928話 若い内から問題が…。
影の精霊に言われるままに、念の為体操服のポケットに入れていたスマホで遠視魔法を掛けて確認してみたら…案の定と言うか、ホッとしたと言うか…初等部低学年の男の子だった。
と言っても…私これくらいの魔法なら、スマホなしでも使えますが…今の私がスマホなしに魔法を使ったら、魔力の流れでバレかねないので…念の為に、です。(も〜…年々体内保持魔力が増えていってる気がする…贅沢な悩みだけど、イヤだなぁ。)
「あ〜…確かに、どことなく母親恋しそうな感じがしますねぇ…。」
ふんわりした蜂蜜色のショートヘアー、クリッとした紺色の目、色白の肌…初等部から中等部初期特有の、あの時期にしかない中性的な魅力が満ちてる…美少年と言うより、可愛い系男子に近い男の子だなぁ。
望遠鏡代わりなのか、デジカメを使って必死に、でも周りに気付かれないようにこちらを覗いている。
つーかさ…今更な上に、あまりに私には関係なかったからスルーしていたんだけど…大体六・七歳になったばかりの少年少女を、親元から離すって中々凄いよね。いやまぁ、自宅から通えるんだったら通わせる所もあるにはあるんだけどさ…。
「ううん…確かに、年の割りには上手く気配を消していますし、周りに目を配っていますね。」
「でも、やっぱり魔法習いたてってのもあるし、お嬢さんが魔法が苦手って聞いとるから、コッチが見られてるって気付いていないで。」
「…『自力』で使う魔法が苦手なだけで、何かしらの力を借りたらそうでもないですよ。」
「お嬢さん、それ墓穴や。」
ゴホンッ!!…にしても、私が魔法が苦手ってネタ…結構出回ってるのかな?事実には変わりないんだけど…何か、悪口から派生した話から漏れた気がするな。…まぁ、ルナさんみたいなタイプの方がが珍しいんだし!!気にしない気にしない!!
「それじゃ、私は向こうで筋トレと柔軟体操でもしましょうかねぇ…。」
「アレ、お嬢さん…ここでせんのんか?」
「だって、あの視線が気になって集中出来なさそうなんですもん…それなら、視線がない方を選びますよ。」
感覚が鋭くなってる今だったら、あんな微弱な視線でも――まぁ、影の精霊にストーカー手前って言われたのも関係ないとは言えないんだけど――気になって仕方ないんだよね。
「そか…あっ、ウチ柔軟体操には自信あるで!!」
「いや、貴方自体がモニュモニュして…縦にも横にも前後にも伸びるし、そもそも貴方人じゃなくて精霊だから、私達みたいに骨とか関係なくグネングネン出来るじゃないですか。」
精霊は魔力の塊な訳だから…形は人が想像やら創造ができても、本質的にはどんな形や姿にもなれますからね。(小春は、まだ難しいみたいで…いまだに、幼女姿とキツネ姿しか見た事がないよ。)
「あ〜、そやったわぁ…困ったなぁ。」
「何をどう困るんですか。」
「それもそやな。」
影の精霊の納得にどことなくイラッとしたけど…あまりにも理不尽な上に、影の精霊にとってはご褒美にしかならないので、何も言わない事にした。
…そう言えば、思ったんだけど…あの子の覗き見趣味、今の内からどうにかしないと…後々で面倒な事になりそうだなぁ。
「あの子があの行動を取るようになってから、どれくらいなんですか?」
「一ヶ月ぐらいやろか…高等部のオリエンテーリングの授業で初等部の子達と遊んだ時、お嬢さんに優しくされたのが切っ掛けみたいやねぇ。」
初等部に行ったオリエンテーリングって…かなり最初の方だな。そこから今みたいな行動を取るようになるって…可愛い顔して、行動力のある子だなぁ…その取った行動は、全く誉めれないのが難点だけど。
こりゃ、遠回しに然り気無くカウンセリングの先生のフォローを仰ぐしかないのかな…あまりカウンセリング室行ってないから分からんけど。




