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新たな道 (完結)

氷結の槍(アイスランサー)

「空裂斬!」


ザシュッッ!!!

ザスザズッ!


グォォオーーーーーーーンッ!!!!!


「フン、雑魚が。」


ドドーーンッッ!!!


3m近い茶グロのビッグベアは氷結の槍(アイスランサー)を腹部に突き刺され【空裂斬】によって急所を一撃で切り裂かれ力なく倒れていった。

【空裂斬】により、長めで細めのダガーについた血を振り払い鞘に収め、黒い髪と金のピアスをキラリと光らせ翻り少し離れた女のもとへと歩いていった。



「ふぅ…。」

「リア…怪我は無いか?」

「大丈夫…私は離れたところで魔術攻撃してただけだもの。リオンの方が接近戦でしょ?怪我はない?」


黒髪の男…リオンの手が優しく、遠くにいた女…マリアンの頬を撫で額に口付けをした後、軽くリップ音がなるように唇を重ねた。


「ああ。俺はこれくない何でもない。」

「なら良かった…。怪我したらすぐ教えてね?」

「ああ…リア…。」

「あ、え、リオン…ちょっと待って…っ!……ん!……は…ぁ…っ!」


重ねた唇がどんどん激しくなっていく頃、リオンとマリアンの足元に一匹の黒猫が近寄りマリアンの肩まで登りリオンの頭をぷにぷにの肉球で叩く。


「ん……。っ……は、リオン駄目だってば…。」

「ちっ…セバス…」

(ここは隣国の竜森ですよ。坊っちゃん。イチャつくならばここを出てからにしてください)


リオンは頭をペチペチ叩いている黒猫の肉球…手を掴み遠くにほおり投げながらマリアンから離れた。

そう今マリアン達は聖地に向かうため隣国にある竜森を横切っている最中なのだ。

そもそも、聖地に向かう事となったのは…今から半年ほど前の事……。







ーーーーーーーー


私はリオンが現れた後の記憶はなく気が付けば見知らぬベットで寝ていた。

ぼんやりとした頭で周りを見てみるとベットの少し離れた所でリオンは分厚い本を読み、セバスさんがお茶をリオンに差し出しているところだった。

掠れる声でリオンの名を呼べば、本を閉じこちらに歩きベットの端に腰を掛け私の前髪を耳にかけるように撫でながら無表情の顔で私を見ていた。


「気がついたか…リア。」

「リ…オン?こ…こは?…っ…ケホゲホッ!」

「リア…水だ。」

「ケホ……。ぅん……。…ん…ん…。はぁ……。ありがとう」

「ここはエイザルの屋敷で俺の部屋だ」


リオンから渡されたコップから水を飲み喉を潤し質問する前に色々トリオンが教えてくれた。

私は4日程眠っていたらしい…。

最近の事でほとんど寝れていなかった為リオンの魔術が結構効いてしまったとの事。傷はリオンが全て消してくれた事。着替え等はエイザル様の屋敷のメイドがしてくれた事。


そして夜会はリオン達により中断されあの後すぐに終わった事、レインハルト王子達は陛下たちとの話し合いにより学年が1つ上がる前に早期卒業をして辺境の領地に飛ばされるとの事。


「そう…ですか、リオンにも色々迷惑かけてしまいました。ごめんなさい」

「謝るな」

「でも…こんな事ではリオンに嫌われて離れて行かれてしまいますよね…」

「リア…もう一ついい忘れていたがお前は一年程前からもう俺の妻となっている」

「………ほぇ?」

「何だ…その間抜けな返事は」

「あ、え?失礼しました。え?今なんと?」

「俺もつい最近知った事だが1年程前糞王子に招かれたパーティーの次の日には俺達は書類上夫婦になっていたそうだ」

「え?誰と誰が…」

「俺とお前だ」

「……え、」

「なんだ?」

「えぇーーーーーーー!」


私はありえないほどの大声で叫んでいた、

五月蝿そうに眉をしかめて私をにらみながら見てくるリオンの顔を恥ずかしくて段々見れなくなってきて…俯けば深いため息を出されベットの上へと深く乗り顔を抑えて悶絶していた私の体を跨ぐようにいつの間にかリオンがいた。


