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貧弱なのか、または強すぎるのか

「んしょっと・・・」


着替えておけ、そう言われた陽太は大人しく制服を脱いでは体操服になった、そしてその脱いだ制服を陽太は一応邪魔にならないように、そう思い端に置いた


「・・・にしても、温かいな・・・」


今の季節は冬、の筈が何故かこのトレーニングルームは暖かかった、四方、どこを見渡してもエアコンのようなものはなかった、ただ広い空間に無駄に多い筋トレ器具、そして眩しいぐらいのでかい蛍光灯、また何故か前にでかい電光掲示板があった


「・・・トレーニングルームというよりどっかのジム、いやジム以上にでかい、か…?」


陽太はそう思っては何故これだけの量の筋トレ器具が必要あるのか、そう思った、陽太の想像上、ここの存在、というよりもここに入れるのはおそらく自分達だけ、そう思っていた、または氷野のその属している支部?の関係者のみ、そう思った


「私も詳しくは知らないのですがどうやら同じ器具で体を鍛えていた所で飽きるだろう、そう思いこんなに無駄に買ったらしいですよ」


「!へぇ、そうなのか、っておわっ!!?」


近づいてくる足音、そしてそう言いながら来た明乃に陽太は振り返った、と当時に明乃は投げ渡した、その投げ渡された物に陽太は慌てて受け取った


「っ・・・え、な、なんで竹刀?」


陽太が明乃から投げ渡された物、それは竹刀だった。陽太は訳がわからず明乃を見た


「・・・先ほど、私が言った事覚えていますか?」


「っえ、ど、どこらへんだ?」


「…主な依頼内容です」


明乃はそう言っては片手に握りしめた竹刀を床に突き付けた、タンッ、と鈍い音と共に陽太の耳の中に入っていった、そこまで迫力はないものの陽太は少し驚いた


「っえ、えっと、お、俺の大嫌いな血生臭い事だよな?」


「・・・そうです、覚えていたんですね、てっきり貴方の事ですから無かった事にして無意識に忘れているか、または自分から聞いていなかった、そう言うのかと思ったんですけどね」


明乃はそう微笑み言っては竹刀をクルクルととても素人ではできないように回している、例えるならば傘を指で回しているようなものだった


「っう、嬉しそうにしている割には随分と物騒な物を振り回してんのな」


「?子供なんてこんなものです、貴方はまさか高校生が子供じゃないと思っていたんですか?もしそうなら認識を改めた方がいいですよ、高校生なんてまだまだガキです、幼稚な子供です、わかりましたか?」


それは自分の事も含めて言っているのか?そう陽太は思いながら頷いた


「あ、あぁ、わかった、って高校生ってまだガキなのか、てっきりもう大人なのかと思ってたけど・・・よく先生とか後少しで立派な大人です、なんて言ってるからそうだと思ってた・・・」


陽太はそう言っては今まで教師が言ってきた事を思い出し苦笑いした、そんな陽太の言動に明乃は目を細め言った


「それは勝手に大人が決めつけた拝見に過ぎません、自分達はもう子供なんかじゃない、自分達は偉い大人なんだ、と自分を勝手に偉いなにかの生物だと勘違いしているのです、大人と言える年齢はせいぜい30歳ぐらいからだと思います、それ以下はまだまだガキだと私は思います、まぁ簡単に言ってしまえば自分達大人をもっと光栄に見ろ、または見栄を張りたいのでしょう、私からすれば哀れでしかありません、貴方はそのような残念でバカな大人にならないでくださいね、まぁ貴方の場合意思が弱いと思うので無理でしょう」


どこか卑屈な考えな一方でかなり、結構正論な部分がある事に陽太は感心した。だが最後の一言だけは余計、そう思った、しかも小馬鹿にしているような表情に余計にだった、そこで少し言ってみようと思い言った


「・・・それじゃあ氷野は将来自分はそんな残念な大人にならない、そう確証できてるのか?」


倍返しでなにか言われそう、そう思いながら陽太は両手に持っている竹刀に力を入れた


「・・・そうですね、確かにそうならない、とは保証できませんができる限り、最善を尽くしてそのような残念でバカでアホな大人にはならないようにする、そう言っておきましょうか、まぁそのような残念な大人になろうとは微塵も思っていませんがね、貴方の場合は知りませんが」


明乃はそう言い振り回すように回していた竹刀を陽太に少し投げるように振り、指した、その竹刀に陽太は多少驚きながらも言った


「っ俺だって、そんな残念な大人になろうだなんて思ってないさ、氷野とは微妙に少し違うけど俺もそんな考え方だよ、ま、まぁ今氷野に言われるまでそんな事全然考えた事もなかったけど…」


