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河内正則・栄光への道  作者: リンダ


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39/107

大阪府大会――準々決勝。

大阪府大会――準々決勝。


ベスト4進出をかけた戦い。


タイタンズの次の相手は、


岸和田キャッスルズ


打撃力と分析力を兼ね備えた強豪だった。


ただ勢いで振ってくるチームではない。

相手投手の癖、配球、フォーム、リリース位置。


徹底的に研究してくるタイプ。


⸻


試合前日。


岸和田キャッスルズのミーティングルーム。


壁には、タイタンズ戦の映像が映し出されていた。


正則の投球。

智雄の超スローボール。

星野の速球。


何度も繰り返し再生される。


岸和田の監督が言う。


「タイタンズは、普通に打ちに行ったら崩される」


選手たちは真剣な表情で画面を見る。


「特に、外角を待つとやられる」


映像には、岬や松原の打者たちが外角低めで泳がされるシーン。


さらに、インコースを意識しすぎて差し込まれる映像も流れる。


監督がホワイトボードに赤線を書く。


⸻


『狙いはインハイ』


⸻


「正則も智雄も、最後は内角で詰まらせに来る」


「だったら逆や」


「最初からインハイを狙う」


選手たちがうなずく。


岸和田の4番が言う。


「差し込まれる前に振り切るってことですね」


「そうや」


監督はさらに続ける。


「ただし、腰が引けたら終わりや」


「タイタンズの球は重い」


「だから、踏み込め」


⸻


さらにデータ班が資料を配る。


タイタンズ投手分析


河内正則


* 決め球:内角高め速球

* カウント有利時:外低め増加

* 二巡目以降:内外の幅を広げる傾向


池永智雄


* 超スローボール後の速球注意

* プレート三塁側使用率高

* 外角見せ球からインハイあり


星野慎一


* ストレート主体

* 初球ストライク率高

* 高めで押し込む傾向


⸻


岸和田の監督が最後に言う。


「タイタンズは強い」


「でも、崩せない相手ちゃう」


「向こうが配球で勝負するなら、こっちは準備で勝つ」


空気が引き締まる。


⸻


その頃。


タイタンズ側でも、真央と絵里が次戦データを整理していた。


真央がタブレットを見ながら言う。


「……岸和田、かなり分析してきます」


絵里もうなずく。


「特にインコース狙い、増えると思います」


その話を聞いた正則が、静かに笑う。


「なるほどな」


智雄もニヤッとする。


「じゃあ逆に、そこ利用できるな」


星野が腕を組む。


「読み合いやな」


川原監督はベンチの壁にもたれながら言った。


「野球はな」


「最後は、“分かってても打てるか”や」


⸻


夏の大会は、ここからさらにレベルが上がる。


勢いだけでは勝てない。


分析。

駆け引き。

心理戦。


そして――


負けられない理由。


準々決勝、開幕まであと一日。

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