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いつか  作者: ryo
20/24

意味深な発言。ぶっちゃける。

いつもありがとうございます。

「今日の宗谷は、落ち着きがない」

「それも無理はないでしょうよ。俺と灯花しかいない状況で、そんな言い方されたら落ち着かなくもなるって」


 灯花は俺のことをジッと見たままそんなことを言った。そこでこちらを見られても困るし、何も言うことが出来ない。

 第一、灯花は色々と無防備なところが多い子だった。ほぼ初対面でハグしようとした俺をこばまなかったし、その後も、女の子らしからぬ発言などばかりだ。

 それが素からきてるのなら無理して変える必要はないが、今後社会に出た時に困ることもあるかもしれないことを考えると、文香とかだけでなく灯花の今後も気になるようになる。

 人のことを心配出来るような立場ではないのは大いにわかってる。しかし、気になるものは気になってしまうのだ。


「じゃあどういうふうに接すればいいの?」

「そういう勘違いしそうになることを言わなければそれでいいよ。変に構えられても、それは灯花らしくないしね」


 そう言ったが、本当のところは灯花らしさなんて分かってないのかもしれない。現状はただ、普段の灯花を見て勝手に印象づけているだけだ。

 だからこそ、普段言わないような言葉を灯花の口から聞くとドキッとする。

 ……が、当の本人は素直というか、ただ自分の言いたいことを言ってるだけのようで、首を傾げてしまっていた。何故理解してくれないのかとこちらが首を傾げたいくらいだ。

 ただジッと見てくる無垢な視線から避けたくて、俺は思わず灯花の後ろに周った。またしても頭上にはてなマークを浮かべた灯花だったが、後ろから灯花の肩に手を置く。

 ……正直言って柔らかい。自分の肩か妹、そして滅茶苦茶疲労して凝ってる母さんの肩しか触ったことなかったので、少しだけ衝撃を受けた。


「ほ、ほら、いきなりこうされたら嫌になるだろ?」


 衝撃を受けすぎてどもってしまったが、灯花にそう言ってみる。が、セクハラ、という言葉を期待していた俺は裏切られることになってしまった。


「……ん、宗谷にならどこを触られても構わない」


 そんな意味深の発言に思わずパッと距離を取る俺。流されるな、と、自分の内心で呟くのがやっとだ。


「灯花さん、あなたは僕に対して警戒心が無さすぎじゃないかしら? 年頃の男にそんなことばっかり言ってますと、思わず本気にしてしまいそうに……なりましてよ?」

「いい。僕は宗谷が好きだし、もしされたら宗谷が僕のことを好きって、認識出来る」

「す、好きとか簡単に言っちゃ駄目だ! 言うとしても、友達として、とかをつけるとかさぁ」


 調子が狂う。恐らくこれ以上言っても灯花のペースに流され、超えてはいけない一線を超えそうだったので、言わなかった。

 文香や莉子とそういう話をするときよりも、よっぽどリスキーな時間だ。そして、それを理解していない灯花の存在は、滅茶苦茶不安要素となる。

 今後もこの調子で言われ続けたら――――きっと、取り返しのつかないことになる可能性もありそうだった。

 どう言ったものか……。今は灯花のペースにハマって絶対負けるので、文香達が来てからの方がいいだろう。

 やっぱり制止役がいないと灯花の相手は疲れるぜ……。

 結局その後も灯花は意味深な発言を連発し、もう帰りたい……、となったところで丁度いい時間になった。

 灯花に一方的な感じで「迎え行ってくるな!」とだけ言って、一旦、神崎家を後にする。


「でも時間だけはすぐに経ったなぁ……」


 午後一時前に着いて、予定より早く入れてもらった俺。その後は終始灯花に振り回され、振り回され続けて、気づけばもう、午後六時頃だ。

 会話に脈絡はなく、またどんな内容を話したのかもイマイチ覚えていない。とにかく暴走気味な灯花の発言に「待った」をかけるのが精一杯だったから。

 心地良い疲労とはとてもじゃないが言えなかった。ただし、肉体的よりも精神的に疲れるほうがキツいということは、とても分かる一日。


