表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
2/30

2話

「変わった葉茶ね。アレクったらまた面白い物を見付けてきたのね」


「叔父様の見聞を見習いたいな」


「あらやだ、()()は鼻が利くってだけよ」


「うふふふおいしいですぅ~」




 こんにちは皆さん。挨拶を白の丸いテーブルに着席にて失礼します。私の右手に座られるのは、本日は白銀色の髪を片側に結い上げ、反対を一房垂らした髪型に、グレースーツの下には紺色のシャツを着、ループタイを身に付けている姿は、殿下に素晴らしく似合っています。白金色の瞳がキラキラと興味深そうにティーカップの中を覗いている。我が国カルティロナ国の王太子殿下。ちなみに二児のお子様をお持ち。


 そして私の真向かいに座られるのが、これまた白銀色の髪色の肩で切り揃え、服装は緩やかなシフォンドレスを身につけて、テーブルに置かれたティーカップを繁々と見つめている瞳もこれまた白金色。我が国のリティカ・カルティロナ・ロラン王妃陛下。王太子殿下の母上でモブ……じゃないカイン・レルトリッド・ロラン様の叔母であるそうだ。こっちは美形、あっちは美人。目の保養だが、高貴な方々すぎて私の精神がごりごり削られていく。




 本日はお二方だけのプライベートお茶会の日。


 私、ラティエ・ショコルドル子爵令嬢は、本来ならお二方のこの場プライベートに身を置くこともない、そもそもコンタクトするのも難しい爵位の者である私が、何故この場にいるかというとーーー。












「それにしてもカインはどこで道草食ってるのだろうか」


「あら仕事を押し付けてるんじゃなくて?」


()()()してないよ~」




 にこやかに私へ振り向かれる王太子殿下にあ、いつもはしてるんだと察した。そしてテーブルに両肘を付き手に顎を乗せ、私を覗き込むようにして見る殿下に、王妃陛下の片眉がピクリと動くが、特に注意するわけでなくそれだけだった。プライベートのお茶会だから大目に見られてるのだろう。


 王太子殿下の視線から逃れるように、テーブルに置かれたロールケーキを見る。とても美味しそうだ。




「ああこれ、お茶会を開くならちょうど良いスイーツがありますとエリアーゼから持たされたんだ」




 王太子殿下は栗のロールケーキから一切れお皿に乗せ、フォークで一口分取り悠長に食す。食べる姿も絵になるとは、このことだろう。そしてエリアーゼ様は然りげ無くケーキを押し付けることに成功しましたね。リュシアン(ヒロイン)からの栗とさつま芋ブームは未だに続いてるみたいですね、申し訳なくなってきたすみません……。折角なので私も頂くことにした。生地に薄く切られた栗が入っており、中のクリームは多めに、そしてこれまたクリームの中に、ワインで煮込み練り込まれた栗がアクセントになってとても美味しい。生地ではなく表面にクリームと栗を混ぜ込んだのを乗せればモンブランの出来上がり!とそこでハッとする。いけないいけないお菓子のことになるとつい前世のお菓子を引っ張り出してしまう。がばりと顔を上げれば王妃陛下とバッチリ目があった。






「ラティエ嬢も甘いものがお好きなのね。近年では新しいお菓子が発案されているでしょう。城のシェフにもいい刺激になっているのよ」


「そうそう、そのお陰でカインは我々王族より大忙し」


「ロラン家は代々外相を担っているのよ。そうそう今回の訪問はーー」




「王妃陛下並びに王太子殿下、お茶会を中断してまうことになりまして申し訳ありません。カイン外相よりお二方に手紙を届けるよう承っております」






 文官の服装をした男性から、側に控えていた侍女が手紙を受け取り王妃陛下へと渡す。そして王妃陛下から渡たった手紙を一瞥した殿下は、笑い声をあげた。




「付かぬこと伺うがラティエ嬢。あれからカインから何か接触はあったかい?」


「……いえ、特になにも」


「ダメだわーカイン、ほんとダメだわー。ほんと乙女心分かってない」




 ケラケラ笑う殿下に一言申し上げたい。あれからも何も()()のことですよ。次いでに申し上げるなら貴女方が早いのです。早朝に我が家宛に王家からのお茶会の招待を受け取った私の家族の慌てようを見て欲しかったです。お父様には何かしたんじゃないかと聞かれたので昨夜のことを話せば転倒され、お母様は気力で堪えたのか急いで準備をしなさいと捲し立てあげられたので朝からぐったりである。朝から疲労困憊の私にモブカインから手紙が来てたのかさえ把握していない。もうこれは知らぬ存ぜぬで通そう。




「ごめんなさいね、私達今から席を外さなくてはいけないの」


「また是非参加して欲しい。ラティエ嬢の後見人は我々カルティロナ王家だから。気になることがあれば気軽においで」





 手紙の内容は二人を呼び寄せる何かだったのだろう。優美に立ち去った二人を後に、私だけがその場に残された。お見送りを断り、私は帰路に付くべく王城の廊下を一人歩く。そもそもダンスを誘っただけなのに、何故婚約を申し込まれたのか甚だ謎だ。そりゃ容姿にはそれなりに気を遣っているけど、モブは私に一目惚れしたって感じでもないし。あと不穏なこと言ってなかったっけ。とにかく考える時間が欲しかったのに、あれよこれよと転がされ、幸いにも婚約にはモブの祖国の手続きも必要で確立には至ってないが、既に我が国の王家が私の後見人というこの状況だ。あっという間に周りを固められた……。あと権力者に弱っとか思ってないかしら。失礼ね!本当のことだけども。




 もう大変なことになったじゃない!そもそも肝心のモブが出てこないじゃない、顔出しなさい!いやでも昨夜の今日で何を話したらいいのか。考えれば考える程答えが出てこず、あーもーそもそもモブのせいよ!というか、ゲームの主役級登場人物王妃と王太子に先こされてどうするのよ。モブ、出てこいモブーーーーー!!!








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