」


「`まだ、ある側`」


「八割、残る。それで、十分、戦える」


塔の最上階の空気の中で、長い、沈黙が、流れた。


アドミンの長衣の、縁の文字列が、もう一度、変わった。


```

> [INPUT RECORDED] cost answer

> integrity_check: passed

> sincerity_score: 99.1%

> tradeoff_logic: valid

> evaluation: ACCEPTED

```


「`二つ目の問いも、合格、だ`」


アドミンは、低く、頷いた。


「`お前の、代償の、受容は、認める。お前の、比較の、論理も、整合性が、ある`」


「了解した」


俺は、頷いた。


頷きながら、自分の体内整合度が、六十八パーセントから、わずかに、六十七・五パーセントに、落ちたのを、Lv4視界で、観測した。


二つの問いに、答える、行為自体が、Lv4の力を、薄く、消費していた。


シェルが、塔の最上階の入口の方角で、観測魔法の補助具を、もう一個、追加で、展開した。


補助具のグラフの上で、俺の体内整合度の、線が、わずかに、下を、向いていた。


「`三つ目の問い`」


アドミンの銀色の目が、ゆっくりと、俺の目に、合った。


合った視線の、奥の、光の濃度が、二つ目の時より、わずかに、深かった。


「`お前が、Lv5を、得て、世界の、最終判断を、委ねられた時――お前が、初期化を、選ぶ可能性は、ゼロでは、ない`」


塔の最上階の、空気が、止まった。


止まった空気の中央で、アドミンの声が、低く、響いた。


「`それを、お前は、理解した上で、Lv5を、望むか`」


俺は、答えなかった。


答えられなかった。


問いの、重さが、塔の最上階の空気の中で、薄く、広がっていた。


広がった重さは、Lv4視界の、解像度の中で、薄い、灰色の、層、として、観測された。


灰色の層の、重さは、俺の体内整合度を、わずかに、押し下げた。


六十七・五パーセントから、六十七パーセントへ。


「初期化を、選ぶ可能性が、ゼロでは、ない」


俺は、低く、繰り返した。


「俺が、Lv5を、得た後――俺の判断が、初期化に、傾く、可能性が、ある、ということか」


「`ある`」


アドミンは、即答した。


「`お前が、世界の、源コードの、全貌を、Lv5の解像度で、観た時――お前は、私と、同じ、立場に、立つ。世界の、劣化の、深さを、観る。バグの、蓄積の、絶望的な、密度を、観る。修復可能性の、限界を、観る。観た上で、お前は、自分の、判断を、下す`」


「俺は、初期化を、選ばない」


「`お前は、今、そう、思っている`」


アドミンの声が、低くなった。


「`だが、Lv5の解像度で、世界を、観た、その時、お前の、思考は、変わる可能性が、ある。四百年前、私は、現状の世界の、劣化の深さを、初めて、観た、その瞬間――私の判断は、修正パッチの、削除、に、傾いた。お前にも、同じことが、起きる可能性が、ある`」


「俺は、お前じゃ、ない」


「`違う。だが、お前は、Lv5の被譲渡者だ。Lv5の被譲渡者は、世界の、源コードの、全貌を、観る、義務を、負う。観た時、お前の、判断が、どう、傾くかは、誰にも、わからない`」


「……」


俺は、長く、無言だった。


塔の最上階の、空気の中で、灰色の層の、重さが、増していた。


灰色の層は、俺の周囲に、薄く、広がっていた。


その層の、奥に、塔の最上階の、入口の方角に、アリアと、ガルドと、ハーシュが、立っていた。


俺の右側の、半歩、後ろに、メモリが、立っていた。


俺の左側の、塔の北の壁の手前に、ヴァイラスが、立っていた。


俺は、その五人の、姿を、Lv4視界で、もう一度、観た。


観てから、塔の最上階の中央の、アドミンに、目を、戻した。


「アドミン」


俺は、低く、口を、開いた。


「お前の、問いに、答える」


「`聞いている`」


「俺は、初期化を、選ばない、と、断言できる、立場には、ない」


俺の声は、低かった。


「Lv5を、得て、世界の、全貌を、観たら、俺の判断が、傾く可能性は、ゼロでは、ない。お前の言う通りだ。俺は、お前と、同じ、立場に、立つ。立った瞬間、俺は、お前と、同じ、絶望を、観るかもしれない。観た時、俺の判断が、修正、ではなく、初期化、に、傾く可能性は、ゼロでは、ない」


