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潜むモノ達  作者: たっしょ
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第二章〔2〕 /…闘技~今まで

じっと王とユギス達を見つめていた。

しばらくするといかにも強そうな剣闘士達が何人も出て来て広間の中央に集まり、そのうちの一人が角笛を鳴らした。

人々は歓声を上げた。

その時だった。

横からすっと腕が出てムルザの腕を掴んだ。

音も無く近寄っていたギゼの声がした。

「ムルザ」

ムルザは夢から覚まされたようにはっとした。

「すまん…」

言って、皆に声をかけると一通りの指示をした。

ムルザはバレンとラエに

「これから戦う相手を殺してはならん。自分の体を変化させるのもだ。上手く急所を突いて気絶させろ。戦おうとする意志をくじくのだ」

と、きつい調子で命令し、隠れ部屋から連れ出した。

「戦いはいつ終わる?」

「王が終わりを告げるまでだ」

途中でハシュナーの部下が二人、後について来た。

やがて一行が黒や銀に輝くカーテン囲まれた広間に立った時、不意にムルザが二人の兵士に向かって合図をした。

すると床がせり上がり、同時に上から明かりがさして来て、宴会が開かれている広間の中央にいた。宴会は相変わらず賑やかに続いていた。

少し離れた場所に深紅の覆いのかかった王座に座った王と、ユギスとレイネがいる。

騒々しい客の声が止み、今度は勇ましい太鼓の音がした。

歓声の中を武装した戦士達が列を作って入場してきた。

ムルザはここへ来る際にすれ違った、訓練していた戦士達だと気付いた。

彼等は胸を張って広間を周り、見物人達に会釈をした。

ラッパが高らかに鳴ると王が立ち上がった。

「我が国最高の魔道士ワウリンの配下と、各貴族お抱えの戦士達との勝負じゃ。諸君らに再び見せるとしよう」

どっと大歓声が上がる。

見物人達はかける金を誰に決めるか相談し始めた。

「あら、ワウリン様の部下にあんな方いらして?」

「さぁ。前とは少し人が違うわね。相変わらず何も持ってないわ、ワウリン様の部下は。あの女の方なんて武器なしで戦えるのかしら?」

「きっとお強いのよ。レイネでしたっけね。ほら、ユギス様のおそばにいる…彼女は出ないのかしら?数年前の戦いは素晴らしかったのに」

こんな勝手な話しが飛び交っているうちに戦いの準備は終わっていった。

ムルザが跪づいて王に向かい両手を上げた。

『憐れみを…?』

バレンは思った。

すると戦士やユトラ達もそれにならったので自分も真似をした。

「始めろ」

王の言葉をきっかけにどなり声が嵐のようにおこった。

その時だった。

一人の兵士が剣を構えると血に飢えたライオンのようにラエに突進した。

見物人達が

「行け!倒してしまえ!」

とはやしたてた。

兵士がラエに躍りかかるとラエはあっさり身をかわして剣を手元から弾いた。

弾かれた剣は別の兵士の肩の肉をえぐった。

それを見てその場にいた戦士や見物人達は興奮し、戦士は今度は拳で殴りかかり…ラエの鳩尾への突きであっさりと地に伏した。

と、そこら一帯に閃光が走る。

私の体が激しく揺れ、かすかな手応えと共に目に映る人間は例外なく血煙を上げる。

体に血がかかり、服をどす黒く染めて行く。

間も無く目に血が入り、何も見えない。

だが体は動き続けている。

頭が痺れ始めた。

自分や王宮が崩れて行くように感じる。

上空に、赤い月が輝いているのだけは確信できた。

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