「リア…」

「ぇ、あの、リオン、私、え、あ…うぅ……。」

「お前が卒業してからすぐにでも妻に迎えるつもりだったが陛下は先にいいようにしてくれたらしい。」

「ん……っ…」


リオンが優しく額に瞼に頬に唇を当てていく


「もぅ俺は周りを気にする事もないらしいからな、遠慮なくお前を触らせてもらう」

「ふぇっ……!」

「リア…俺は結構待った。今更逃さん、安心しろ誰も来れんように結界と沈黙(サイレント)をかけてある。誰も来ない、声も聞かれないから安心しろ」

「え、ちょ、あの、リオン待って……んっ……」

「……は……待てるか」

「…ぁ……ん…」



私はその日初めて花を咲かせた。

甘く、優しく時々荒々しく私の全てを包むように…


私はその日初めて本当の幸せを知った。

甘く痺れる声、鋭くすべてを見抜くような瞳、頬を伝い落ちる雫、壊れ物のように扱う手…

全てが私を幸せに導いてくれる…。


私はこの人と…本当にリオン・グリアモールと共にいられる幸せを愛しさを幸福を噛み締めながら何度も2人で時間も忘れ時を過ごした。





「ん……」


近くで何かボソボソと聞こえ始めた。

まだ瞼が重く目を閉じたまま…体も気怠い…だが心はとても幸せで充実していた。

だんだん意識がはっきりしてきた為耳を澄まし薄く開けた目で周りを見ればすでに着替えソファーに座り紅茶を飲んでるリオンとセバスさんが話しているようだった



「坊っちゃん…。マリアン様は目を覚してばかりなのですよ、それを貴方は」

「同意の下だ」

「それでもです。坊っちゃん。まだ体力の戻っていない方をましてや初めての方を一晩離さず抱き潰すとは何事ですか!」

「…ちっ…」

「はぁ…坊っちゃん。確かにマリアン様を大変我慢していた気持ちはわかりますが…」

「黙れ、セバスお前には関係ない」

「いいえ、こればかりははっきり言わせてもらいます。」

「はぁ」

「坊っちゃん…いいですか…」


何やら昨日の昼前から朝方まで諸事をしていた事をセバスさんにバレて小言を言われているらしい…。

どうしよう。恥ずかしすぎて私起きられない…

昨日のことも思い出し布団を被り悶絶しているとリオンが近づいて私の額に唇を落とした。


「リア、目が覚めたか。体は辛くないか」

「ぅ…ん。平気…。」


目だけ布団からだし鼻から下は隠しながら真っ赤になって恥ずかしさで涙目になっているはずの瞳でリオンを見つめればリオンは眉間にシワを寄せ始めた


「……はぁ…」

「いけませんよ。坊っちゃん」

「…ちっ…分かっている、リア、悪いが夕刻に陛下に呼ばれている体調が大丈夫なら行けるか?」

「え?陛下に呼ばれているのなら行かなくてはいけませんよね?大丈夫です」

「マリアン様体がお辛ければ後日でもいいそうですよ。」

「いえ、大丈夫です、あの、支度を誰かに頼みたいのですが…」

「そちらは私が準備いたしましょう。」

「メイドにやらせろ」

「坊っちゃん。マリアン様の体中にある華をメイドに任せるわけには行きません。まだ屋敷の者は坊っちゃん達の事情、夫婦だと言うことを知るものはいないのです。変な噂になられても困りますので私が行います」

