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いつか  作者: ryo
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勘違いのタネ。話は全部聞こえていた。

いつもありがとうございます。


 俺がそう言った瞬間、その場の空気が冷たくなったような、そんな錯覚さっかくに陥った。

 誰も何も言わない。気になって文香達を見ても、皆、難しい表情でこちらから声をかける勇気がでなかった。

 ……まずったかぁ? そもそも灯花のそれは告白ではないんだし言い方を変えるべきだったか……。そう後悔するも、時既に遅しである。

 が、この沈黙を破ってくれたのは意外にも、灯花の妹である盟だった。


「宗谷さん、一つだけ質問しても、いいですか?」

「ああ……どうぞ」


 この前も同じようなやり取りをしていたことから、今回も同じようなことを聞かれるんじゃないかと、俺は考えている。別に聞かれても答えは同じだ。


「宗谷さんは、お姉ちゃんのこと、正直にどう思ってるんですか?」


 ほらきた。やはりこの手の話のときは、こういう質問になるにきまっている。

 わざわざ平静を保つ必要もない。淡々と答えることに決めた俺は、しっかり盟の目を見て、


「だから、ただの友達だよ。それに、俺達はまだ出会ってから一ヶ月も経ってないんだぜ? まぁこの仮定も一目惚れとかだったら意味無くなるけど、少なくても俺は、灯花とは友達のつもりだ」


 そう言いきった。

 仮に俺が特定の子とそういう関係になるという話なら、この中では一番文香の可能性が高いと思う。やはり共に過ごしてきた時間が長いというのは強い。


「そう……ですか……じゃあもう一ついいですか?」

「うん?」

「あの……その気がないなら、お姉ちゃんに対して頭撫でたりとか……しないでもらえませんか? もし選ばれなかったとき、悲しんでるお姉ちゃんを私は見たくないので」


 盟のその言葉にハッとする。確かに無意識にそういうことをしていたかもしれない。続けて盟は言う。


「それに……色々な子に対して優しいというのも、勘違いのタネになるのでやめたほうがいいかと……」

「そ、それに関しては別に普通じゃない? ねぇ? 莉子ちゃん」


 文香が口を挟んでくれたが、盟の顔は気難しげなままだった。


「たしかにお兄ちゃんは誰にでも優しいというか……特に女の子には一段と優しいところもあるけど、それが良いところでもあるから、悪いとも言いにくい……かなぁ?」

「だよね! 私もそれで助かってるところあるしさ。だから、宗谷はこのままでいいと思うんだよ! と言っても、盟ちゃんの気持ちも分からなくはないんだよ? だって実のお姉さんだしね。そりゃあ不安になるよ、そしてチェックとかもしたくなるかもしれない」


 目を瞑ったまま話し続けていく文香。誰もその言葉を遮らず、皆が黙って聞いている。

 俺と文香の関係が気になった莉子も、同じような感情だったのだろうか? 考えてみて、少し違うかなと思った。

 もちろん、これだけ一緒にいて進展していない俺達だったから「こいつら大丈夫か? よし、動くか」と行動に移してくれたのだろう。

 そして、それが原因で少しだけ関係性が危うくなったものの、結果的には前よりも良くなったと言えるかもしれない。

 ……話が逸れたが、恐らくあのとき、莉子の中には少しだけ、からかう気持ちがあったのではないかと俺は考えていた。

 が、盟は違う。思えば神崎家に初めて泊まりに行ったときも――――結果として泊まることにはならなかった俺だったが「お姉ちゃんを狙ってないですよね」と、俺に聞いてきていた。

 最初から盟のスタンスはずっと一貫しているのだ。だから、もし俺がその時点で駄目扱いされてたら、こうして今日ここにいることもなかっただろう。

 だからこそ、いまここにいる意味が重いのかもしれない。盟の頭の中では「失敗だったかも」という認識がなされている可能性がある。

 一人で長考しすぎて文香の言葉を聞いていなかった俺は、再び聞きに徹することにした。


「――――だからさ、気持ちは分かるんだけどね、それは私達が邪魔しちゃいけないことだと思うの。ほら、よくあるでしょ? 相手の為にと思ってやったら、その相手の為になるどころか、逆にうとまれるような状態になってることってさ。それが全部悪ではないけど、寧ろ危険な人物が近づこうとしてたら止めるのが正しいけど、宗谷に至ってはそうじゃないって……短い関係の盟ちゃんでも言えるんじゃないの? 見守ってあげようよ」


