04
俺は貯めたお小遣いをはたいて、いくつかの商隊の馬車を乗り継ぎながら、運命の人のいる方角へ旅をした。
三ヶ月後。
俺は遂に運命の人のいる街、王都アレグレンシュタットにやって来た。
「でっけえ……ここが王都か」
俺は商隊の人たちに礼を言って別れ、『探しもの』を起動する。
俺の運命の人……いる!
あれから毎日、毎日、運命の人の位置を確認していた。
今日、ようやく会える。
運命の人は毎日、おおよそ2~3箇所を往復する日々を送っていた。
今日はそのひとつにいる。
俺は雑踏の中を歩きながら、運命の人に向けて進む。
胸の高鳴りが聞こえてきそうだ。
心臓がバクバクしているのが分かる。
そしつ遂に、運命の人がいる場所にたどり着いた。
そこは大きな屋敷だった。
恐らくは貴族の屋敷だ。
……どうしよう、入れてくれるわけないよな?
しかしよくよくギフトで確認すると、運命の人は屋敷の中にはいないらしい。
庭、かな?
もしかしたら運命の人は貴族じゃなくて使用人だったりする可能性もある。
よし、庭なら外から声をかけられる。
俺はぐるりと屋敷を回り込んで、運命の人に最も近い場所を探す。
そして見つけた。
木剣を振る、幼い少女を。
多分、年齢は同じくらいだろう。
綺麗な服を着ているからこの屋敷の娘なのかもしれない。
俺は勇気を出して、声をかけた。
「あの! 君、俺と話をしてくれないか?!」
「…………誰?」
怪訝な表情で素振りを止めると、少女はこちらに歩いてきた。
近づいてくる、運命の人が。
多分、いま俺の顔は真っ赤だろう。
いやそんなことはいい。
言わなきゃ。
「君は俺の運命の人なんだ!!!」
「…………帰って」
くるりと踵を返した彼女は、そのまま屋敷に入っていってしまった。
……………………終わった。
俺と運命の人との邂逅は、あっさりと終わりを告げた。