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河内正則・栄光への道  作者: リンダ


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35/37

ジワリ広がる点差

3回表 松原ドリームナインズの攻撃


1点を失った松原ドリームナインズのベンチには、わずかに焦りが見え始めていた。


投手としては抑えている。

打ち取った当たりばかりだ。

それなのに、追加点を奪われる。


その“噛み合わなさ”が、じわじわと相手チームを追い込んでいた。


監督が打者を集めて言う。


「ストライクゾーンの球は、積極的にいけ」

「待ってたら、向こうの思うつぼや」


ベンチはそれに頷く。

確かに、智雄の緩急に待って対応しようとすると、逆に崩される。

だったら、来た球を叩くしかない。


だが――

その積極策を、今度は球威が上回った。


1番打者


初球から振ってきた。

だが、智雄の重い速球は、見た目の数字以上にバットを押し返す。


詰まった。


打球はセカンドゴロ。

さくらが落ち着いて捕って、一塁へ。


ワンアウト。


2番打者


ここも積極的。

二球目を叩きにいく。


だが、芯に当たらない。


ショートゴロ。

川上眞子が一歩目の速さで前へ出て、さばいて送る。


ツーアウト。


3番打者


強打者だ。

でも、智雄は逃げない。


内角寄り。

外角低め。

また内。


打者はストライクゾーンの球に手を出してくる。

それでも、ボールの重さに押される。


打球は三塁方向へ。


金町が捕って、一塁へ。


スリーアウト。


この回、松原は積極策に出た。

それでも結果は――


内野ゴロ三つ。


チェンジ。


3回裏 タイタンズの攻撃


ベンチへ戻ると、川原監督が短く言った。


「しっかりボールを見て、しぶとく行こう」

「相手、ちょっと焦ってる」


真央もタブレットを見ながらうなずく。


「ストライク先行したい意識が強くなってます」

「甘く入る球、増えそうです」


この回は、3番から。


3番 川上眞子(遊)


眞子は落ち着いていた。

初球、見送る。

二球目、ファウル。

三球目、ボール。


そして 4球目。


外寄りの球を振り抜く。


打球はショートへ。

だが、深い。


ショートが回り込んで捕る。

一塁へ送るが――


間に合わない。


内野安打。


ノーアウト一塁。


ベンチがざわつく。

また“普通ならアウト”の打球が、タイタンズの足と執念で安打になる。


4番 三宅奈緒(一)


奈緒は、ボールをぎりぎりまで引きつけた。

ここは強引に引っ張らない。


打ち返した打球はファースト方向。

いい当たりだった。


だが、松原の一塁手が好守備を見せる。

飛びついて止め、自分でベースへ。


ファーストゴロ。


ワンアウト。


ただし、その間に一塁走者・眞子はきっちり二塁へ進む。


ワンアウト二塁。


5番 藤原 航(捕)


ここが大きかった。


航は、ただ強く打とうとはしなかった。

“右へ、低く”という意識がはっきり見える。


初球、見送る。

二球目、ファウル。

三球目、ボール。

四球目、ストライク。


そして五球目。


外角寄り。

航がコンパクトに運ぶ。


打球はライト前へ。


二塁走者・眞子は、スタートが早い。

三塁を回る。

ライトの返球が来る――それでも止まらない。


ホームイン。


3-0。


航は一塁で小さく拳を握る。

今日の先発マスクとして、これ以上ない仕事だった。


6番 金町圭介(三)


続けていきたい場面。

金町も集中していた。


だが、松原の投手もここで粘る。

低めを打たせにくる。


金町の打球はセカンドへ。


二塁へ。

一塁へ。


ダブルプレー。


スリーアウト、チェンジ。


3回終了


この回、タイタンズは


眞子のショート深い位置への内野安打

奈緒の進塁打

航のライト前タイムリー


で、1点追加。


スコアは 3-0。


松原の投手から見れば、この回も“打ち込まれた”わけじゃない。

だがまたしても、点を奪われた。


その積み重ねが、少しずつ相手を焦らせ、疲弊させていく。


タイタンズの野球は、まさにそれだった。

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