85話 説明しよう。
うっわぁ、物凄く面倒なことになってしまったよ。絶対ヴィオーラ先生には、アルベロ先生が私にあらぬ方の事をしたと思ってるよね?(まぁ、背後からとは言え抱きつかれているし、しかも私達裸だし…詳しいこと知らないと普通は“そう言う事”をしたと勘違いはするよね。)
「あ、あ、あ、アルベロ!お前生徒に手を出すくらい欲求不満だったのか!?それとも、夜風だからそんな…如何わしい事を働いたのか!?」
普段は冷静沈着でポーカーフェイスのヴィオーラ先生が、ここまで吃って慌てるのも珍しいな。
「色々説明すっから、少しは落ち着けよカメリア。テンパると思い込み激しくなって自分の意見を無理にでも押し通そうとするのは、学生の頃からの悪い癖だぞ?」
あら、お二人は同じ学校に通っていたんですね。初耳です。
「そ、そんなこと言って誤魔化しても無駄だ!だったら、何でお前と夜風は裸なんだ!?どうして夜風の背中に抱き着いているんだ!?」
「裸なのは、この薬草湯…と言うより混沌風呂に夜風と一緒に浸からなきゃいけなくて、服を着たままじゃあ流石に無理だろ?だから、互いに同意の上で裸になってこの風呂に浸かったんだ。で、何で俺が夜風の背中に抱き着いているかと言うと、この部屋にタオルと名の付くものがなくてこの釜から出るに出れなくなり、このままだと体温がゆるゆると奪われていくだけだから、こうして互いの体を密着させて体温をある程度死守しているって訳だ。…因みに、タオルはお前より前に来た偉いお方が取りに行ってくれたから、お前は取りにいかなくても良いぞ?」
…アルベロ先生がこんなにも長い文を喋っているところ、もしかしたら私初めて見たかもしれないなぁ。(ま、一緒に行動したのは精々数週間なので、当たり前と言えば当たり前なのですが。)
「そ…そうだったのか。…では、そのタオルを取りに行った偉いお方って…「あらあら、これは三角関係でドロドロなフラグですか?」…え、エヴァンジル様!?ちょ、お前はエヴァンジル様にタオルを取りに行かせたのか!?」
うわぁ…折角落ち着きかけていたヴィオーラ先生が、エヴァンジル様の登場によりまた混乱し始めてしまった…。後、三角関係でドロドロなフラグって何ですか。昼ドラ?昼ドラ特有な、あのドロドロとした展開をエヴァンジル様は希望していたの?
「タオルの件については、聖女エヴァンジルに了承をすでに得た上で頼んだから問題ない。」
「…それは本当なのですか?エヴァンジル様、この男に脅されているとかそう言ったことはないですか?」
「脅されているとか、そう言ったことは全くありませんでしたよ?寧ろ、私の方が無理言って大変面白いモノを…いえ、この事については秘密でしたね。まあ、私から進んでタオルを取りに向かったので、貴女が心配することはこれっぽっちもありませんよ。…あ、これが頼まれていたタオルです。保険医さんの話では、もし汚れたら洗濯機で洗うかして汚れを取って乾燥した状態で返してくれればそれで良いらしいですよ?」
エヴァンジル様ナイスフォローです。エヴァンジル様のお陰で、多少はヴィオーラ先生のアルベロ先生を見る視線が和らいだ気がするぜ。(つか、アレは和らいだって言うより愛おしむって感じか?…後、タオルありがとうございます。)
「そうでしたか。」
「では、私はこれで…。またどこかで出会えると良いですね。」
そう言って、エヴァンジル様はアルベロ先生の実験室を後にした。
「…では、タオルも届いたことですし…着替えますか。アルベロ先生、後ろ向いていてくださいね?少しでも振り向いたら、ドーンと砲撃魔法を乱射しますからね。」
「物凄く恐ろしい事をサラっと言うなよ…。ほれ、後ろ向いたぞ。」
アルベロ先生は後ろ向いてくれているのに、何故かヴィオーラ先生は私をガン見している。いや、そりゃあヴィオーラ先生には後ろ向いてって言ってないけど……いくら女同士でも気まずいものがあるのですが。
「あの…ヴィオーラ先生?出来ればヴィオーラ先生も後ろを向いてくださってくれると大変有り難いのですが…。」
「へ?…っああ、すまない。」
ヴィオーラ先生、あの視線は一体何だったんだろ?…取り合えず、今はさっさと着替えよう。色々聞くのはそれからだ。
「(夜風のやつ…私が思っていた以上に肌が白くてキレイだっただと!?…やっぱりアレかな、若さなのか?色々な点で若い方がアルベロの好みなのか?)」




