気持の交差 前篇
「ただいま戻りました」
「っ!!ひ、氷野さん!狩野くんは、って…!?か、狩野くん!?ど、どうしたんですか!!?それ!?」
「っ…あ、あはは…」
ただいま戻りました、そう報告と同時に部室に入ってきた明乃に雪奈はソファから立ち上がっては急いで駆け寄ってはそう陽太の事について聞こうとした、そしてそれと同時にドアから中の様子を伺うようにしては頭を覗かせてきた陽太に雪奈は驚いた、その驚いた理由は先ほど陽太が頭をずぶ濡れにした事だった、当然なのかわからないが頭を濡らした事からかその水は髪の毛から落ちては制服に染みていた、幸い制服の色が黒のおかげかそこまで目立つように染みてはいなかった
「った、大変です!このままでは風邪引いてしまいますよ!?」
「っえ、ちょ…」
あわあわとてんぱり焦ってはそう言ってはすぐソファの横に掛けたカバンに駆け寄っては何かを探し出した雪奈、そしてそれに対し陽太は一体なにをしようとしているのかと焦った、一方でその隣にいた明乃は自分は関係ないとばかりに陽太の前を素通りしては椅子に座っては腰を掛けた、陽太はそんな明乃に呆然と見ては雪奈がなにか見つけたのかそれを持っては陽太に近づいた
「狩野くん!」
「っ!は、はい!、って、夜桜、それ…」
「今はこれしかないんですけどとりあえずこれで拭いてください!このままだと風邪を引いてしまいます!いくら暖房が付いててもです!」
「っえ、えぇ…」
目の前にピンク色の小さいタオルを持っては差し出してきては心配そうな表情を浮かべてはそう言ってきた雪奈に陽太はどうすれば良いのかと悩んだ、決してなにか化粧や香水の匂いがあるわけじゃなくそのタオルからは雪奈自身のその使っているであろう洗剤の匂いがしていて陽太はその匂いにとても落ち着きに似たようなそんな感覚に陥っていた、だがそう思う一方でそのタオルは雪奈自身がもしかしたら使ったかもしれないタオルなのだと陽太は思ってはどうすれば良いのかとそう悩んでいた、またそう思う一方で先ほどまで雪奈が自分の事を本当は嫌っているんじゃないかなどそんな事を疑っていた陽太はそんな自分に心を痛めてもいた、だがこれは無意識な為に気づいてはいなかったが
「っ狩野くん!少し失礼しますね!」
「っぇ、ってぇ…!?」
そのピンク色のタオルを受け取るとかどうか受け取らないかなどぼーっとしては考え悩んでいた所で雪奈はそんな陽太に耐えられなくなったのか雪奈は冷や汗掻いてはそう言い生唾を飲み込んでは両手に抱えているタオルで陽太の頭を包み込んだ、陽太は突然そう言ってきては頭にタオルを被せてきた雪奈に驚いては裏返った声を出してしまった、タオルを被せられた事からかフワッと洗剤の匂い、そして雪奈自身の匂いなのかわからないが洗剤と柔らかい心を落ち着かせるようなそんな匂いがした、陽太はそんな匂いに一瞬意識を持っていかれそうになるもゴシゴシと頭を優しく拭いてくる雪奈にその感触に気持ちが良いと思う一方で緊張からか陽太は顔を真っ赤にしては固まっていた、だが一方で雪奈はそんな事全く意識もしていないのか真剣な表情を浮かべては陽太の髪の毛を拭いていた、また一方で明乃はこの今の状況をどうしたら良いのかと思っているのかたまに陽太が視線を向けてくる事に明乃は目を瞑ってはその場から離れパソコンの前に逃げるように座ってはカタカタとキーボードを打ち始めた、陽太はそんな明乃を見ては内心どこに視線を向けたら良いのかと悩んだ、なんと言っても雪奈とは身長がほぼ同じ為かどうしても目線が合ってしまい目線が合う度に顔が熱くなるのを陽太は感じていた、だがそんな事を思っているうちに雪奈は髪の毛だけじゃなく制服の方も拭き終わったのかゆっくりとタオルを離しては下がった