「ただいま」

「おかえり~もしかして、莉子を連れに来てくれた?」

「そうそう。準備はできてるか?」

「うん! そうとなったらすぐに行こう! 途中で文香ちゃんをひろってね!」


 帰宅して数十秒で再びおさらばをし、いま帰ってきた道をさかのぼっていく。

 隣を歩く莉子はやたらと楽しそうで、少しだけ羨ましい。莉子だったら上手く躱しそうだしね。


「こんばんは!」

「お、莉子ちゃんじゃないか。それに宗谷君も。ちょっと待っててくれ。おーい、文香ー」


 文香しらぬい家のインターフォンを鳴らすと、文香のお父さんが出てきて文香を呼んでくれた。それから少しもしないうちに本人が出てくる。

 遠目から見ても分かったが、もう風呂は済ませてるみたいだ。光に照らされたその髪が少しだけ湿ってる様子が分かる。

「お待たせ~」と言った文香に適当に相槌あいずちをうち、俺達は再び歩きだす。と、それとほぼ同時に、また文香が口を開いく。


「昼はどうだったの?」

「心底文香や莉子がいて欲しいと思った時間だったよ……」

「あ~……それもまた灯花ちんらしいけどね~……」


 たったそれだけで理解してくれたのか、文香は苦笑した。別におかしな子扱いはするつもりないが、灯花と比べて文香はなんて常識のある子なんだろう……、と、物凄く感動してしまう。

 だがまぁ、文香や莉子にしたって暴走するときくらいはあるのだが……、そこはそれ、ということで納得してもらいたい。

 そんな感じで、神崎家へ向かいながら他愛もない話をした。

 文香や莉子が相手だととても気楽で、そして楽しく、あっという間に神崎家に着いてしまう。

 一応インターフォンを鳴らすと、今度は常識人である盟が出てくれたことに安堵した。


「い、いらっしゃいませ! 三名さまでよろしいでしょうかっ!?」


 うん……、なんかおかしな感じもするけど、間違ってはいないのでツッコまないでおこう。

 さて、ラスボスのいる二階へと盟を含めた四人であがるわけだが、今度は構える必要もないはず。とても楽しい空間になることに、俺はとても期待していた。


「お、お姉ちゃん、入るよ?」


 そう言って開け放った先には! ……寝てるラスボス。

 健康的な寝息とともに上下する柔らかそうなお腹だ。触ったらさぞ気持ちよさそうと考えて、昼間の発言を思い出してしまった俺は、慌てて頭を振る。

 それにいまは皆がいるのだ。……だからって、灯花と二人きりのときでも不味いんだけどね……。

 というか実際、灯花と二人きりになる時間を作りたくないとすら考えてる自分がいる。

 嫌いとかではない。ただ単に距離感が掴めなくなるから。


「まぁ灯花ってお子様みたいなもんだし、寝かしておこうぜ」

「そう、ですね。お昼に何があったか聞きたかったんですけど……それは宗谷さん本人に聞けば分かることですもんね」

「ただ話をしただけだよ」

 

 チラチラと俺を見上げてくる盟。そんな視線を送られても、俺にはそれだけしか言うことが出来ない。

 だがそれで納得してくれることはなく、盟から「早く本音言え」という訴えを感じる。……盟はそんな言い方はしないだろうが、それに近い意味合いは含まれている気がした。

 そして、それに文香と莉子が便乗し、俺が話し始めるのを待っているようだ。

 しかし本当にそれ以上ないのは事実。そりゃあ確かに意味深な発言ばかりを聞かされたが、別に一線を超えてしまったとかでは断じてない。

 ならせめられるいわれもないだろう。

 だからここで正直に言っておくことにした。隠せば隠すほど、後ろめたいことがあるから言えないんでしょ? などと難癖をつけられる可能性があったので、ぶっちゃけることにする。


「灯花に好きって、言われたんだ。それに『宗谷になら、どこを触られても構わない』って」

やっぱ此処で人気な方の作品って面白いですよね。

昨日たまたま目にして読み始めたら面白くて、一気に62話分見てしまいました。

テンポがいいと読みやすい、そんな感じがしましたね。

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