 そこで文香は話を止める。これ以上は本人が判断すること、と、決めたようだ。

 俺は少しだけ盟の方を盗み見ている。依然として難しい表情のままで固まってる盟だったが、灯花が身じろぎした瞬間、ビクッと反応していた。

 莉子は少しだけ眠いのか目を擦ったり、欠伸あくびをしたり忙しい。話を聞いてたか? と小声で聞いてみると、満面な笑みで頷いてくれた我が妹であったが、怪しいところではある。


「宗谷さん……すみませんでした。私ときたら偉そうに……」

「いや俺もたしかに無意識な部分あったからさ……以後気をつけるよ」


 俺がそう言った直後に眠気眼のまま腕に抱きついてきた灯花にどうしたもんかと固まる。

 今回はあちらから抱きついてきたところを皆が見てるので何とかなるが、俺が意識を変えるよりも、灯花の意識を変えたほうが早いんじゃ? と、思ったのは俺だけではなかったのだろう。早速、盟が止に入っていた。


「お姉ちゃん! そういうのを気軽にやるなら、私にしといて! 宗谷さんを困らせないで!」

「……ん、でも宗谷ぐらいの硬さが丁度いい。盟は柔らかすぎる」

「も、文句言わないで! あぁ、もう!」


 再び俺にくっついてきた灯花を引き剥がして連れて行ってくれる盟。助かったけど少しだけ勿体無いことをしたんじゃないかという気持ちになった。


「盟、話は聞こえてた。別に僕はどう扱われても気にしない。でも、盟の気持ちは嬉しいよ」

「お姉ちゃんが気にしなくても、私が気になるもん! それに、ギスギスしてる皆は見たくない!」

「でもさっきは盟が原因で少しだけ重かった。そのせいで「実は起きてました」ってドッキリができなかった」

「それは……たしかに私のせいだけど……ならドッキリなんか画策してないで、早く起きといてよ! 良くも悪くも、お姉ちゃんはその場の雰囲気を壊せるでしょ!?」


 それは暗に「空気が読めないでしょ?」と言われてることと同等だ。

 だが悲しいかな、それに本人は気付いてない。それどころか、ドヤ顔までいただきました。


「空気ブレイカー参上っ、と言って、出ていけばよかった?」

「別にその掛け声はいらないんだけど……起きてたのなら、すぐに話かけて欲しかった。そうすれば……私も偉そうなことを言わずに済んだのに……」

「全部聞こえてた」

「だ、だからそれが恥ずかしいの! もうもうもう!」

「ま、まぁまぁ」


 ここらへんで落ち着かせようと、今度は俺が口を挟む。


「結局俺の言い方が悪かったんだからさ、あんまり灯花を責めないでよ」

「本当ですよ! 宗谷さんがあんな言い方するから私は……私はぁ!!」

「う、うん……だから悪かったって」


 俺の胸辺りをポコポコと叩いてくる盟。……まったく痛くはないな。

 とりあえずこの通りで、三次元なんてすぐ仲違いというか関係が危うくなることは、最近特に如実にょじつに感じていた。

 きっと俺は、文香や灯花、莉子と盟の四人がいなかったら、その面倒臭さから引きこもっていたことだろう。

 そんな仮定を考えたり発言したりしても意味はないけれど、この子達と出会えたから今があると思うと

まだまだ幸せな環境にいれているということが、分かった。

 それが文香達に当てはまるかは知らないが、似たような感情を抱いてくれていると、期待したい。

アクセス解析を見て一喜一憂している自分ですが、pvは当てにならないと分かりました。


それでも確かに見てくれている人がいる、それはとても嬉しいことですね。


(とか書きつつ、後書きってこういう文章であっているのか? と思ってる自分もいます。)

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