「…ふぅ、これでもう平気ですね」
「!っあ、あぁ…えっと、ありがとう…夜桜…」
一歩後ろに下がってはタオルを両手に笑みを浮かべてはそう言ってきた雪奈に陽太は申し訳ないと思う一方で羞恥を感じながらも頭に手を当ててはお礼を言った、また同時に先ほどまで濡れていた髪の毛が完全に乾き拭き取られていることに陽太は気づいた
「!いえいえ、大丈夫ですよ、昨日の狩野くんが私を助けてくれた事に比べれば全くです、それよりもどうして狩野くんはこんなに髪の毛濡れていたんですか??それに先ほどは顔色がだいぶ優れていませんでしたけどもう具合は大丈夫なんですか??」
お礼を言ってきた陽太に対し雪奈は笑みを浮かべてはそう返した、また一方で陽太の髪の毛が濡れていたこと、そして先ほど陽太が突然トイレに行った時のその時の陽太の様子を思い出してか心配そうな表情を浮かべては聞いてきた、陽太はそれに対しどう説明すれば良いのかと悩んでいる所で手助けとしてなのか明乃がパソコンを打ちながら話した
「その髪の毛が濡れていることに関してはよくわかりませんがどうやら先ほど顔色が悪かったのは私達に対して、特に夜桜さんに対して思うことで体調を壊したらしいです」
手助けなのかよくわからないものの明乃はなんの特に気遣いがあるわけでもなく先ほどの出来事をそのまま隠さず話した、雪奈はそんな突然話し始めた明乃の話に耳を向けては陽太を見た、また一方で陽太はそんななんの捻りもあるわけもなくそのまま先ほどの事を話した明乃に思わず心の中で叫ぶも苦笑いしていた
「っ…え、えっと…狩野くん、今の氷野さんの言っていることって…」
明乃のその言い方ではまるで自分達、じゃなくほとんど自分に責任があるようなそんな言い方に聞こえたのか雪奈は申し訳なさそうな表情を、と言うよりも少し顔を青くしては陽太を見た
「!い、いや…そ、その…」
不安な表情を浮かべては見てくる雪奈に対し陽太は焦ってはどう言えばいいのか混乱していた、またそう思うと同時に明乃を見てはこう思った、もうちょっと言い方という物があるだろ、と。そしてそんな事を思っているうちに雪奈は口を開いた
「っか、狩野くん…わ、私なにか狩野くんが嫌な思いをする事、言ってしまいました…!?」
なにを焦っているのかわからないが雪奈は自分の無意識に言ったことが陽太をかなり傷付けてしまったと思っているのか顔色を真っ青にしては陽太に詰め寄るようにしては陽太に問うた、陽太はそんな焦っては詰め寄ってきた雪奈に驚く一方で顔色が悪くなっている事に慌てて肩を掴んでは言った
「っだ、大丈夫だから!一旦落ち着け!なっ?」
目の前で動揺しては息を微妙に荒らしそうになっている雪奈を見た陽太は尋常じゃないと思ったのか雪奈の両肩を思いっきり掴んでは揺らしては目線を合わしてはそう言った、陽太はこれぐらいじゃ効果はないだろう、そう思っていたがこれは案外効果があったのか雪奈はそんな陽太の行動に我に返ったのか瞳を揺らしては言った
「っは…は、い…」
何故今の明乃の発言だけで雪奈がここまで取り乱したのか陽太はそう頭の中で混乱していたがふと先ほどの雪奈の言っていた事を思い出してはある仮設が生まれていた、それは雪奈はつまり悪口やらそこらのつまり悪行が嫌いでそんな事を無意識にも自分が言っていたと思ってかそれで陽太を傷付けた、これに対する自分に恐れそれで顔色悪くしたのだろう、そう陽太は思っていた、またそう思っている内にだんだんと雪奈は呼吸のペースを取り戻してきたのか顔色も元に戻っては冷や汗も引いてきていた