「……もぅ構わないが…仕方ない。リア…悪いが俺は今から王宮に行く、陛下謁見時に会おう」


リオンはそう言うと私にキスをして転移して消えていった。

その後は夕刻のギリギリまでもう一度寝かせてもらいセバスさんになるべく肌についた華を魔術で消してもらいドレスに着替え王宮へ向かった。






王宮につき馬車を降りようと前を見れば王宮ローブを羽織ったリオンが手を出してくれていた。

私は少し顔が熱くなるのを感じたがてりおんの手を取りエスコートしてもいながら陛下の元へエスコートしてもらい、リオン、私、セバスさんの三人で謁見の間へはいった。


陛下は人払いをしその場にいるのは

陛下、エイザル様、宰相キルト様、騎士団長マグネス様、魔術団長マトルートル様、リオン、セバス、私だけになった。


話を始めればすぐ様

宰相様、騎士団長、魔術団長様は頭を下げ謝罪をしてくれた。

でも、実際はヒロインのせいな訳で仕方ないので気にしない様にいえばなかなか納得してもらえなさそうだったがリオンがそこで提案をし始めた。


「陛下、今回の件でお願いしたいことがございます」

「ふむ、言うてみよ。」

「は、私は本日をもち、王専属魔術師を辞退させて頂きたく。」

「「「は?」」」


エイザル様、陛下、私の声がきれいにダブった。


「それから私とマリアン、セバスは明日以降冒険者となり街を出ていくつもりです。」

「ふむ…ふむ。取り敢えずリオン。お主少しばかり待たれよ」

「本日をもちこのローブと紋章を返還させてもらう」

「ふむ。取り敢えず落ち着け…」


リオンはそう言うとローブと紋章を外し近くに居た騎士団長に渡した。


「あー、リオン。とりあえずなぜこうなったのか教えてくれないかい?」

「そもそも、王宮に勤めたのもマリアンの事を考えてだ。夫婦になったのならばいつまでもくだらん事をするつもりもない。」

「あー、うん。マリアン嬢の為に名を上げていたのは知っているが……。性急すぎないかい?」

「1年前から俺のものになっていると知っていれば今回のことが起こる前にマリアンと共に国を出ていた。」

「確かに半年ほど前から今回のことはリオンより聞いていたが…」

「それをお前たちはグダグダと流した結果がこれか?」

「それはすまなかったが…」

「ならば、俺達はもう巻き込まれるのは迷惑だ。」

「あの…リオン…」

「それから、まだ国民や騎士等には知られていないが魔族の動きが活発になっている事も気になる」

「え?」


私は話しについて行けずリオン達の話をボーと、聞いていたが次の言葉に反応してしまった。

何故なら、ゲームの第二期が予定よりも3年早く始まることになっているからだ。

リオンとヒロインがくっつきリオンを取ったときに起こる聖地編。

リオンと共に冒険者登録し謎を解くために聖地へと魔族の土地へと向かう話が今始まろうとしていたのだ。


「リオン。お前も気づいていたか…」

「馬鹿にしているのか?この国の結界は俺が組んだものだ、何か起これば俺のもとにすぐ分かるようにしてある」

「そうか…お主にはバレておったか」

「だがリオン…なぜお前が動く?」

「聖地の管理人がいない今、魔族がどう動くか分からない。そして、俺は黒だ。そして古の夢を見る。」

「リオン…」

「俺は自分の運命を確かめなければならない、例えそれがどんな事だとしてもだ」


リオンが鋭い瞳で陛下とエイザル様を見て言った。

それに対して陛下もエイザル様達も何も言わなかった。


「分かった、だがマリアン嬢は関係ない。リオン、彼女はおいていきなさい。危険な場所へは連れて行かせるわけには行かない」

「駄目だ。」

「それはなぜだ、リオンよ」


陛下と、エイザル様が鋭い目でリオンを見るとリオンは口角を上げ言い放った


「マリアンは俺の物だ。それに、マリアンおそらくお前も関係している」

「どういう事だ」

「マリアンは未来見ができる。そして古の夢を見ている」

「「なんだと!(なんと!)」」

「え?」


リオンは私の腰に手を回し引き寄せた


「マリアン、お前はいつだか、黒い猫と黒髪の少女が桜を見ていたとセバスに話したそうだな」

「え、はい」

ー確かにあのときはなしたけど…


「それは、賢者マオと繋がりがあるものしか見れない。そしてマリアンは見ている。賢者マオと同じ未来見もある。それは聖地に呼ばれているともいえる。だからだ、マリアンお前にも俺と共に旅に出てもらう」

「……。私は…リオンの足手まといになるかもしれない…それでも、リオンが良いのなら私は共に歩みたい…」

「ああ。セバスも共に行く、お前に怪我の一つもさせない。」


「事情は分かった。古の夢に導かれたのならば致し方あるまい、リオン・グリアモール。お主を専属魔術師の任をとき古の使者としてこれを授ける。エイザル」


陛下がそう言うとエイザル様は転移し何やら箱を持って戻ってきた。

それをリオンに渡し中を開け見せてもらうと、黒曜石に真ん中が碧石が嵌められたペンダントだった。


「それは、聖地を指していると言われておる。賢者マオと勇者セシルが魔力を込め作り上げた鍵となるものだそうだ。それを持っておればどの国も古の使者としてお主を迎えるだろう。お主の髪の色だけで大概は受け入れてくれるだろうがな…。そしてマリアン嬢よ。」

「はい。」

「お主はこの国、この世にて見た事のない髪色をしておる。そしてリオンよりも深く賢者マオの古の夢を見るという事はお主は特別な役割があるはずじゃ。」

「………。」

「マリアン嬢にはこれを」


私は渡された箱を開けるとそこには黒曜石と碧石の石がはめられた腕輪が入っていた。


「それは賢者マオが勇者セシルに送ったと言われる腕輪だ」

「賢者マオ様が…」

「友好の印として渡されたと言われておる。そしてこれにも賢者と勇者の魔力が込められておる。それはこの国にしか伝えられておらぬ物だ。他国では効果はないかもしれぬが古の使者としてそれを渡す。」 


私は腕輪を手に取ったあとセバスさんを見た。

セバスさんは、無表情だったがどこか懐かしそうに少し寂しそうにその腕輪を見たあと私に頷いてみせた。

私はその腕輪を嵌め箱をエイザル様に返した。


「古の使者、リオン・グリアモール、マリアン・グリアモールよ。聖地への道が今開かれることを祈る。」

「ああ」

「はい」


私達はこうして次の日の朝には私達は両親と陛下たち以外の人には挨拶せず旅立った。



これから始まる魔族との戦い、出会い、聖地への旅…。

そぅ……。

私達はこれから何度も互いに傷付き、

支え合い、

聖地の本当の理由とセバスの存在…



この世界の全てを知る事となる。



でもそれはまた別のお話…。



ーーーーーーーー


「リア、もうすぐ森を抜ける。」

「ええ。」

(坊っちゃん…この次は漸く魔族の地となります)


「ああ」

(マリアン様お気を付けてください)

「ふふっありがとう。セバスさん」


私はリオンの肩に乗っているセバスさんの喉元を撫でながら開け始めた森の中をリオンの隣で歩いていく…。



最後の最後で少し長くなりました。

近いうちR18で書き直しと続きを出来たらなぁーと思っております。


多くの方にブクマしていただきとても嬉しかったです。

どうもありがとうございました。

また、よければ読みに来ていただけると嬉しいです(笑)


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