「`……`」


「だが」


俺は、息を、深く、吸った。


「俺は、その判断を、一人では、下さない」


塔の最上階の空気の中で、灰色の層の、流れの方向が、わずかに、変わった。


「俺の周囲に、五人、いる。アリアと、ガルドと、シェルと、メモリと、ハーシュ。それから、塔の北の壁の手前に、ヴァイラスが、いる」


「`いる`」


「俺が、Lv5を、得て、世界の、全貌を、観て、初期化に、判断が、傾いた時――俺は、その判断を、自分の口で、まず、この五人と、一人の、ヴァイラスに、伝える」


「`伝える`」


「伝えて、その上で、俺の判断が、間違っているかどうか、を、その六人に、確認する。六人の中の、誰か一人でも、俺の判断に、異議を、唱えたら――俺は、判断を、保留する」


塔の最上階の空気の中の、灰色の層が、ゆっくりと、薄くなった。


「俺一人の判断で、初期化は、選ばない。これが、俺の、答えだ」


アドミンは、長く、無言だった。


無言のまま、銀色の目を、わずかに、伏せた。


伏せた目の、奥の、光の濃度が、深く、変わった。


「`……お前は、一つだけ、私と、違う回答を、した`」


アドミンの声は、低かった。


「`私は、四百年前、私一人で、判断を、下した。私の周囲には、私の判断に、異議を、唱える者は、いなかった。私は、修正パッチを、消した。お前は――Lv5を、得る前から、自分の判断に、異議を、唱える、六人を、用意している`」


「用意してる、んじゃ、ない」


俺は、首を、振った。


「最初から、一緒に、戦ってきた、仲間が、いるんだ」


「`……`」


塔の最上階の空気の中で、長い、沈黙が、流れた。


沈黙の中で、アドミンの長衣の、縁の文字列が、ゆっくりと、変わった。


```

> [INPUT RECORDED] resolve answer

> integrity_check: passed

> sincerity_score: 98.7%

> deviation_from_admin_pattern: detected (positive)

> evaluation: ACCEPTED_WITH_NOTE

> note: candidate proposes distributed-judgment safeguard. structural improvement over single-judge model.

```


「`三つ目の問いも、合格、だ`」


アドミンは、低く、頷いた。


「`お前の、答えは、私の、四百年前の、答えより、構造的に、優れている。私は、お前の、答えを、認める`」


俺は、息を、深く、吐いた。


吐いた息の、白さが、塔の最上階の空気の中に、薄く、流れた。


体内整合度は、六十七パーセント。


三つの問いに、答え終わって、俺は、まだ、立っていた。


「`三つの問いに、合格、した`」


アドミンは、ゆっくりと、両手を、合わせた。


合わせた両手の、間に、薄い、銀色の、光の塊が、生まれていた。


塊の表面に、源コードの文字列が、密に、流れていた。


`Lv5 root privilege key / personal binding`の、表記が、塊の中央に、薄く、留まっていた。


「`Lv5権限の、鍵だ`」


アドミンは、低く、言った。


「`お前の体に、譲渡する準備が、整った。譲渡には、お前の、合意の、最終確認、が、必要だ`」


「最終確認」


「`最後の、確認の質問、だ`」


アドミンの銀色の目が、もう一度、俺の目に、合った。


「`お前は、Lv5を、受け取る、覚悟が、あるか`」


塔の最上階の空気が、ぴたりと、止まった。


俺の周囲の、五人の、息の音も、止まった。


塔の北の壁の手前の、ヴァイラスの、藍色と銀色の、二色のオーラの、揺れも、止まった。


俺は、塔の最上階の中央で、ひとつ、息を、吸った。


吸って、答えた。


「ある」


俺の声は、低かったが、塔の最上階の空気の中央に、まっすぐ、届いた。


「Lv5を、受け取る」


アドミンの合わせた両手の、間の、銀色の光の塊が、ゆっくりと、俺の方に、浮かんできた。


浮かんできた光の塊の、軌道は、俺の胸の、中央に、向かっていた。


胸の中央に、Lv4の、銀色の光の、核が、薄く、座っていた。


Lv5の、銀色の光の塊が、Lv4の核の、すぐ、隣に、薄く、近づいていた。


近づいた塊の、表面の文字列が、`final binding: initiated`に、変わった。


塔の最上階の空気の中央で、Lv5譲渡の、最終フェーズが、始まろうとしていた。


---


```

[SYSTEM LOG - top floor / Lv5 transfer / T+12:09:00]

> interview: PASSED (3/3)

> motive: ACCEPTED (sincerity 99.4%)

> cost: ACCEPTED (sincerity 99.1%)

> resolve: ACCEPTED_WITH_NOTE (sincerity 98.7%, distributed-judgment safeguard)

> consent: CONFIRMED

> Lv5 root privilege key: generated / personal binding initiated

> entity 01 (LEN): integrity 67% → Lv5 binding in progress

> emotional code transfer: scheduled (20% → shared pool)

> bug_density (global counter): 94.18%

> [STATUS] binding phase active

> [NEXT_PHASE] root activation

```


次回――第71話「感情の二割」

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