「・・・つまりそれは私に今言われるまで気づく事なくそのまま堕落したような残念な大人になっていた事になりますね」


「・・・そ、そうですね」


陽太はそう平然となんでもなさそうな表情をしては言った、だが内心ではかなり驚いていた、心の中で言った筈の事が何故か口に出ていた事に


「・・・まぁ、プラスに考えてそのような大人にならないよう、精々気を付けてください、もしそのような大人になった場合残念な未来しかないですから、きっと」


明乃はそう言うと同時に陽太の隣へと歩み寄った、突然近づいてきた事に多少体が強張るも目で追い追いかけた、そんな陽太を他所に明乃は近づいてきては


「さて、そのようなくだらない話はもう終わりにして早速貴方がどれぐらいできるか試させてもらいます」


「・・・は、は?ど、どういう事だそれ??なんの事だよ??」


「説明をするよりも実際に体で体験した方が早いと思いまして」


明乃はそう言っては竹刀を両手に持った、微かに殺気のような居心地が悪い雰囲気を出しているようにも見えた、だが一方で陽太は今の明乃の言動にどこの戦闘狂だよ、とそう思った


「では、一戦目、いきます・・・!!」


「っちょ、ちょ!お、俺竹刀なんて握った事もないんd」


明乃は足に力を入れては一瞬にして陽太の懐へと飛び込んだ、一体どれだけ体を鍛えたらそんなに一気にこれるのか、そう陽太は思いながら振りかざそうとしてくる明乃の竹刀をなんとか防ごうとした、だが陽太は竹刀を握った事すらもなかった、そのおかげで防ぎ方もわからなかった、だが運が良かったのか明乃は陽太のその竹刀に当たり防いでいた、それを見ていた陽太は防げた事に喜びを味わった、と思った時だった、腕、または手にとんでもない痛みが走った、そして同時に陽太の竹刀は弾き飛ばされ宙を高く間合い遠く離れた場所に鈍い音を立て落ちた


「っっ・・・ッ!!」


今まで味わった事のないような、皮膚が千切れたような痛みが走り痛さのあまり陽太は叫ぼうとした、だがこのまま叫んでは情けない、そう思いなんとか叫ばないようにと歯を食いしばり抑えた、だが痛さのあまり冷や汗が出てきていた。そんな陽太に気付ているのか気づいていないのか明乃は歩み寄ってきては


「・・・貴方が先ほどなんて言おうとしたのかわかりませんでした・・・まぁ、なんとなく今さっきの貴方の握り方からして大体予想ができたんですけど貴方・・・握った事ありませんよね?」


手を抑えプルプルと震えている陽太に明乃は下から覗き込むように見ては言った、そんな明乃に陽太はできる限りの笑みを作り言った、だがその笑みはとても笑みとは言えない笑みだった


「っ・・・あぁ、握った事なんかねぇよ…でもさっき一回一応氷野の、防げた、よな…?」


「・・・あんなものは防げた内になんか入りません、防げたのではなく弾かれたの間違い、ですよ」


「っうぁぁぁっ!!?」


そう言っては明乃は視線を陽太が抑えている手に向けては少し乱暴気味に、無理やりその腕を引っ張った、突然捕まれ引っ張られた事に陽太は驚きのあまり変な裏返った声を出しては足を滑らせ転んだ


「・・・っ貴方は一体なにをしているんですか・・・?」


突然断末魔のように悲鳴を上げては派手に転んだ陽太に明乃は呆然と驚いては陽太を見て言った、陽太も驚きのあまりからなのか顔を真っ青にしている


「・・・い、いや、いきなり腕を捕まれて、それで驚いて・・・あ、あはは・・・」


「…うずくまるぐらいに手を抑えている貴方を見て平然としている程私は冷酷じゃないです、それに最初から気づいていますから」


明乃はそう言っては先ほど陽太が抑えていた手を見てみた、そこは少し赤く膨れ上がり痛々しくなっていた、それを見た明乃は陽太を見て


「よくある怪我ですね、これなら冷やせば数時間で治まるでしょう、氷を取ってきますので貴方はここでじっとしていてくださ「・・・なぁ」


「?なんですか?貧弱さん」


「・・・いや、さ、さっき俺を試した時ってどのぐらい本気だったんだ?」


あれほどの激痛に襲われた事に陽太はそれなりに本気を出していたのだろう、そう思いながら陽太は明乃を見て聞いた


「・・・貴方の期待を裏切ってしまいそうですが、本気もなにも私はかなり手加減して降りました、ちなみにですが何割も出してません、一割も出していない、そう思った方が良いです、では貧弱さん私は氷を取ってきますのでそこの壁でじっとしていてください」


予想していた返答とあまりにも違う返答が返ってきた事に陽太は明乃の後ろ姿を見ては壁に寄りかかるのではなく床に体を放り投げるように寝ころんだ、壁の所まで歩くのが面倒になっていた


「・・・・・・俺って本当にもしかして貧弱・・・?」


機械の特徴的な匂い、それに微かに聞こえる時計の秒針の音、そして眩しいぐらいの大きな蛍光灯、全てが陽太をこれが現実なのだと言っているような、そんな気がした。普通だった場合悔しいような気持が湧く筈が何故か驚きの方が強かった、陽太の脳裏に思い浮かぶのは先ほどの一瞬にして懐に走っては入ってくる明乃だった、肩までの金髪の髪が風と共になびいては、あのお茶の匂い、そして微かに甘い匂いが微かに脳裏に残っていた


「・・・氷野ってあんな匂いもするのかな…」


陽太は先ほどの匂いを再現してみようと想像した、そして想像できたのかそれを思い出した陽太は頬が熱くなるのを感じた









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