86話 やっと解けたと思ったら…。
ふぅ、取り合えずタオルで全身に付いた深緑色の液体を拭き取って…はぁ、この液体が無臭で本当良かった。味は、緑玉草が入っているから凄まじいだろうけど。
「…あれ、何か肌がキレイになったような…気のせいか?」
心なしか、肌のキメが調って透明感が増しているように感じる。…まぁ、緑玉草は美肌入浴剤にもたまに入れられているしそのせいかな?
「っ〜クシュン!」
うぅ、いい加減下着姿じゃ寒いな。さっさと着替えて暖まろう。
「先生方、私は着替え終わりましたよ?」
「お〜、そうか。俺も、お前が向こう向いている隙にパパっと着替えたからな。…さてと、呪いは解けているのかね?」
ああ、思い返してみたらそれがそもそもの目的でしたね。あの影の精霊とかなんとか言うちみっこいの…今度見つけたら絶対踏み潰す!…は、今は取り合えず隅に置いておいて…呪いが解けているかどうか実験してみますか。
ゆっくりと目を瞑って…よし、真っ暗闇(正確に言えば、色んな光がモヤァっとしたアレ)しか見えない。アルベロ先生の顔なんて、これっぽっちも過らない。
「…一応、成功はしたみたいですね。」
「そうだな。…あ、もう一つの呪いっぽいのも解けてるみたいだな。」
もう一つの呪いっぽいのも?…あ、先生と私の魔力が混じってしまったアレですか。…確かに、ぼんやりと自身が遠くに居るようなあの曖昧な感覚がしない。
「もしかしたら、アレは混じってしまった魔力を元に戻すためのモノなのかもしれませんね。(これで先生を探すと言う使命は放棄できるし…アルベロ先生に気がある先輩や同級生の方々からの軽いイジメや視線攻撃を受けずにすむ。うぅ、今まで受けてきな地味な嫌がらせの数々を思い出したら胃が痛くなってきた…。)」
二つの呪いから解放されるなんて…うむ、影の精霊を踏み潰すと言う気持ちの方は変わらないけど、その目的が達成したら出来るだけ優しく接してあげよう。
「あの…さっきからなんの話をしているんだ?…呪いとか、一体お前達に何があったんだ?」
一人だけ話しに着いて来れていないヴィオーラ先生に、混沌風呂に入って今に至るまでの経緯を、色々掻い摘んで説明した。(緑玉草とかのアイテムを薬剤準備室からパクってきたとか伝えたら、また色々言われて面倒そうだから黙っておいた。)
「そうだったのか…。それのせいでお前らは一緒に行動を共にしていたのか。」
「そのせいで、アルベロ先生の癖とか好きな食べ物とか…生きる上で全く必要ない情報がたんまりと手に入りましたけどね。」
「それを言うと俺もなんだがな。……あ〜、何か緊張が緩んだら喉乾いた。夜風、何でも良いから茶ァ淹れてくれないか?」
「私は先生専属のお茶くみ係ではないのですか…。まぁ、私もお茶飲みたかったし、お茶を淹れるのは趣味みたいなものなので良いんですけど…。あ、ヴィオーラ先生もどうですか?と言うか、緑茶を淹れるんですけど、苦手とかありませんか?」
緑茶は、人によっては苦手な方もいるからなぁ。(あれ、これは抹茶の場合だったっけ?…後で調べよう。)
「へ!?あ、ああ。私はコーヒーが苦手だから寧ろ緑茶にしてくれる方が嬉しいな。…夜風は、この部屋に来たことがあるのか?」
「アルベロ先生って、天気が悪い時は大抵この部屋でサボりますからねぇ。ここ最近は来ていませんが、前はちょくちょく来てましたよ?」
お陰で、このアルベロ先生の実験室にある簡易キッチンのどこに何が入っているとか、勢いとノリで私専用のカップがあるだとか…ここはどっかの会社(もしくは職員室)の休憩所つかっての。
「先生方~、玄米茶と焙じ茶と煎茶、どれが宜しいですか?」
「だから、俺は茶ァだったら何れでも良いって言ってるだろ~。」
「私は…その、出来たら焙じ茶をお願いできるか?」
焙じ茶か…最近飲んでなかったし、久々に淹れてみるか。
「はい、お茶入りましたよー。この湯呑みはアルベロ先生で、このマグカップは本来なら私のなんですが、流石にヴィオーラ先生に紙コップは失礼なので今回はヴィオーラ先生です。そんでもって、私は紙コップです。」
「いつもすまねぇな。」
「………。」
ん?さっきからヴィオーラ先生が押し黙ったままなのだが何かあったのかな?
「…アルベロと夜風は、やはり恋愛的な意味で付き合っているのか?」
「「付き合って(ねぇよ/いませんよ)。」」
何回続くんだこの誤解。




