皇帝、目覚めなくてえらいことになりました
なんか、すごーーく、嫌な予感がしたので、翌日。
自分は、心のオアシスもとい、校庭に向かいました。
正直、答え合わせが怖くて仕方ありません……。
「こんにちは、ダメダメ雄哉くん」
えっと、さーやちゃん、目が座ってます……その、怖いです……。
「えっと、さーや、ちゃん?」
「はい、好感度チェック…………って、全部、100になってるじゃないっ!! なにしてんのよっ!!」
「ううう、すみません。っていうか、成り行き上、こうなってしまったというかなんというか……」
「それに……覚醒もしてないって、どういうことっ!?」
「それは自分も聞きたいっすーーー!! すっごい魔力、どこいったーー!! 勿体なさすぎるーー!!」
うーむと、さーやは思案している。
「えっと、さーやちゃん?」
「いや、あるわけないよなー。展開が違い過ぎるし……まあ、とにかく、今、物凄く詰んでる状況だから。わかるよね?」
「えっと、やっぱり、ヤバいんですか?」
「四人に言い寄られるよりも、ヤバい。何故なら、今、襲われたら100%バッドエンドです」
「なんですか、それーーー!!」
「触手に絡められて、闇堕ち」
「えええ!?」
「女郎蜘蛛の妖魔に捕まって、永遠の子作り」
「ちょ、ちょっと待って……」
「謎オークションで売られて、変な男にやられまくって、闇堕ち」
「えっと、その、さーや、さん……」
「その他もろもろ、全部、覚醒して魔法使えないと、全てバッドエンド行きです」
「うわああ、なんだよ、それええええ!!!」
たぶん、一部だろうけど……いや、それって、マジで詰んでるよ、詰んでる!!
ま、まさか、四人に言い寄られている方がマシだなんて、思える状況になるなんて、自分もびっくりですよ、ええ、マジで…………。
「勘弁してくれよ、ホントぉーーー」
泣いていいですか、マジで、ものすごく、嫌なんですけど。
「でも、魔力あるのに、蒼くんは覚醒したんだよね?」
「はい、してました。こう、すっごい刀でずんばらりって」
「うん、それは覚醒しているね」
「あの、自分は覚醒したら、どうなるんでしょう?」
その自分の指摘にさーやちゃんは答える。
「うん、蒼くんは、どちらかというと、陰陽師系で、剣士さんみたいになるんだよね。それがもう、格好よくなるんだよ。ヤバいからね。蒼くんルートは、王道だからね……素晴らしいよ」
「えっと、自分の場合はどうなんで?」
「ああ、ごめんなさい。つい、思い出して……で、ダメダメ雄哉くんの場合は、西洋の魔術師って感じなの。こう魔法陣を生み出して、すっごい魔法をバンバン使っちゃうって、感じで……」
「西洋の魔術師!!! いいっすねっ!! 属性とか、相反する属性使ったら、打ち消し合ったりするのかな? いやいや、魔法の発動方法はこの場所に漂うマナを使うか、体内にあるマナを使うかにも、やり方は異なるんだよね。その上、実際に発動させて敵に当てるとなったら、射程とかもしっかり計算しないとダメなのかな? でもこういうゲームだったら、その辺は適当なのかな? いやいや、こういうのは、しっかりと計算の上で誘導して…………」
「えっと、ダメダメ雄哉くん? 話、聞いてます?」
「あ、すみません。つい、魔術師って、聞いて大興奮してしまいました」
「ダメダメ雄哉くんは、魔術師って好きなの?」
「いやあ、格好いいですよね! 超能力者も捨てがたいですけど、魔法の方が浪漫があるというか……慣れているというか……」
「はい、そろそろ落ち着いてね。今、覚醒してないから、ぜんっぜん、使えないからね? 忘れないでねーー?」
「ううう、そうでした…………」
がっくりと落ち込む自分に、さーやちゃんは、ぽんと肩を叩く。
「でも、覚醒させる方法はあるよ」
「なんですか!! 自分、なんでもやるっすよ!!! 魔法の為ならえんやこらっ!!」
「んんーーなんかさーー雄哉くんのイメージが、だんだん、残念になってくるのは、気のせいかな?」
「ううう、すみません……」
まあ、とにかくと、さーやは立ち上がった。
「ダメダメ雄哉くんを戦えるようにするべく、『魔剣』を取りに行きましょう」
「え、なんで、魔剣? 魔導書とかじゃなくって?」
「あーーなんかね、魔導書とかだったら、格好よくないからって、西洋の剣……魔剣が杖の代わりなんだって」
「格好いいですよ、魔導書!! これも女の子の感性の違いってやつですかね?」
「まあいいや。とにかく、その魔剣を取りに行きます。この……学園の地下に眠る魔剣をね」
「……ち、地下っ!? も、もしかして、そこって……」
「うん、『ダンジョン』だよ!」
こうして、さーやと自分は……なんと、ヤバい敵のいるダンジョンに入って行くことになったのです。
って、入っちゃって大丈夫なんですかーーー!?
即バッドエンドしか見えないんですけどーーー!!!




