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河内正則・栄光への道  作者: リンダ


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50/107

5回裏、タイタンズの攻撃

5回表終了後 岸和田ベンチ


スコアは 5-0。


岸和田のエース・御堂悠真はベンチへ戻ると、帽子を脱いで深く息をついた。


球数はすでに80球を超えている。


監督は静かにブルペンへ目を向けた。


そこでは、


2番手・南野拓真が、本格的に肩を作り始めていた。


⸻


ブルペン


「バシッ!!」


ミットへ突き刺さるストレート。


御堂以上の球威。


捕手も思わずうなずく。


「球は来とる」


「今日もええ球や」


しかし。


タイタンズベンチには、その南野の詳細な分析資料がすでに共有されていた。


⸻


真央がタブレットを開く。


「南野投手のデータ、再確認します」


画面には過去の試合データが並ぶ。


南野拓真


* 平均球速:133~136キロ

* 最速:138キロ

* 高回転ストレート主体


そして、その下に赤字で表示されている弱点。


制球にばらつきあり。


特に、


右打者へのインロー。


失投率が最も高い。


⸻


絵里が投球チャートを指差す。


「このコースです」


「狙ったボールが真ん中寄りに入りやすい」


「逆に外角はかなり丁寧です」


⸻


川原監督が選手たちを見る。


「ええか」


「南野が出てきたら」


「狙い球は一つや」


⸻


正則がうなずく。


「インロー」


⸻


藤原航も続ける。


「そこ以外は無理して振らん」


⸻


亜由美が笑う。


「待てる球だけ振るんやね」


⸻


監督もうなずく。


「そうや」


「データは何のために集める?」


誰も答えない。


監督が自分で答えた。


「狙い球を絞るためや。」


⸻


タイタンズ打線の共通確認


真央が最後に補足する。


「南野投手は球威があります」


「追い込まれると厳しいです」


「だから」


「ボールをしっかり見極めて、球数を投げさせてください。」


絵里も続ける。


「ファウルで粘るだけでも効果があります」


「球数が増えるほど、インローが甘くなります」


⸻


選手たちが静かにうなずく。


タイタンズの野球は、ただ強く振るだけではない。


事前の情報収集。


試合中のデータ更新。


相手投手の変化。


そのすべてを組み合わせ、


「どの球を待つか」


を全員で共有していた。


⸻


川原監督が最後に笑う。


「相手が速い球で押してくるなら」


「こっちは頭で勝負や」


「慌てる必要はない」


「しっかり球数を投げさせろ」


ベンチ全員が「はい!」と力強く返事をする。


タイタンズは、次の投手交代もすでに見据えながら、冷静に次の攻撃への準備を進めていた。




5回裏 大阪タイタンズの攻撃


スコアは 5-0。


この回から、岸和田はついにエース・御堂を下げる。


マウンドへ向かうのは、


南野拓真


球威は御堂以上。


ブルペンから140キロ近いストレートを投げ込み、観客からもどよめきが起きていた。


しかし。


タイタンズベンチには、真央と絵里がまとめた詳細な分析データがある。


⸻


真央が最後に確認する。


「狙いはインローです。」


絵里が続ける。


「高めは伸びます。」


「外角もまとまっています。」


「でもインローだけは、制球が甘くなる傾向があります。」


川原監督がうなずく。


「焦るな。」


「狙い球以外は見逃せ。」


「球数を投げさせるぞ。」


選手たちが力強く返事をする。


「はい!」


⸻


4番 三宅奈緒


奈緒は初球を見送る。


ボール。


二球目も外角。


見送る。


三球目。


狙っていたインロー。


少し甘く入る。


奈緒が迷わず振り抜く。


カキーン!


打球は左中間を真っ二つ。


レフトもセンターも追いつけない。


奈緒は二塁へ滑り込む。


ツーベースヒット。


ノーアウト二塁。


⸻


5番 藤原航


航も慌てない。


ファウルで粘る。


ボールを見極める。


カウントは2-2。


六球目。


またインロー。


航がコンパクトに振り抜く。


打球はライト線へ。


二塁走者・奈緒がホームイン。


航も二塁へ。


タイムリーツーベース。


6-0。


⸻


6番 加藤亜由美


岸和田ベンチがざわつく。


監督が叫ぶ。


「低め行くな!」


だが、南野は力んでしまう。


カウント2-1。


四球目。


インローがまた甘く入る。


亜由美が鋭く引っ張る。


打球は三塁線を破る。


航が一気にホームイン。


亜由美も二塁へ。


三者連続ツーベースヒット!


7-0。


タイタンズベンチは総立ちになる。


真央が思わず言う。


「完全にデータ通りです!」


絵里も笑顔でうなずく。


「狙い球を徹底しました!」


⸻


7番 川上眞子


ここで川原監督がサインを出す。


送りバント。


初球。


眞子はきれいに三塁側へ転がす。


南野が処理するも、


送りバント成功。


ワンアウト三塁。


⸻


8番 村瀬涼太


岸和田は前進守備。


村瀬は最低限を狙う。


初球、ボール。


二球目。


高めのストレート。


しっかり振り抜く。


打球はセンターへ。


センターが前進して捕球。


三塁走者・亜由美がタッチアップ。


ホームイン。


犠牲フライ成功。


8-0。


ツーアウト。


⸻


9番 河内正則


正則も積極的にいく。


しかし南野も意地を見せる。


高めの速球。


内角。


最後は外角いっぱい。


正則、空振り。


三振。


スリーアウトチェンジ。


⸻


5回終了


タイタンズは、


* 三者連続ツーベースヒットで2点。

* 送りバントで一死三塁。

* 犠牲フライでさらに1点。


この回だけで3点を追加し、


8-0とリードを大きく広げた。


タイタンズは、真央と絵里の情報収集と詳細なデータ分析を基に狙い球を徹底し、相手投手に球数を投げさせながら甘く入った球を確実に仕留める、まさに「データ野球」の真骨頂を見せていた。

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