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河内正則・栄光への道  作者: リンダ


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34/37

3回の攻防

3回表 松原ドリームナインズの攻撃


スコアは 2-0。

松原ドリームナインズのベンチにも、さすがに焦りが見え始めていた。


「際どい球はカットしろ!」

「ストライクを振り抜け!」

「当てにいくな、でも見逃すな!」


2点目を取られたことで、作戦はよりはっきりした。

ボール球は見極め、ストライクはしっかり振る。

その徹底だった。


だが――智雄の球は、そんな“理屈”を最後の最後で裏切る。


先頭打者


初球、超スローボール。

見送ってストライク。


二球目、内角寄りの重い速球。

打者はコンパクトに振り抜く。

狙い通りのスイングだった。


しかし、ほんのわずかに芯を外される。


打球はセカンドゴロ。

宮本さくらが落ち着いてさばく。


ワンアウト。


二人目


この打者は、初球から振ってきた。

ストライクを逃さない、という意識が見える。


智雄はそれを逆手に取る。


初球、外角低めいっぱい。

打者は振る。

いいスイングだ。だが、また芯を外される。


打球はショートへ。


川上眞子が一歩目で入って捕球、一塁へ。


ツーアウト。


三人目


ここで松原ベンチは、さらに大きく声を飛ばす。


「強く振れ!」

「流れ持ってこい!」


智雄は表情を変えない。

航も、ミットをほとんど動かさない。


初球、外。ボール。

二球目、内角。ストライク。

三球目、外角高め。ファウル。


そして四球目。

また、内角寄りの重い球。


打者は振り抜いた。

だが、体の近くで差し込まれた。


打球はサード前。

金町圭介が前へ出て処理し、一塁へ。


スリーアウト。


松原は“作戦”を徹底した。

だが、徹底すればするほど、智雄の投球術に絡め取られていく。


内野ゴロ三つ。

この回も、流れはタイタンズのままだった。



3回裏 タイタンズの攻撃


この回、打順は 3番から。


3番 川上眞子(遊)


眞子は思い切りがいい。

初球を見送る。

二球目ファウル。

三球目ボール。

四球目、ストライク。


そして 五球目。


フルスイング。


だが、芯を外された。

打球は三塁方向への、ぼてぼてのゴロ。


サードが前へ出る。

捕る。投げる――


だが、眞子が全力疾走で駆け抜ける。


内野安打。


ベンチが湧く。

打ち損ねでも、足でアウトを消した。



4番 三宅奈緒(一)


奈緒はここで強振しない。

サインは明らかだった。


初球、見送る。

二球目、外。

そして 三球目。


送りバント。


三塁線へきれいに転がす。

三塁手が前へ出るが、処理して一塁へ送るのが精一杯。


送りバント成功。


ワンアウト二塁。



5番 藤原 航(捕)


航が打席に入る。

松原のバッテリーは、ここで慎重になる。

一点もやりたくない場面。


初球、ボール。

二球目、ストライク。

三球目、ファウル。


そして――四球目の前、ではなく、

あなたの設定どおり 五番の四球目で、二塁走者・眞子が三塁へ盗塁。


眞子がスタート。

送球は来る。

だが、滑り込んだ足が早い。


盗塁成功。


ワンアウト三塁。


ここで、川原監督が動く。


スクイズ。


航はバントの構え。

松原の内野が一斉に前へ出る。


投手が投げる。

航は転がした。


三塁線――ではなく、投手前寄りに絶妙なスクイズ。


三塁走者の眞子が一気にホームを狙う。

捕手が前へ出るが、間に合わない。


スクイズ成功。


3-0。


航は一塁でアウトとなり、

この時点で ツーアウト、走者なし。


ベンチの真央が小さく言う。


「この1点、でかい……」



6番 金町圭介(三)


金町は勢いに乗りたいところだったが、

相手投手もここは意地を見せる。


初球ストライク。

二球目、ボール。

三球目、ファウル。

四球目――外角低め。


バットが空を切る。


空振り三振。


チェンジ。



3回終了


タイタンズはこの回、

•眞子の内野安打

•奈緒の送りバント

•眞子の三盗

•航のスクイズ


で、ノーヒットに近い形からさらに1点を奪った。


スコアは 3-0。


松原の投手は、またしても「打たれてはいない」のに点を失った。

この“じわじわ削られる感じ”が、投手戦では一番きつい。




いい流れ。投手戦の“読み合い”が一段深くなる場面だね。

設定どおりに、4回表〜4回裏+スコアラーの分析をつなげて書くよ。



4回表 松原ドリームナインズの攻撃


スコアは 2-0。

マウンドは引き続き 池永智雄。


この回、松原打線が最も苦しんだのは――

**あのスローボール(スローカーブのように見える軌道)**だった。


ふわりと浮いて、タイミングを外す。

振ろうとして、止まる。

待とうとして、前に出る。


その“ズレ”の直後に――


ズドン。


重たい速球が、同じ腕の振りから来る。


完全に、打者の時間感覚が壊れていた。



先頭打者


初球、スロー。見逃しストライク。

二球目、速球。差し込まれてファウル。

三球目、外角。


打ち上げた。


センターフライ。


ワンアウト。



次打者


初球、速球を見せる。

二球目、またスロー。


完全に体が泳ぐ。


三球目、内角寄りの重い球。

詰まった。


打球は、バックネット方向。


航がマスクを外し、冷静に追う。


キャッチャーファールフライ。


ツーアウト。



三人目


ここでも同じパターン。


スローでタイミングを外し、

速球で差し込む。


打者は無理に振るしかない。


打球は一塁側へ上がる。


奈緒がファウルゾーンへ数歩。


グラブを上げて――


ファーストファールフライ。


スリーアウト。



松原ドリームナインズは、この回も完全に翻弄された。


「タイミングが……合わん」


ベンチに戻る打者たちの表情が、明らかに変わっていた。



4回裏 タイタンズの攻撃


一方、タイタンズもこの回は無理をしない。


松原の投手も、簡単には崩れない。


先頭


ゴロアウト。


二人目


外角低めにやられてフライアウト。


三人目


詰まって内野フライ。


三人で攻撃終了。



ベンチ:スコアラーの分析


イニング間。

ベンチ裏で、森下真央と新田絵里がデータを確認していた。


真央が監督に声をかける。


「この投手、傾向出てます」


川原監督が振り向く。


「なんや」


真央がスコアブックを指でなぞる。


「追い込んだあと――」


「ほぼ確実に、インコースに投げ込んでます」


絵里も補足する。


「しかも、そのインコース……」


「ボールになる割合が高いです」


監督が目を細める。


「見極められるか?」


真央が頷く。


「はい。

あそこを振らなければ、カウント有利にできます」


絵里が続ける。


「逆に、そこを振ってくれるから、三振も取れてます」


航がその会話を聞いていた。


「……なるほどな」


正則が横で言う。


「追い込まれてからが勝負やな」



作戦の修正


川原監督が全体に声をかける。


「ええか、追い込まれてからや」


「インコース、振るな」


「一個外れると思え」


梶原が頷く。


「見ていきます」


奈緒も静かに言う。


「甘くなった外だけ、仕留める」



松原の投手は、確かにいい。

だが、クセがある。


そしてタイタンズは――

そのクセを、もう掴み始めていた。


試合は、次の回でまた一段、動き始める。

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