「・・・もう、大丈夫か?」
「!は、はい!ぁっ…え、えっと…それで、狩野くんは…」
「!あ、う、うん…っその、今氷野が言ったことについてなんだけどね…一部は合ってるんだけどほとんどは俺の勝手な悪い受け取り方でそうなったんだ…」
「っえ…?」
どう説明したらいいのかわからなかった陽太はそう先ほどの明乃との会話で教えてもらった事を思い出してはそう言うことにした、勿論こんな事を言われただけでは当然明乃は理解する事ができず首を傾げた
「…っえっと、それじゃあ一から説明するね、さっきの、氷野が言ったことについて…」
「!は、はい!」
簡単に略して言ってしまうのも良い、そう思った陽太だったがそれでは胸のつっかえのような、そんな物が消えないと思ったのか、ならいっそ全て吐き出してしまった方が楽と思ったのかそう雪奈を見ては言った、それに対し雪奈は目を輝かせては意識を集中しようとしたのか陽太に目線を合わせては聞くことにしたのだった。そしてそこから陽太が雪奈にすべて説明するのに約5分間話をしていた、陽太は説明している途中何度か自分の言っている事に対し辛いと思ったのか俯いたりしていた、また陽太が天使と思えるだけあり静かに聞いていた雪奈は陽太の話を聞いては途中、何度か悲痛な表情を浮かべては瞳を揺らしては潤ませたりと、泣きそうになっていた、他者から見た場合ではそんな事ぐらいで、他人の話ぐらいで泣くのか?、そう思うかもしれないが雪奈はそれほどに他人の気持ちに共感ができる優しい性格をしていたのだった。そしてそんな説明、話をしている中明乃はなにを思ってなのかキーボードを打つのをやめては立ち上がり地下室、つまりトレーニングルームへと階段を下りて行った、勿論陽太は一生懸命話をしている為気づかず、そして雪奈も陽太の話を一生懸命聞いているおかげか気づきもしなかった
「・・・って、ことで俺はあの時トイレに行くって、そう言って部室から出たんだ…」
「・・・そういうこと、だったんですか…」
陽太は説明し終わっては冷や汗掻いては俯いた、理由としては雪奈からのこの後の反応が怖かったからだった、一体どんな反応をされるのか、それがわからなく俯いていた。そして一方で陽太の話を最後まで聞き終わった雪奈は同情からなのか悲しみに満ちたような、そんな暗い表情をしては雪奈も陽太と同じく俯いていた。陽太は俯いている中雪奈もまた俯いている事に気づいているのか少し顔を上げては雪奈を見ては言った
「…その…つまり、夜桜って今の俺…どう、思う?」
「!ど、どう思う、ですか…」
「っあ、あぁ…こんな凄い変な解釈して勝手に落ち込んでる俺のことを、夜桜はどう思った…?」
陽太はなるべく聞きたくないと思っているのか声に全く覇気がなく、その声もまた震えていた、雪奈はそんな陽太の言うことに対し顔を上げてはそう言い困っていた、理由としては陽太のようなこんな考えを持った人を初めて見たからだった
「っ…別に、なんでも良いんだ…夜桜が思った事をそのまま素直に言ってくれればそれで良いから、さ…」
「!っ…わ、私は…」
思った事をそのまま口に出せば言い、そう思った雪奈だったが頭の中がとても混乱している為か全く言葉に出せないでいた、ただ、ただ一つだけ頭にふと思い浮かんだ事があった、それは自分の事についてだった、陽太が最後に言っていたことだった
「…私は…狩野くんに、その…信じてもらえていなかったんだと…そう、思いました…」
「・・・っえ…?」
雪奈の言ったことが陽太は理解できず顔を上げた、そして陽太は雪奈の顔を見ては驚愕した、雪奈はとても悲しそうな表情をしては泣いていたからだった




