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まぁ、頑張りましょうか。【学生編】  作者: 和水 璃雨
三章 学園編 中等部
93/2202

90話 風邪引くと、人肌恋しいよね。

「何やかんや言って、風邪引いた夜風はいつもより大人しいな。」


「風邪引いてテンションが上がる人の方が少ないと思いますが…。ゴホッゴホッ!」


風邪の程度にもよるけど、咳と熱に苦しめられながらハイテンションになる人は相当アレな人なんだろうな。


「俺は、学校休めるからテンション上がったぞ?」


ほら、先生だって現在進行形でアレ(変わった)な人じゃないっすか。


「つか夜風、そんなに咳とか辛いんだったら取り敢えず寝とけ。」


「…じゃあ、お言葉に甘えてそうしときます…。」


先生に借りを作るのはなんか嫌だけど、今日は私の不注意で起きた緊急事態だから仕方ない、…仕方ないんだ。(そう言う風に言い聞かせないと…何か泣きそう。)


「…あ、先生。絶対にしないとは思いますが、変な事しないでくださいね?もし何かしたら、いくら先生でも訴えますからね?」


「誰がするか。」


「ですよねー。」


早く寝ろと先生に小突かれながら、私はゆっくりと瞼を閉じた。




夢の中、また『私』の頃の記憶が出かけたので、必死に目を瞑って見ないようにした。


『私』の頃に比べたら、『琴波』として過ごしている方が断然明るくて楽しくて充実している日々を過ごしていると確信がある。


『私』が自殺をしたことについては別に後悔はしていないし、今更悔やんだりとかはしない。


だけど、時々考えてしまうのだ。


もし飛び降りるのを止めてくれる人がその時居たら私の運命は変わったのだろうか?もし飛び降りたとしても辛うじて助かっていたら?もし自殺しないでいたら人間嫌いが治っていたかもしれないとか…。


今こう言う事を考えても仕方ないのは百も承知だが、考えを止めようとしても次から次へ溢れ出してきて、それに比例するかの如く涙腺が緩くなっていってポロポロと涙が零れた。


「う〜…うぅ〜。」


くそう、声まで出てきた。…情けないったらない。


「寝たかと思ったら、泣いたり唸ったり忙しい奴だな。」


「ほっといてください。風邪引いて感傷的になってるんですよ。」


腕で目を隠し、せめて泣き顔だけは見せないようにした。腕に涙が付いて濡れたけど、これ以上情けないところは見せたくないし。


「何か意外だな、夜風が泣くなんて。」


「普段は、出来るだけ人前で泣かないようにしてますから。…でも今は無理です。だから、先生は私の泣き顔は見て見ぬふりしてくださいね。」


そう言っている間にも私の頬は涙に濡れていって、耳に涙が垂れてきて気持ち悪くなった。



ポンポン――


先生が私の頭を優しく撫ではじめて、その不意打ちのせいでまた涙腺崩壊した。


「……先生ズルイ。」


「どこら辺がズルイんだよ。」


優しく頭を撫でたりだとか、その撫で方がまるで小さい子供をあやすかのようだとか、風邪引いて精神(メンタル)的に弱いときに頭撫でたりするとか反則だとか…その他諸々反論したかったけど、それを言って撫でるのを止められるのは嫌だったから言わなかった。


「…もし先生が私の風邪移って風邪引いたら、一応看病してあげます。借り返したいので。」


「借りとか…若いうちから気にすんなよ。先生は基本的には生徒に尽くすもんなの。」


「それでも…です。」


いかん、まだ何か言いたいのに眠気が…今更薬の効果が聞いてきたのかな?


「アルベロ先生…。」


「何だ?」


「今日は、どうもありがとう…ございま……した。」


「お〜、どう致しまして。」


温かな掌の温もりを感じながら、ゆっくりと意識が落ちていった。


…って、どこのカップルっての。まだ意識を手放すわけにはいかないのよ!


「先生…、もしこの前の黒い小人見つけたら…踏み潰しといてください。」


「最後の言葉バイオレンスだなオイ。けど、分かった。見つけ次第踏み潰しとく。」


先生の返事を聞いた瞬間、意識のブレーカーが一気に落ちた。




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